ぷりてぃ・きゅっきゅきゅきゅあ~
「映画・yesプリキュア5~鏡の国のミラクル大冒険~」
70分。ビスタサイズ。スーパー16でCG併用。DTS。
娘が好きだからねぇ。「映画デビュー」には丁度いいと思い連れ出す。それなりに視聴率かましてるアニメなので、「劇場着いたら満員です」も予想されることから、あらかじめネットで座席をリザーブして出撃する。席は予約の甲斐あってど真ん中。が、入りは半分ほど。あらら。ただ、中学生であろう、女の子同士の二人組がいて少々驚いた。まぁ、普通に考えてアニメファンなのだと思うが。「恋空」までの時間つぶし…じゃないよね?
ではインプレ。
映像・音響
そっち方面のマニアであるからまず着眼点はココだここ~(あら?)。どんなに中身が良くても「劇場ならでは」であるべきここがおろそかだと興ざめである。
まず絵の造り。端的に言えば「テレビのまんま」である。そもそもスーパー16(16ミリフィルムで撮影し、35ミリに焼いたもの。引き延ばし写真と同じ)なので、画面ザラザラ。ハリウッドに比して邦画がザラザラして見えることに気付かれている方多いと思われるがそういう理屈である。色数に凝っているわけでもない。「ドラえもん」ですら毎作「テレビよりはオシャレな服」にしてあるのにここは残念。主役が妙齢の少女達であるから尚。
また、画角(1画面にどの程度の広さを切り取るか)もテレビのまんま。すなわち、一人ずつのアップ、カット替えを多用している。そもそも劇場は巨大に引き延ばされるので、キャラが画面上多少小さめでも構わないのだ。なので、映画ではカメラの視野を広い目に取り、キャラと周辺を同時に取り込んで、「周辺がこういう状況の中でのキャラの位置」的視点で、キャラクターの動きを見せ、カメラ自体はあまり動かさない、「落ち着いた」絵づくりにするのが普通である。黒澤明が好んで使うが、宮崎駿あたりもこの辺の作り分けはしている。この結果、戦闘などめまぐるしく動くシーンで画面がパカパカ変わることになり、少々目が痛い。DVD化後を視野に入れたか劇場の性質を作り手が考慮しなかったか判らないが、ここも減点。ただ、いつも通りと言えば、いつも通り、であり、違和感はない。
音。なんとDTS(ディジタル・シアター・システムズ)…マルチチャネルオーディオである。こういう子ども向けアニメは、セリフが聞こえりゃいい的な造りが多いが、これは意に反し?存分に遊んでいて楽しめた。変身の決めぜりふは頭の上から煌びやかに降ってくるし、悪玉の声は位相をいじって脳内定位させ、不気味さを強調する。また“悪”のイメージ演出に重低音は欠かせないが、ちゃんとサブウーハが唸っていた。一般家庭でこれをサブウーハ付きのシステムで再生するというシチュがどれだけ存在するか不明だが、有無で効能はかなり変わってこよう。ただ、音質自体はレンジが狭くテレビ的。まぁ、DTSのフォーマットをフルに利用して凝れ、と言うのは酷であろうが。
本編。
本作はボタンを押すと蝶の形が投影されるLEDライトを入場者全員に持たせ、「ピンチの時にライトの光を」という小細工がしてある。冒頭その使用法の説明を2頭身キャラが行うが、「オトナの皆さんも楽しんでくださいね」「高校生以上のお友達も応援してね」と来やがら。ちなみになるほど適当に幼児には「はぁ?」なギャグも突っ込んである。おーほほほ。
さてストーリーである。コスプレ出来るテーマパークに遊びに行き、鏡の迷路に入ったところで、「鏡の国」を滅ぼした悪玉が彼女たちを引きずり込み、というもの。悪玉は女性キャラだが腹筋が割れている(どこ見てんだ)。この結果、闘う相手はなんと自分たちのコピー、というのが主筋。正義もので自分のコピーと闘うハメになる。どっちも自分だから決着が付かない…というのは、定番と言えば定番だが、本作では普段5人が「攻守」それぞれの能力を組み合わせて悪と対峙するところ、バラバラに己れのコピーと闘う、というテイストが追加されている。ここの解決が物語の主題となるわけだが、結果は示唆的ではなくかなり直接的に与えられる。ただ、それに共感できるのは主役彼女たちと同じ年代…ローティーンからミドルティーンだろう。そういう年代がどれだけ見るかという課題はあろうが(何せ同時上映が「恋空」だ)。ちなみに、ここで「プリキュアの流儀」…プリティでキュアなテンションってヤツがチラッと出てきて、見ている側はニヤッとさせられる(この結果5+1、とだけ書いておこうか)。適当にお涙頂戴もあり、トータルでは無駄な引き延ばしもなくきちんと出来ている。キャラクターグッズ売らんがなという底意ちらつくアニメが多い中、起承転結のハッキリした正義もの王道の出来上がりと言えるだろう。お子様に見せて良い水準だし、連れて行く大人の側も「付き合わされる」と腐らず、まぁ、見たらんしゃい。
娘の感想「面白かったけど短かった」…90分くらいあってもいいかもね。でもシンプルにまとめようとしたらこんなモンだよ。
おまけ
娘が「がちゃぽん」と同じメカニズムで出てくる「金平糖」を欲しがったので買ったはいいが、買ったそばから一粒も食べることなく全部こぼしたのはココだけの秘密だ。
…こぼれたと怒ってどうする。こぼしたのは君だ。
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