小説・妖精エウリーシリーズ

2011年8月 6日 (土)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-終-

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 かおるちゃんは言いました。
「お母さん言ってるもん、誰かのためになりなさいって。あなたがいて良かったって言われる人になりなさいって。私、ジョンがいて良かった。お姉ちゃんに会えて良かった。お姉ちゃんの魔法、可哀想な犬のために使えるよ。そして、多分、私が誰かのためにいることが、お母さんの安心」
 大人って年齢で決まるものじゃ無いと思うんです。
 私、19歳を200年以上続けていますが、自己認識として、〝事実上19歳〟に甘えているところがあるのかも。
 使命は認識しています。生き物たちの相談相手。
 その場合、使命の成果って何でしょう。ひょっとして相談不要になること。つまり、妖精の仕事が無くなることでは。
 時間が来たようです。
「じゃぁ、かおるちゃん、ジョンを次の飼い主の元へ行かせてあげてもいいですか?」
 かおるちゃんは頷きました。そして、全てが元に戻るには、一瞬。
 夜の住宅街。街灯の下に立っている、と判るまで少し時間が掛かりました。
「……おうちのそば」
 かおるちゃんが言いました。トガをまとったその姿はまるで〝ミニ自分〟。
 いいえ、実際そうなのかも知れません。
「約束のおまじない」
 私は自分のトガの裾を細く帯状に破いてりぼんにすると、かおるちゃんの髪の毛にくるくる。
「これが魔法?」
「そう。動物とお話しするときはこれを使って」
「試していい?」
「もちろん」
 私が答えると、かおるちゃんは歩き出しました。どうやら能力をテストする心当たりがあるようです。角を曲がって大きな柿の木のある家。
 道にせり出した枝の下、ネコたちが集まっています。いわゆるネコ集会。
 ネコたちは私たちを見て一斉に驚きを見せました。
〈人間の女の子が妖精になってるぞ〉
〈て言うか、こいつかおるじゃん〉
〈お前オレ達の言葉判るんだな。じゃあ教えてやる。母ちゃんが心配して探してるぞ〉
〈こっちだ、来い〉
「そう?じゃあ案内して。あたし行くね。お姉ちゃんバイバイ」
 彼女が、獣医になったと聞いたのは、ずっと後の話。
 
花泥棒/終
 
妖精エウリーの小さなお話・一覧

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2011年7月27日 (水)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-19-

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「うん」
 かおるちゃんは元気良く頷きました。
「そう、ありがとう」
 私は言うと、彼女の頭を〝なでなで〟。
 すると。
〈ああ、なんかオレの役目、終わった〉
 ジョンが言いました。
「えっ?」
 かおるちゃんが驚いた顔を見せます。
「かおるが何かやることを見つけた。そう思ったら、もう大丈夫、もう終わった、そんな気持ちになった」
 ジョンは言いました。え?セリフのカッコの形が違う?間違えたわけではありません。彼は今、完全に犬の身体を、肉体を離れ、音声を念動力の原理で空気震わせて作れるようになったのです。
 かおるちゃんがそのことに気付きました。
「これお姉ちゃんの魔法?」
「オレ、行ってもいいか?」
 私が答える前にジョンはかおるちゃんに尋ねました。
 かおるちゃんはかおるちゃんで、魔法という新たな存在への実感がジョンと別れる悲しみを打ち消し、次元・環境の変化へ前向きに変わって行きます。
 パラダイム・シフトが起こったのです。
「二人とも、新たな使命に気付いたようですね」
 ガイア様が言いました。表情は見えませんが笑顔でいらっしゃると容易に想像が付きます。
「はい。かおるはもう心配ない。自分、次の子の所へ行く用意があります」
 ジョンは凛々しく立って答えました。まるで誇り高き狼のようです。
「私もその可哀想なわんちゃんとお母さんのために頑張れます!」
 かおるちゃんはまるで選手宣誓のように背筋を伸ばして言いました。
 ペットロス症候群という言葉があります。ペットが家族であり、その命の意義・価値が人間と等価であるからこその喪失の悲しみです。
 ただ、それは当の動物たちにとっては本当は不本意なのではありますまいか。
 悲しませるために飼い主の元に来たわけでは無く、
 ほぼ確実にペットの方が先に寿命が来る。それは涙で看取ってもらいたいわけでは無く。
 当然であるからこそ、強くなって欲しいから。
「私大丈夫だよ」
 
(次回・最終回)

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2011年7月17日 (日)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-18-

