見える人
ウチの。
「本体」であるサイトの物語群において、シリーズ物の主役張ってる娘達は悉く「超常感覚的知覚」の持ち主である。更に言えばレムリアは魔女だし、エウリーに至っては「妖精」である。
当たり前だがそういう存在がお話キャラとして生まれた背景は「そういう人が実際いたから」、以外の何物でもない。
工学と数式を武器にメシ食ってる人間の書くことではないが、仮に、そういう能力が事実だったとしても、科学的に検証することは困難だと思われる。なぜなら、現行自然科学はローレンツ/アインシュタインで定義された4次元時空の中で起きている現象しか扱えないからだ。時間や空間を容易に飛び越えて発揮される能力・現象を扱える方程式はないのである(幾何学的には何次元でも扱うことが可能である)。
で、どうにかこうした能力を科学的に捉えようとした結果が「超心理学」である。能力の弁別同定・定義化を行い、事実の蓄積、確率論の帰納法的否定という形で実在性を検証しようとしている。ちなみに、「テレビジョン」という言葉は、本来遠隔視(千里眼)を意味するこの超心理学の用語である。
しかし。
実際の所、こうした能力をその内容で弁別するのは、「当人」達にとってはあまり意味をなさないようである。と、いうのも、大ざっぱに「見える」か「判る」かどっちかで表現されるだけの話で、対象が形而上的か物理的に不可視のはずのモノかの違いでしかないからだ。我々イパーン人でも「ああそうか!」という「思いつく」「洞察する」系の認知経験をすることがあるが、この「ああそうか!」系に近い形で「判る」「見える」のが「超常感覚的『知覚』」の現実的な様態である。上記ウチの娘達で言えば「映像イメージとして見える」パターンが多いのが理絵子であり、いきなり結論として「判ってしまう」のがレムリアである。ただ、二人ともそればっかりというわけではない。
長い前置きはこれくらいにして。
妻が「そういう人」に一度逢って相談してみたいと言い出した。「スピリチュアル・カウンセラー」と呼ばれる職業(?)である。ちょくちょく書いてるオカルト好きな整体師の人づてだ。当ブログの過去を振り返っていただくと判るが、妻は精神的に強いダメージを受けておかしくない経験をこのところ度重ねており、今後について示唆を得たいというのだ。創作の世界ならそんなわけで「そういう」娘たちと当たり前のように遊んでいるわけだが、彼女たちが能力に呼応する形で非情に高い精神性…そんな娘本当にいるのか?レベル…を備え、自らを強く律していることでお判りの通り、現実として提示された場合、はいそうですかと即座信用するつもりは毛頭無い。むしろ殆ど嘘として「とりあえず排除する」方を選択する。が、今回はそんなわけで妻が参っていることは判っているので、そうして気が済むなら、一般解としてポジティブな文言が得られるなら、相手の真偽はさておきマイナスにはなるめぇと送り出した。整体師だって嫌なこと言われる人間が相手なら付き合ったり紹介したりはするまい(聞いてるか誰彼付けて悪霊憑きとしか言わないキサマら)。
で。
メールの文言からして帰宅しての所作からしてガラリと変わった妻がそこにいた。その筋の用語で言うなら「オーラが変わった」のである。
「心のつかえが取れた」
妻は言い、蕩々と語った。
全部書けばキリがないが、特徴的なことをひとつ紹介する。妻は幼い頃病気がちで、故に家族が心配していたという。それを「自分の身体が弱いせいで周囲に迷惑をかけた」と幼心に感じ、ずっとそれを引け目として背負ってきたらしいのだ。言うまでもなく暗示による思いこみである。それを指摘され、「気にしなくていい」と言われたという。
過去の心の傷に対する無意識の抑圧、繰り返しによる暗示がもたらす自己否定。
