Couvade Syndrome
クーヴァード症候群。日本語では
「共づわり」
すなわち
「夫に現れるツワリの症状」
のこと。
以前からチラチラ書いていたオレの身体に現れた変な症状ってこれ。結局の所
「妊娠した妻を心配するあまり、想像妊娠と同じような症状を呈したお父ちゃん」
とまとめられるか。だからムカムカ感や食い物・味に対する嗜好の変化、ニオイへの敏感さ、ほぼ一緒。
「その薬ならもう要らなくなりました」
昨日月曜、オレは行きつけの心療内科にそう報告した。「この症状が治るのは唯一、お腹の子ども生まれること」と書いてあった症状が消えたのだ。
こうのとり、飛んで行ったから。
「妻からの報告メールを見るのが切ないっすよ」
「それは…切ないなぁ」
で、今日はデイリー入院で手術である。掻爬(そうは…意味は辞書で引いてよ書きたくないから)術で子宮復古を早めるのだ。9時過ぎに入院手続きを取り、準備処置、点滴、そして午後2時、妻を看護師に託し、一人で送り出す。
夫一人、待つ時間。
産科・婦人科病棟。
4人部屋、隣のベッドの女性。
回診の時間。
「先生、私の…寿命ってあとどのくらいです?」
…は?
「それは判らん。明日かも知れんし、何とも言えん。ただ、一生物の病気だから、今のうち美味しいものいっぱい食べときな」
「…え」
ちょっと待て。
待ておめぇ。
おめぇ医師免許持ったバカだろ。
「切った」「再発」というフレーズからしてCancerの類であろう。
だからって、言うか?
そういう言い方、するか?
「死」の裏返しで「生」の尊さを知る…オレが普段主張してること。でも、この発言は「死」を見慣れて感覚がマヒした人間の物言い。
カリカチュアライズを試みた記憶があるが、本当にいるんだ、こんな医者。いや医者じゃねー、医師免許持った勘違い野郎。
おまい、生殺与奪の権限でもあんのか?あ?
「ありがとうございました。よく判りました」
泣き声でそんなこと言わすなよ。
「ハイ、負けません」
に導くのが正しいんじゃないのか?
いやでも聞こえる側にも心理的に悪影響あるんだぜ。
ぶん殴ってやろうかと思ったが、繋留の1day入院じゃ説得力がない。
MDがひと回りした頃、妻が戻ってきた。
ヘッドホンを外して迎えると、ストレッチャーの妻は全身麻酔でぴくりとも動かない。その姿は普段の寝姿に似てしかし真の寝顔にあらず。
ストレッチャーとベッドの高さを合わせ、インターン含めた5人がかりでベッドへ移動。
退院へのスケジュール云々。
鉄ヲタな本を広げて目覚めを待つ。飲まず食わずでさんざ待たされて、連れられて、戻されてきた妻。
表情のない寝顔が、健気で切ない。
薬が切れて、帰路についたのは夜8時前。
Couvade Syndrome
「あんたが奥さん愛してる証拠だよ。はっはっは。薬出しておくよ」
それは笑ってもらえる、幸せな「病気」。
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