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「いま、かおるちゃんのお母様は、かおるちゃんに放課後を児童館で過ごしてもらおうと考えています。夜のお仕事を辞める代わりに、お昼をもう少し長く働こうと考えてらっしゃいます」
「えっ?」
 かおるちゃんに不安がよぎったのが判ります。
 他の子と一緒にいても、誰かと遊ぶわけでは無い。
 選んだ孤独と、見せつけられるひとりぼっちの違い。
「やだ」
「それは、何がいやなのでしょう。お母様と離れてしまうこと?児童館へ行くこと?」
「どっちも」
 それはかおるちゃんの本音。しかし。
「でも……そうすると、お母さん夜にいなくなっちゃうんだよね」
 かおるちゃんは気付いた事実を口にしました。
〈その児童館に犬はいないのか?〉
 男爵が言いました。
〈いるはずだよ。散歩の途中で見た〉
 ジョンが答えました。それでかおるちゃんも思い出したようです。
「ああ、あの子……」
〈あいつは、捨て犬だよ。しかもひどく人間にいじめられた……僕を見て羨ましいと言ってた。誰にも懐かない。でも、かおるなら反応が違うと僕は思う。僕はかおるに、犬の気持ちがどうやったら判るか教えたつもりだ〉
「エウリディケさん」
 ガイア様が私を呼びました。
「はい」
 とはいえ、おっしゃるであろう内容は予想が付きます。
 妖精の主たる任務は生き物たちの相談相手。
 すなわち、コミュニケーション能力。
「ええ、少し、その魔法を、かおるちゃんに」
「承知いたしました」
 私は頭を下げて片膝を床につきました。
「よろしくお願いします」
「魔法?」
 かおるちゃんが私に尋ねました。
「そう。動物たちとお話しできる魔法。ただ、約束が一つ。誰にも、お母さんにも、魔法のことを内緒に出来るかな?」
 
(つづく)

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2011年7月 7日 (木)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-17-

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 高位の天使族がそんな姿、と聖典にあります。ですが、聖典の言うような近づきがたい雰囲気はガイア様にはありません。むしろ、日だまりの温和に近い感じでしょうか。
 目が慣れてくると、漂うような髪の毛と目鼻立ちが確認できます。但し、なにぶん光り輝いていますので、輪郭とか肌の色とか、着衣とか、具体的に書くのは難しいのですが。
「天使様」
 かおるちゃんの感想は至極もっともと言えるでしょうか。
「あなたが、かおるちゃんですね」
 ガイア様の口調は〝おっとり〟と言いますか、ゆっくり、たゆたうようです。
 ちなみに、声と言うより、超常の手段で空気を震わせて、というのが恐らく正確な表現になります。
「ジョンは、かおるちゃんのそばから、離れなくてはなりません」
 ガイア様は言いました。本当の優しさは婉曲な表現で誤魔化すことではありません。
「どうして?」
「ジョンは、かおるちゃんが、お母さんを支えて行ける、女の子になれるまで、無事に、見届けました。かおるちゃんと遊んで、かおるちゃんを守って、かおるちゃんに元気をあげてきました。かおるちゃんは、ジョンからたくさんのたくさんの、勇気と、元気をもらったでしょう?」
「うん」
 ガイア様のおっしゃる言葉に凄い意味が含まれていることに私は気付いてしまいました。
 ジョンは自らの生命力を分け与えてかおるちゃんを支えていたのです。
 ジョンが生きて行くための力はかおるちゃんのそれとなり、結果、ジョンは天へ召されることになったのです。
 それが、ジョンの使命。
 いえ、犬たちの人間に対する使命と言えるかも知れません。
「ジョンは、かおるちゃんよりも、もっともっと苦しい状況にある別の子どもさんのために、旅立たなくてはならないのです。ジョンを行かしてあげてはもらえませんか。私からのお願いです」
「でも……」
「お別れは辛いことです。その代わり、今度はかおるちゃんが、ジョンのように、誰かを助けてあげて欲しいのです。その一番最初が、かおるちゃんのお母さんです」
「うん……」
 かおるちゃんは頷きましたが、決して納得の上でという感じではありません。子どもを言いくるめて反論できない状態にして無理矢理頷かせた。そんな感じを受けます。
 もちろん、ガイア様はそんなことはされません。
 
(つづく)

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2011年7月 2日 (土)

