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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生担当係(但し、-魔法使い) -35-

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 柴崎が白目をむいて倒れ込んでしまう。
「詩織(しおり)!」
 母親が叫んで駆け寄り、座り込み、娘の上半身を抱えて、
 諏訪君をこれ以上無いくらいの三白眼でにらみ付ける。
 それは、平沢の体臭問題を知るクラスにとって、“勝手な決めつけ”と判断するに足る動作であった。
 とはいえ、
「詩織さんを保健室に……」
 彼女は頭を切り替え、柴崎に近づこうとした。
「近寄るな!お前も放射能だろうが!」
 母親は彼女に鋭く一喝し、自ら娘を抱き上げようとする。
 しかし50キロは優にあるはずであり、もちろん持ち上がらない。
「いいよ相原さん。引っ込みな」
 女子にしては大柄な部類に属する大桑(おおくわ)という娘が動いてくれる。
「あんたもあの放射能の……」
「保険委員なだけです」
 大桑は柴崎をひょいとお姫様抱っこ。大桑の物言いに方便が幾らか含まれることは説明不要であろう。なお、彼女は転入して程なくこの娘と大げんかをしたが、今はよく喋る間柄。逆に言うと彼女レムリアと対立する側と立ち回りをよく知る立場であって、それを装って、それらしく動く分には実に好都合。ちなみに、大桑派だがレムリアは嫌いという者も引き続き存在し、二人の和解を承服しかねている。
“騒ぎの発信源”が退場した。
“もう一方の発信源”に衆目が集まるのは必然の成り行き。廊下には幾らか隣接する教室の生徒と、校長以外にも教員数名。
 何か喋らんと、コトが収まるまい。
「失神したのは放射線じゃ無くて脇の下想像しただけだから」
「え?そういうことなの?」
 平沢は困惑に眉毛を八の字にした。あちこちで忍び笑い。“誰もがそうだと思ったが、当の本人は気づいてなかった”。
 それは、ちょっとした和みになった。
「さておき、放射線と人体の関係について、科学的に全て解明出来ていない部分があるのは事実です。どこまでは影響が無くて、ひょっとして健康増進に利する部分があって、どこからが確実に毒なのか。ただ、今回の場合、その“毒”は、放射性ヨウ素なりセシウムなりを体内に取り込むことで起こります。それはやがてウンコオシッコで排出されます。仮に、人体から人体へ放射性物質が直接移動するとすればそこですが、触りますか?他人の排泄物」
 反応は待つまでも無い。
「では、諏訪君に嫌がらせする必要は無いですね?ただ、手放しで今まで通りの生活で良いとは言えない部分はあります。ヨウ素は8日もすれば気にしなくていいです。なので4月である今はもう大丈夫。面倒くさいのはセシウム。これは水に溶けますので、水の循環、食物連鎖を通じて、水の集まるところ、食物連鎖の頂点にいる生物に向かって濃く集まる。都内でも浄水場から検出されて大騒ぎになりましたね。類似の事象には警戒が必要です。ざっくり40年。対策としてミネラルウォーターやウォーターサーバーの利用は否定しません。毎日測定データが新聞やインターネットに載ってるので欠かさずチェック」

(次回・最終回)

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