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2008年6月25日 (水)

違う論文の必要性

昨日一日中エクセルいじってsumifとかやっていたせいか、少々、身体がきつい。
腰の爆弾がフラグ立てていることもあり、会社サボった。
サボったついでにチョウ達の旅立ちを見守りながら、本やネットで技術論文を漁るつもりでいた。会社ではじっと考え事をしているというのはサボっているように見えるせいもあり、だったら家でやっても同じこと。実際本読んでうたた寝して……と過ごしていた。
その状況を発見するまでは。
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幼稚園から帰った娘とサナギの状況観察をしていて、サナギから半身を出した状態でもがいていた、彼。
「彼」、と書いた。オス、と同定した。理由は後で書く。
チョウの羽化、とりわけサナギから出るという作業は、一瞬勝負の命がけだ。人間の場合、胎盤から離れた「胎児」が「新生児」として自発呼吸を始めるまでの間が、同様なクリティカルゾーンになる。彼らの場合、翅が乾燥を始める前にサナギの中から出られるか、となる。伸びないまま、歪んだまま、翅が乾けば、当然、飛べない。羽化失敗、である。ちなみに、翅は翅脈に体液を充填して伸展させる(エウリーの翅の伸縮はこのメカニズムに依っている)。
彼の場合、ステンレス製の物干しポールでサナギになったのが失敗であった。吸盤脚のアオムシならたやすいが、ツメで引っかかる成虫の脚は滑ってしまい、ステンレスを掴むことままならず、身体を引き出すための足場が取れなかったのである。
失敗、と書いた。むろん、彼の責任ではない。そこにそれを置いた人間の責任である。
もう一つのサナギの前には足場になるよう布を巻いた。
そして。
「さぁ出てこい」
指に掴まらせて脱出させる。引っ張り出したいところだが、ムリに人力を加えると取り返しのつかない損傷を被ることがある。あくまで野生の力に任せる。
彼は出てきた。少なくともそのままで終わってしまう事態は避けられた。
だが、しかし。
しかし。
朝間に行われる作業に対して、発見が昼過ぎは遅きに失した。
彼の翅は既に固着していた。移動させ、ここに止まらせて休ませた。
すると、その下床面に、既に息絶えた別の個体があった。裏返しで落ちてしまい、どうにもならなくなったのだ。
娘の祈りと共に神に返した。
で、彼、である。本来失敗した個体は最終的に他の昆虫か鳥の餌食となる。しかしベランダにはアリもカマキリも、クモも鳥もいない。
でも、そうするのか?
或いは、引き出さずそのまま「あるべき姿で」?……どちらにせよ惨いであろう。
予定外の論文を検索し、調べることになる。蜜を吸う時間帯は?オスとメスで食性に違いがあるのか?そもそも見分け方は?言われる紫外線以外に人の目で外見上弁別する手段はないか。
ちなみにメスであったなら、それでも救いはあったかも知れない。オスの方から探しに来るからだ。ブロッコリーの上に止めておけば良い。
しかし紹介されていた弁別法の答えは、彼はオス、であった。要するにオチンチンに相当する端部構造を持っている。
そしてオスの生態。

・成虫寿命は7日ほど
・日が昇り体温が上がるとメス探し、疲れると蜜吸い。日がかげると休む。そんな一日。
・羽化直後は食う間も惜しんでメス探し。寿命期は体力落ちてきて吸蜜の頻度増加

ちなみにメスは

・羽化すると即座にオスに迫られる(オスは羽化直後のメスを血眼で探している)
・メスの交尾はほぼ1回のみで、交尾が終わるとひたすら蜜を吸い卵を産む、を繰り返す(だからオスとしてはそのメスに迫れるチャンスは1回)
・個体によっては2匹目を受け入れることもある

浮かび上がるのはひらひら舞う可憐な姿からは想像も出来ない、苛酷なまでの生命維持・繁殖の本能。
1週間という限られた期間で、なるべく多くの卵を産む。必死そのものだ。
その中にあって「飛べないオス」の意味するところは、非情の一言。
風が吹いてきたので屋内へ引っ込めることにする。翅を持つ……「裏返しにひっくり返る」など想定されていない生き物だからだ。だから羽化中に落ちると致命的なのだ。
ハチミツを水で薄めて指先に付け、誘う。味覚は前脚。
「ほ~らこのくるくるストローみたいなのが口だよ。伸ばして吸ってるだろう」
オレの指から吸う姿に、娘は喜んだ。吸う姿にオレはホッとした。羽化という作業は激しく体力を消耗する。応じた栄養補給をしないと、当然命に関わる。ただ、羽化の時点である程度体力を持って出てくるようである。そこで、余裕があるうちは、蜜よりも交尾を優先するわけだ。
しかし本来まじまじと見ることすらままならぬ成虫の吸蜜を、こうじっくり観察できしまう理由の痛さ。

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妻に頼んだ花の上。君よ蝶であるなら花にあれ。綿棒は掴まらせての移動用。本来羽ばたいて落ちるはずの鱗粉が、歩く花の間に散りしだく。
しかし君は蜜を吸う。私にはその義務がある。


生きろ。

参照論文・報告書
http://sci.kj.yamagata-u.ac.jp/~columbo/PROFILE/JEC98a/index.html
http://www.tuat.ac.jp/~ethology/Cabbage/sex.html
http://www.angelfire.com/dc/coulmbo/Paper/article3.pdf

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