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2007年9月16日 (日)

のんびりと疲れる

鉄道ヲタクである(公言)
従い、大体の知識は脳みそデータベースに揃っているが、そうはいかない対象がある。
「外国の鉄道」
前日記事でオリエント急行の話を書いているが、この列車は国境を越える度、機関車をその国の物に交換する。
従って現物に忠実に楽しもうとするなら、機関車に関する知識が必要となる。
一昔前なら資料集めに苦労しただろう。しかし今は皆さんがこのブログを読んでいる便利な道具と通信網がある。
ぐぐる。
片っ端からひたすらにぐぐる。
出てくるがそこに一つ壁がある。
コトバ。
あったりまえだがドイツの機関車はドイツ語で、フランスの機関車はフランス語で、イタリアの機関車はイタリア語で、wikiでも個人ページでも解説がされている。ドイツなんか物によってはビスマルクによる統一前の残党があったりして、プロイセンとかバイエルンなんて方向まで手を伸ばさないといけない。
ヨーロッパを縦横無尽に走った列車なので、ヨーロッパを縦横無尽に調べる必要があるのだ。ただ、鉄道の技術的な部分は、国によって大きな違いがあるわけではないので、「はは~んこれは日本国鉄でいうところの○○だな」など大体想像が付くのは救い。
その中身もここに書いてもしょうがないのだが、ひとつだけ、「へぇ~」と思ってもらえそうな話を紹介する。いま皆さんのお宅のコンセントに来ている電気。交流100Vで50Hzか60Hzなわけだが、ヨーロッパの古い鉄道では、こういう周波数に出くわす。

16 2/3Hz

じゅうろっかさんぶんのにへるつ。
要するに50Hzの更に1/3である。「ヘンなの」なわけだが、これは20世紀初頭、スイスなど、峠道が多くSLでは二進も三進もいかない部分を早々に電気機関車で運転しようとしたことに端を発する。走行用モータを回すのに交流から直流へ変換が必要なのだが、その変換を、機械的スイッチをパチパチで行っていたのだ(このスイッチ自体は小型のモータで動かす)その動作速度の限界が1秒間に20回程度、ということで、50Hzを回路的カラクリで1/3して使っていたわけだ。ちなみに、現在交流から直流の変換は「ダイオード」という半導体がやってのける。オンオフに必要な時間はナノ秒(10億分の1秒)の世界なので、50Hzや60Hzなど屁でもない。そしてこのダイオードのおかげで、直流を電源とする電子部品が平気で使えるようになり、今の電子制御全盛の家電機器、その最たる半導体の塊パソコンを生んだのだ。そして実は、この「ダイオード」開発の動機自体、電気機関車を普通の50Hzや60Hzで使いたいという技術者の思いに端を発する。この便利な家電品時代の発端は往年の電気機関車の技術にあるのだ。
ちなみに、直流から交流へ変換するには「インバータ」という回路を使う。「あっ!」…そう。エアコンや蛍光灯回路に謳ってあるインバータはこれのことである。ダイオードの親戚である半導体、トランジスタを高速でオンオフして、好きな周波数に作る。新型電車の床下から聞こえてくる「うぃ~んうぉ~んあぉ~ん」という唸り音もこのインバータの動作に伴う。
ちなみに、このインバータも、最初に実用化したのは鉄道である(1967年)。

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