クモの国の少年【目次】

※リンクは5話おき
【1~5】
【6~10】
【11~15】
【16~20】
【21~25】
【26~30】
【31~35】
【36~40】
【41~45】

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花泥棒【目次】

-1- -2- -3- -4- -5- -6- -7- -8- -9- -10-
-11- -12- -13- -14- -15- -16- -17- -18-
-19- -20・完結-

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2011年6月27日 (月)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-16-

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 栗色の長い髪の持ち主で、トガをなびかせ、霧が流れるような動きで階段を下りてきます。
「こちらでお見かけするとは珍しい、エウリディケさん」
 彼女は言うと、かおるちゃんの前に膝をついてしゃがみました。
「あなたは……人間さんね」
「お姉さん綺麗」
 かおるちゃんは言いました。
「ガイア様ならお待ちよ」
 つまり、判ってらっしゃるということ。
〈お、オレは……〉
 男爵が躊躇を見せます。
「当然、ご一緒に。ここはガイア様に用のある方、ガイア様がお招きになった方以外たどり着けません」
 ティルスの先導で階段を登って行きます。するとその間にジョンの身体がみるみる原状に復して行きます。
 ただ。
 首から下は見えても触れない状態です。かおるちゃんが一瞬喜んで撫でようとしましたが、その手は素通り。
〈いいよ。自分で動けるから〉
 かおるちゃんの手がジョンから離れます。
 王宮入り口のホールで入場者確認を受け、中へ入ります。アーチ形の梁が連なり、私たちの足音が静かに反響します。かおるちゃんと、ティルスと、私。
 犬たちの足音はありません。
 王宮深奥へ進んで行きます。外光は入りませんが、柱と壁をなす大理石自身がほのかに光り、黄昏程度の明るさはあります。
「ここでしばらく」
 通されたのは謁見室。とはいえ、たいそうな玉座があるわけではありません。大広間の奥方が一段高くなっているだけ。
 ティルスは私たちを残して退室しました。ちなみに〝ドア〟はなく、その代わりに手をかざすことで壁が現れたり消えたり。
 いい香りのする緩やかな風が、その奥の一段高いところから流れてきました。
 人影。ガイア様です。
「まぶし……」
 かおるちゃんが手をかざしました。そうかも知れません。ガイア様のお姿は〝人の形をした光の塊〟。
 
(つづく)

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2011年6月17日 (金)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-15-

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 そう言って動いたのはかおるちゃんでした。手近の枯れ枝を手にして剣のように構えます。
〈生意気な……食ってやる〉
 大グモは言いましたが、アゴを開いて威嚇するだけで行動には出ません。
 私がいるからでしょう。しかし、クモのそうした躊躇は、かおるちゃんが行動に出るには充分な時間となったようでした。
 枯れ枝を、ぐさり。
 クモは驚き、反射的に第4歩脚でかおるちゃんを弾き飛ばそうとしました。
 咆哮が響きました。
 狼が来た、と誰もが思ったことでしょう。
 しかし、咆哮の主はジョンでした。ジョンは男爵の背中から飛び出しました。
 そのジャンプの勢いは、彼の身体では既に受け止めることが出来ませんでした。
 彼は文字通り身体を四散させながら飛びかかりました。
 鼻に皺を寄せ、牙を剥き、振り出された歩脚に食らいつきます。
 クモの脚は根元からちぎれました。取れやすく出来ています。敵の注目が脚にあるうちに逃げるのです。
 脚は丸太のような音を立てて地面に倒れ、一方のクモ自身はジャンプして距離を取り、そのまま逃走。
 ジョンは、もはや、自分で動くことはできない状態でした。
 男爵の背中からトガを取り、包み直します。
「私が持つ」
 かおるちゃんは言いました。
 女の子が歩いています。抱える白い布から犬が顔を覗かせているけど……顔だけの状態。
 行く手に邪魔をしたり声を掛けたりする者はもうないようです。私たちは森を抜け、深い谷に渡された吊り橋を渡り、霧の斜面へ。更に風に逆らって上がって行くと、湖水に抱かれたギリシャ神殿様式のお城が姿を見せました。
「あそこ?」
「うん」
 お城は湖水脇の高台にあります。白い大理石の階段が幾らか連なり、その一番上に私と同様のトガを纏った女性の姿あり。
「神様?」
「いいえ、仲介をして下さる……」
 何人か事務局担当の仕事をしている妖精がいますが。
「ティルス」
 名を呼んだら聞こえたようで、彼女は片手を上げました。
 
(つづく)

