東海豪雨二分の一
発生機序も雨の強さも2000年9月の同災害と同一である。ただ続いた「時間」が違った。二分の一とはそういう意味である。
まず犠牲になられた方にお悔やみ申し上げる。また、行方不明になられている方の一刻も早い発見を祈る。そして被災された方々にお見舞いを申し述べる。
気象ヲタクであるから、「今降っている雨の雨量がどのくらいか」アスファルトを叩く音である程度目星がつけられる。「50mmだな」しかしてその通りであった。
その時アパート前の道路の状況がこの有様である。ぬーちゃん水に浸かり、無数の雨粒がストロボに反射している。
朝起きてこんな感じ。サンダルでつま先程度。5センチといったところか。この街の排水限界はこの50~60mmあたりであろう。これで妻は「クルマが浸かるかと心配で仕方なかった」と言った。オレも「それ以上」であったなら、本気で心配したであろう。
しからば、一宮の100mmとか、岡崎の147mmが、どれほどの恐怖であったか、闇夜で何も聞こえないほどの轟然たる雨がいかほどのものか、想像するに余りある。レーダーで追跡し、そろそろ終わる、また来るなどある程度目星を付けられてこれなのだ。貼ったように岡崎は突如豪雨となり、狂ったような1時間を挟んで3時間以上続いた。
この間に短時間記録的大雨情報が出、名古屋市にも避難準備情報、そして避難勧告へ切り替わった。こうなるといつ何が生じてもいいように待機している必要がある。結果、↓のように午前2時半雷雲群が通過し終わるのを確認するまで、懐中電灯片手にレーダー見ながら、デジタルテレビのデータを追いながら、自宅警備員を続けた。よく、「自分の畑を見に行って」「港に船を見に行って」水難に遭うという話を聞くが、その「見に行ってしまう。行きたくなる」気持ち判らぬでない。見下ろせばそこにある自家用車ですらそうなのだから。
しかし行ってはいけない。
怖いことを二つ書いておきたい。
一つは情報源の所在とその把握の方法である。ネットとデジタルテレビでビジュアル的に追いかけた。仮に停電すれば携帯ワンセグの出番だ。ラジオは最後の手段。なぜならラジオでは「オレの頭の上」まで細かいことまでは教えてくれない。
「名古屋の中心部、栄では現在傘もいらない状態です」
テレビでキャスターがこうリポートしたその瞬間、8キロ離れたこの地域では聴感60mmレベルの豪雨であり電光が縦横無尽に空を舐めていた。積乱雲1個のスケール(直径10キロ)からして、「妥当」な状態である。
もう一つは実はその雷紫電である。「いい歳して雷怖いのか」そうではない。夜間の写真で不意にストロボが動作し目が眩んだ経験をお持ちの方は多いであろう。あのストロボが間断なく、しかもより以上の強い光で天から降ってくるのである。そもそも暗闇対応で瞳孔の開いた目には危険であるし、光った瞬間は真っ白で何も見えず、光が消えた後は、今度は瞳孔が閉じるのでやはり暗闇で何も見えない。
そうこの紫電「暗闇で視界を奪う」という恐るべき副作用があるのだ。「雷の光が道を指し示す」とんでもない。一歩先の危険を真っ白かあるいは真っ黒にする。停電の暗闇で避難。そこへ雷。逆に無理に進んではいけないのではないか。そしてやはり、「心配だから」はいくら心配でも行動してはならない。命を失ってしまっては元も子もない。
名古屋と八王子が同時に被災地としてニュースになるとは思わなんだ。どっちのニュースも知っている場所やクルマで走った場所。同じ機序同じ時間。その同期性。
「お~い父ちゃん」
「おう」
「しんどかったやろ。こっちと同じだから判るわ」
「ああもう寝られなかったよ。こんなの初めてだ」
これを見ているアナタ。情報はその見ている道具を使い、ここで見よ。
気象庁気象レーダー
http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=000
(お住まいの地方をクリック……同じものは地デジNHKでも見られる)
電力会社雷レーダー
中部電力
http://www.chuden.co.jp/kisyo/
東京電力
http://thunder.tepco.co.jp/
東北電力
http://www.tohoku-epco.co.jp/weather/
この異様な赤をオレは忘れない。
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