東海北陸自動車道開通に寄す
生活基盤の整備をおろそかにして道路だけ造っても意味はない、と以前書いたが。
この東海北陸道については取り立てて文句は言わぬ。鉄道ヲタ的には高山本線の最強ライバル誕生となるわけでいささか歯がゆいが、そんなものJR倒壊が新幹線にうつつを抜かして放置していた側面もあるので、目ェ醒まさせる程良いカウンターパンチになるのでは程度に捉えている。飛騨高山抱えてるからって親方日の丸でハナクソほじってると痛い目に逢うよ。
最も、元より鉄道と道路では物流における役割が異なる。
「大量に確実に」は鉄道であろう。対し道路は「きめ細かく臨機応変」だ。ここに「速度」という要求項目を加えた時、鉄道は新幹線や列車の高速化が対応し、道路は高速道路が対応するのである。
やふちずでは繋がっていて、ぐーぐるまっぷで途切れている部分が、今回開通した区間である。
更に白川郷周辺を拡大した。このように「隣町へ行く」だけでも九十九折りの峠越えを要求されたのがこの地域だ。びょうびょうたる荒野の一本道に平行してスカスカ高速道路を造るのは感心しないが、こういう地域にはあった方がよい。実はトンネルでぶち抜くというのは時短の効果のみならず「その中に雪は積もらない」という重要な事実がある。そして当然、高速道路の存在は「第2ルートの形成」を意味する。すなわち生命線を太くするという深刻で重要な役割がこの開通にはあるのだ。何でもかんでも道路建設に反対という立場ではない。
また、この道路は都市フィーダー線というより、都市間直結、横断の意味合いが強い。フィーダーでは都市から遠くなるにつれ利用量は段落ちし、スカスカ区間が生じるが、これはそうではない。名古屋と日本海側という拠点間を連絡し、途中この山岳地域を通ることによって、日本海側-太平洋側。山-海。名古屋圏-周辺都市圏という幾つかの「人と物の流れ」を生み出す。シナジーが容易に想起できる。こういう道路なら、あっていい。
名古屋-富山240キロ。
「え?」
この数字以上に両地域間に距離感を感じる人はどっちのエリアでも多いのではあるまいか。そう、その距離感を生み出していた物こそは高速道路の不在だ。実際にはこの程度だ。名古屋から見ると諏訪に行くのと大して変わらない。高速道路なら容易に時間が読める。午前に出れば昼には着ける。
……誰ですか2時間だなとか言ってる方は。根本80キロ制限で途中6割は片側1車線区間ですよ。
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