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2011年6月 7日 (火)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-14-

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 骨だけ犬は何も言いませんでした。
 承知したくない現実を突きつけられた。彼の意思はそんなところでしょうか。
 迷いの存在を感じます。まぁ確かに、こんな姿になるまでここにいたのに、私たちが来たからと白黒付けられるものでもないでしょう。さりとて、私たちにも彼の判断を待つ時間はありません。
 すると。
〈自分の足をこの方に差し上げて下さい〉
 ジョンが言いました。
「でも」
〈良いのです。迷えるこの方の前を通りかかり、そこで足が落ちた。それはそのように配剤されたと思うのです〉
〈お前本気か?〉
〈今、自分がかおるちゃんとここにいられるのが証拠さ〉
 彼の意志を尊重し、足をそのままに、骨だけ犬もそのままに、私たちはそこから離れました。
 骨だけ犬は噛めない肉に挑む虚しい努力を選んだようです。私たちは町を外れて湖水へ向かいます。道は次第に狭まると同時に上り勾配となり、林の中に入ります。
 地響きを立てて上から何か落ちてきました。
 見上げるようなサイズの巨大なクモです。
 かおるちゃんがジョンを背負った男爵の前に出、手足を広げて通せんぼ。
「ジョンはあげないよ」
〈ちっ!妖精が一緒か〉
「お前さんは番人の一族とは違うようだね」
 私は大グモに問いかけました。ここは動物の遺骸が集まっているわけですが、同様に虫たちの遺骸が集まるエリアもあり、そこに住まう一族があるのです。
〈もっとデカイのが欲しいのさ〉
 バード・イーター(鳥喰)と呼ばれる手のひらサイズの大きなクモがいるのは確かです。
「ジョンはダメだよ」
〈お前でもいいぜ人間……〉
〈てめえ、ケツの穴に噛みついてやろうか〉
 男爵が唸りました。彼の言は女性に属する私が書くにはいささか躊躇を否めませんが、要はクモは尾部に糸を紡ぐ器官を持っており、それを差しています。
〈噛めるものならな〉
「要はそこが弱点なんだ」
 
(つづく)

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2011年5月28日 (土)

【妖精エウリーの小さなお話】花泥棒-13-

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 男爵が皮肉と憎しみを感じるコメント。
 その背中のトガの中から……恬淡と書きましょう、落ちたのはジョンの左足です。
 ちぎれたのです。
「よこせ」
「だめっ!」
 かおるちゃんは骨だけ犬の前に立ちはだかりました。
「いいじゃねぇか。死んだんだろ?」
「ジョンは食べ物じゃない」
「死んだら食われて誰かの命になる。それが野性の掟だ」
 嘯(うそぶ)く。骨だけ犬の言いぐさはこの言葉がピッタリ。
〈お前が食って……どうなるんだよ、がらんどう〉
 男爵が吐き捨てるように。
「何だと!?」
 侮辱に聞こえたようです。骨だけ犬は男爵に噛みつきましたが。
 骨だけ犬の歯は何も噛むことが出来ず、男爵の身体を素通りしてしまいます。
 しかも、歯と歯が合わさったように見えたのに、カチンという音さえしません。
 骨だけ犬は姿こそ見えますが。
 私がかざした手は、骨だけ犬の身体を素通りしました。
 彼には〝実体〟が無いのです。
「へぇ!見えるのに触れないの?変なの、影みたい」
 かおるちゃんの言葉は単なる事実であり、基づく感想です。
 ところが、骨だけ犬はひどくショックを受けたようでした。最前の勢いはどこへやら、バラバラに砕けるようにしゃがみ込んでしまいました。
「オレは」
〈死んでるんだよ。だから〉
 男爵は極めて率直に言いました。肉声を出せる骨だけ犬が実体を持たず、テレパシーが通話手段の男爵には肉体の感覚がある。
〈こいつらは特別さ。ガイア様の気まぐれだよ。お前にモノを食うということはできないぜ〉
「それは本当か、翅人間」
 骨だけ犬は私に尋ねました。
「ここにいるということは、肉の身体を失ったということ。ありつづけることも、なくなることも、再び肉の身を持つことも、全てはあなたの気持ち次第。でも……その身体は特にこうしようという気持ちが無い結果に思えます。歩かなければ、永遠にそこにとどまるだけ。私たちはこれからガイア様の所へ行きます。生きることと死ぬことはどんな意味があるのかお話ししたくて。一緒に来ますか?」
 
(つづく)

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