指令:俺のケツを冷やせ
「レアなもの」と書くとネットオークションの煽り文句であるが。
「アレなもの」と書くと途端になんだか怪しげなニオイを放ち始める。
2006年夏。
俺の股ぐらは大変な熱波に見舞われた。理由は簡単、省エネで会社の冷房が下限28℃でロックされた(省エネモードに設定され、それ以下にできない)ためである。
28℃というのは冷静に考えると暑い。「夏のような陽気で28℃」なんてのを新聞の見出しで見かける位だ。俺みたいなヤセの大食い(=基礎代謝が多い=発熱が多い=燃費が悪い)人間には、この程度で温度保護が動作する。
そもそも28℃は「30℃の屋外から入ってきて“あ、涼しい”と感じる温度」が根拠であって、「長時間快適に過ごせる温度」では決してない。お役所得意の説得力のある誤魔化しに過ぎないのだ。なのに28℃ばかりが一人歩きしているのが現状である。しかも暑い寒いは個人差があるのに一律28℃はどう考えてもおかしい。こういうことは統計的に(以下略)。
能書きはさておき。
この結果、俺の股ぐらは熱帯湿潤気候下の文字通りジャングルに置かれ、やるせない不快感と常時発汗による掻痒感にさいなまれた。起き抜けまず何するってパンツに手突っ込んでかゆみ止め塗りたくってるんだから冴えないったらありゃしない。「おとうちゃんおちんちんさわってる」朝からでかい声で何言うか。
と、書くと笑い話のようだが実は深刻な問題がここに存在する。男性の睾丸「きんたま」様は、冷やしておかねばならんのだ。男子諸君は(可能であれば女子も是非)触診にて確認して頂きたいが。ここは唯一、人体で脂肪がないのである。また、手のひらで包むとヒンヤリしているはずだ。これは精子様のエネルギー消費を抑制するためである。少し考えて頂くと判ると思うが、彼らは持って生まれたエネルギーだけで卵子女王の下に馳せ参じないとならない。余計な運動でエネルギーを使わせないためである。しかし現代は温暖化で気温が年間を通じて上昇している上、一日椅子に座ってパソにかじりつくというスタイルが増えた。新幹線で移動しながら、太ももの上にノートPC、なんてのも良くある光景だ。この結果、本来ブラブラしながら空気中に放熱しているのがあるべき姿である「きんたま」様が、布で包まれてイスの上にどっかりと座し、或いはパソコンの廃熱でぬくぬくと温められ、要らぬ運動を精子群に強いている可能性があるのだ。これを男性側不妊(精子運動能力低下)の第1要因と指摘する研究者もいるほどだ。
で、冒頭に戻って、「俺のケツを冷やせ」なのである。
「サンコーレアものショップ」という主としてUSB駆動のグッズをネット販売している会社がある。つーてもその実、「USB駆動ヒータ内蔵手袋」「金塊型超重量USBハブ」…イタズラ心満載の実用性よりおバカ…もご…「アレな商品」が多い。とは言え実用的、或いは使い他次第で便利なモノが稀に(!)あるのも確かで、過去に「頭皮スコープ(デスクトップ顕微鏡)」の購入実績がある。
で。
USBひんやりクッション。
USB駆動のファンで空気を取り込み、エアホッケー(エアギターちゃうで)のコートよろしく、空気穴のたくさん開いたシートから空気を噴射、ケツや股ぐらを冷やそうって寸法。こう使う。「くだらね~」確かに。でもケツを冷やそうというアイデアはオンリー・ワン。USB駆動ってのがハイテクなんだかアナクロなんだかわかりゃしない。早速、会社に持ち込み、イスにセットし、パソにつないでスイッチオン。
まずファン音は気にならない。最も、後ろが喫煙室で換気扇が回り、隣が製造ラインでメカ共がガシャポン動いているというのはあるが。
そして…おお、来た来た。手のひらに風を感じる。ケツ回りがすーっとしてきてクールダウン。風速計をあてがうと(持ってんじゃねーよ)
0.6m/s。そよ風。赤外線温度計できんたま周辺温度をチェックすると(んなもんで測ってんじゃねーよ)
29℃。ほぼ室温。体温より低いので放熱可能。
作業ズボンの表面に触れてみる。冷たい。爽快で清涼だ。思わず笑みが出る。それは端から見れば仕事中局部を触ってニヤニヤ…ほっとけ。
これはスヴァラシイ。ケツときんたまを冷やすマシーン。文字通り「アレ」な商品ではある。しかしクールビズは上半身の風通しを良くした。下半身の風通しを良くするクールケツはコレで決まりだ、と言ったら言い過ぎか。
父の日を「しまった忘れてた!」というそこのアナタ、コレを見ているそのマシンでぽちっとクリック。そして帰ってきたお父ちゃんにクールに訊こう。
Hey父ちゃん!ケツときんたま冷えてるかい?
~備忘~
P舎よりアポ電話。来週月曜夕刻。どうなることやら…
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