人の心は常に「あるべき姿」になろうとバランスを取るべく行動するが、無意識や暗示は自分が意図しない範囲(識域下、という。心理学用語)で行われるが故に、バランスを取りたくても取る手段が見つからず、歪んだまま「すっきりしない」になったり、自分で理解できない異常な行動(典型例が虐待や自傷)に及ぶことがある。この場合、そうした識域下の何たるかを拾い上げ、自分のものとして認識させ、そして…これ重要…「肯定」する必要がある。「それでもいい。それでいいんだ」というわけである。けだし良好で理にかなったセラピーなわけだ。ちなみに実際には「引け目を持っている」という指摘が先に来て…この辺が超感覚…過去の事実を「そんなことなかったか?」と質問誘導で引き出されたという。何のことはない、それこそ理絵子やレムリアがセラピスト的に動く際に見せているそうした行動を妻自身受けてきたわけである。逆に言うと、妻に見た「変化」は当たり前である、と捉えることが出来るのだ。つまりどうやら…である。
好印象はもう一つある。占い的なことを一切言わなかったし、当人も「依頼されても受けない」としていること。
占い予知は良く「高位の霊にお告げをもらう」「アカシックレコードを見てくる」みたいに表現されるが、実はあの物言いはキライである。彼らの言うことが正しいなら「最初から全部決まってしまっている」ことになる。これは人間(生命全体)の根本原理のひとつ「自由意志」の存在否定に他ならないからだ。今あなたがこうしてこの駄文をこんこんと読んでいることは(こんこんとオレが書いたことは)最初から全部決まっていたことなのか。
あなたは神のプログラムしたロボットなのか。
違うであろう。神は己の姿に似せて人間を作った。神は神自身意志を持つ。答えはそう、聖書の頭にまず書いてある。運命というものは選択肢は与えるが、その結果までは用意していないのである。就職や結婚、伴う激しい葛藤が全部無駄だと言われたら誰だって怒るだろう。ちなみに気付かれている向きもあるかと思うが、ウチの超能力娘達は「占い」を一切やらない。予感めいたことを言うにせよ、因果律は破らない。
「また何かあったらメール下さいって」
妻は最後をそう締めくくった。まぁ、いいんじゃないか。ウチの娘たちとよく似てるし。変な判断基準だが。
「そう言えばあなたのことも色々言ってた」
ほう?
「足が白く見える。足が悪いでしょうって」
椎間板ヘルニアの影響で左足の血行は良くない。
「クジラが見える」
イルカなら話に出したが?
「アルプスのような山が見える」
オリエント急行のビデオばっかり見てるからだろう。あれスイスオーストリアと走るからなあ。
「日本アルプスだって」
上高地や蓼科ならヒョイヒョイ行くぞ。
「スケールが大きい人だって」
バッタが怪獣に見えるような小さな列車達をタタミの上で走らせてニヤニヤしてるわけだが。
「古(いにしえ)の智恵を多く持っている人だって」
そりゃこっちのヲタ活動も長いからねぇ。
ちなみに。
物語全て設定書もあらすじもない。ストーリーも時に文言すらも示唆的に洞察的に与えられる。
とか不思議な一文を書き加えて今日の駄文をぶっちぎる。
さ、線路敷いて来ようっと。♪インナーチャイルドの発露~。
スピリチュアルや宗教の本来の目的は「人に安心を与えること」。
これが成された時点で役割は果たしている。手段や大義名分や教義など何でもいいのだ。
そこに金が絡むと途端に胡散臭くなるわけだが。
・・・とにかく姐さんが元気になったなら良かった。
すのぴはスケールがデカいのかどうかは知らんが、いろんな意味で「筋金入り」なのは間違いない。
投稿: TAC | 2007年11月11日 (日) 17時43分
>TACちゃん
> スケールがデカいのかどうかは知らんが
息子は小さい
> 「筋金入り」なのは間違いない。
その裏側に1本
(安心した?)
投稿: すのぴ | 2007年11月11日 (日) 17時59分