« 【理絵子の夜話】午前二時の訪問者 -16- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -02- »

【理絵子の夜話】午前二時の訪問者 -17-

←前へ次へ→

 とんでもない能力だと理絵子は思う。人の思い・考えを操って幻を見せるのだ。SF小説そのものである。しかもそれ以上に凄いのは、自分自身は深夜の道を自分の家へ歩きながら、ということ。いや、玄関が施錠されていたことからして、歩いてきたのではないのかも知れない。
 部屋に来る連中は、「霊的なものがうろつけば、痕跡が残るので気付く」と言った。しかし、この方法では痕跡は残らない。
 同じく理絵子も異変とは気付かないであろう。父親にとって幽霊は現実そのものであり、意識を操作されたとは思わないからだ。父親が“違和感”を抱かないならば、父の意識を見ている理絵子にも、違和感は感じ取れない。
「テレパシー使ってマインドコントロールしていたと言うこと?」
「有り体に言えばね。でも、危ない子、なんて思わないで」
 理絵子は母親の意識を読んで制した。
「どうして?」
「だからこそ。穏やかな心でなくちゃならない。彼女はそもそも、身勝手な親の犠牲者。今、私を助けてくれた母さんの力は、包丁に立ち向かう力を与えたのは、私を助けようとしてくれた母さんの思い。それと全く逆の作用で、強い怒りや憎しみが、彼女の強大な力を解き放った」
 理絵子は羽織っていたジャージを丸めて本橋美砂の頭の下に敷き、次いで母親にガウンを脱いでもらい、肩に着せた。
 そして。
「彼女の、父さんが原因だという思いは拭い去ることは出来ないでしょう。だったら、ウチは彼女を突き放すことはできない。しちゃいけない。出来れば、ウチで今後の保証をしてあげたい。そうすれば、後は、時間に任せられる」
「保証って簡単に言うけどどうやって?養子にでもしろ?」
「ううん。綾(あや)のおじさんおばさんが経営してる民宿で、バイト欲しいって言ってたの。住み込みでお願いできるかなぁって」
 綾とは、学校で理絵子と同じクラブに所属している娘、田島(たじま)綾のことである。
「それは無茶じゃない?」
「彼女に必要なのは、両親という存在」
 理絵子の言葉に、母親は頷いた。
「判った。でもそうなると、この子と、田島さんとこと、大人同士の話だ。預からせてもらうよ」
「うん」

(つづく)

|

« 【理絵子の夜話】午前二時の訪問者 -16- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -02- »

小説」カテゴリの記事

理絵子のスケッチ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 【理絵子の夜話】午前二時の訪問者 -16- | トップページ | 【魔法少女レムリアシリーズ】テレパスの敗北 -02- »