いつか来る話
「東海地震を想定した防災訓練を行います。30秒間、効果音を流します」
何その甘ったれ。
東海地震では数百キロに渡って大地岩盤が揺れ動き持ち上がる。それは地球規模の変動であって秒単位では終わらない。しかも東海地震は過去単独で起きたことはなく、同時か時間差はあれど、必ず東南海、或いは南海地震とペア、トリオで生じる。
近似類例を私たちはスマトラ地震(2004/12/26)に見る。この地震は上記「トリオ」に相当し、7分間にわたり1300キロの岩盤が動いた。地震動は長いところで当然その7分に達した。日本の震度に直せば5強程度だったとされるが、それが「7分」継続する恐怖は想像するに余りある。試みにじっと押し黙って秒針が時計を7周りする間眺めていると良い。その長さが判るはずである。
とかやってたら、日本で想定される最大規模の地震は、東海・東南海・南海・琉球まで同時に動く「4連動」であるとする説が最近出された。
http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou78/11_07.pdf
高知県に美観で知られる海岸段丘が存在するのをご存じの方もあると思うが、あの段丘はこの種の巨大地震で土地が持ち上がって形成された物に他ならない。そこから割り出される発生間隔と、他の類例と引き比べた時、日本では1700年前後の間隔でこのクラスの超巨大地震が起きているのでは?とするのがこの論文の主旨である。確かに理科年表にも記紀時代の地震記録が載せてあり、684年は確実に巨大地震、アトランティス類例の「冠島伝説」が701年などとある。但し「可能性の指摘」であり仮説に過ぎない。
しかし、その内容はスマトラレベルがほぼそっくりそのまま日本近海で起こる可能性を示唆する。東海道沿いの3大都市圏は3連動でさえ震度5強~6強の揺れが「数分」続くとあるから、もし、「それ」が起こり遭遇した時、人は果てなく続くかの如き恐怖の中に放り出され、精神の正常性を維持することすら困難な状況に直面しよう。
さんざ脅かした。しかし、幸いなことに我々はそうした情報を知識として有し、幾千の貴い犠牲に学び、記録した。
持ちうる情報と取りうる行動を全て記す。
情報
1.次の東海地震はこれまでのパターンを踏襲するなら「3連動」(マグニチュード8.5以上)であり、2050年あたりまでに必ずやってくる。
2.上記仮説を正と置くなら、スマトラ級超巨大地震となる可能性もある
3.その前後には内陸断層を震源とするM7クラス直下型が頻発する。この直下型は日本列島のどこでも区別なく起こりうる。阪神・淡路大震災/新潟県中越地震クラスの非常に激しい揺れを伴う
4.直下型は突然襲来し、予知は不可能である
行動
1.激しい揺れは人を翻弄し、その恐怖もあって何も出来ないと考えるべきである。確保すべきは身の安全であり、日頃からそのための場所と落下破損の発生防止に努める必要がある
2.深甚なる恐怖に打ち勝ち身の安全を図る手段は、日頃の鍛錬で身体に憶えさせる以外に手はない。シミュレーションを繰り返し自らを鍛えよ
3.「緊急地震速報」は「数秒」の猶予を与えてくれるシステムと捉えて良い。可能な限り速報把握手段を保有し、最悪の環境下(天ぷらを調理中・ストーブ等高温器具使用中)で、「1秒」「3秒」「5秒」のうちに何が出来るか訓練しておくと良い。
天ぷらシミュレーション:1秒ならフタをする。3秒ならフタを被せ、火を消し、ガス台から離れる(熱いのがこぼれるから)。5秒なら更にテーブルの下などに潜る。
4.巨大地震は数秒から数十秒の初期微動から始まる。この間であれば震動下でも何らかの行動を取ることは不可能ではない。同様に訓練しておくと良い
5.ガスレンジは使用量メータ内蔵の電子回路で自動遮断される場合が多い。使用機器が自動遮断装置付きか確認しておくと良い。「火を消す」1秒を「火の元から離れる」3歩に使える
6.地震だ火を消せは格言であるが、何よりも生き延びよを金言とせよ
重要なのは、東海地震が「言われている通りの内容で起こるとは限らない」及び、「その前に予知不可能で揺れの激しい直下型が来る」と知ること。そして「人は揺れに翻弄され、何も出来ない」を前提に置くことである。
★Newtonムック「連動して発生する巨大地震」(2007/12刊)によると、スパコン「地球シミュレータ」にデータを与えたところ、1707年宝永地震から1946年南海地震まで、誤差30年程度で正確に再現したという(万年スケールのテクトニクスで誤差数十年は驚異的高精度である)。
この地球シミュレータの解によると、「次東海地震」は2019年3連動である。とはいえ誤差数十年。明日かも知れない。
※他に台風もいじったりするので「防災」カテを作りました。検索する人どれだけあるか知らんけど
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