カロxをカロxに
「カロッツェリアx」を「カローラフィールダーx(Gえでぃしょん)」に。
……ちょっと苦しいか。
激しく苦しいな。
ああ判ってるよ突っ込むなって。
後悔してるんだから。
●冒頭の能書き
BMWに載せていたカロxをカローラーフィールダーに移植した。
見ての通りウチのカロxは第1世代もいいところなのだが、システムのコンセプトは変わっていないし、組み込む際の考え方は世代関係ないと思うので「クルマで良い音」を求めるファイルに向けて内容を紹介する。なお、施工はちょくちょく出しているが東京八王子「サウンドインゴーイング」にお願いした。同店の了承を得ての施工写真付きである。
●ハードウェア構成
同時にナビを更新し、地デジに対応させている。自ずとDVD再生が可能となっている。
ダラダラ書き並べる。
ソースセレクタと1枚CDプレーヤ。元々はカセットテープ再生用にK1xだったのだが、故障し、部品供給期間切れで修理不能。こいつに交換した。なお、今回の換装に合わせて光ピックアップを交換している。
マガジン式CDプレーヤ。大雨で昇天、修理不能となって2代目である。HU同様にピックアップを交換している。
要するにフルデジタルのグラフィックイコライザである。なお、この機械は中にNAC(ナチュラルアコースティックコントロール)というヤマハDSPと似た概念のリバーブレータを持っているが、D7との組み合わせでは無効となる。まぁ元々NACを働かせたことはないので、あってもなくても別に良い。
・D/Aコンバータ&パワーアンプ
トゥイータ RS-A1xII
ミッドレンジ RS-A2xII
ウーハ RS-A2xII
カロxはパワーアンプ直前までデジタル伝送を行い、劣化やノイズの影響を極力抑えようというのが基本コンセプトである。そのため、パワーアンプがDAコンバータを持っており、音楽信号はここで初めてアナログに変換され、即座に増幅される。DAコンバータはレガートリンク。パワーアンプ段はA級(A1xはピュアA)である。但し、ボリュームに合わせてバイアス電位をスライドさせ、消費電力低減と発熱抑制を図っている。電位スライドの方法はPWM。要するにスイッチング電源。なお、今回の換装に際して劣化チェックとはんだ付けの手直しをしている。
・スピーカ
トゥイータ TS-T1x
ミッドレンジ TS-M1x
ウーハ TS-W2x
↑T1x
↑W2x
カロxではスピーカまで指定というわけではない。実際これでJBLとかロックフォードをドライブしている人も多い。オレはオーディオフェスタのデモカーが「エクスクルーシヴ直系」の優等生サウンドを奏でていたのでLOVEして全パイオニアで組んだだけ。
オーディオ部分は以上である。この組み合わせを端的に表現すると「フルデジタル3ウェイバイアンプ」になる。大馬鹿と評するも良し、「徹底的にやりやがったな」と思ってくださるも良し。なお、下記のようにDVDの音も回しているが、サラウンドには組んでいない。また、サブウーハは昨今シアターシステムのように左右ミックス「0.1ch」的鳴らし方、古い言葉で言うと「3D方式」も出来て、BMWではトランクをエンクロージャにする都合上、そ~やって鳴らしたが、今回は左右別々にエンクロージャを用意したので普通に3ウェイとした。要はピュア2chである。
2.ナビ&地デジ
楽ナビ「AVIC-HRV002GII」
(画像はハメコミ合成)
オーディオのグレードに合わせれば「サイバーナビ」なのだろうが、
・モニタがインダッシュのみ
→視線移動の大きなインダッシュはオレサマのお気に召さない&オーディオのHU及びナビのDVDドライブ部分の行き場がない。
・結局何が違うって「スマートループでリアルタイムに地図が降ってくるかどうか」
→楽ナビでも地図はDVDで更新可能
しかもサイバーナビはオーディオ機能を持っているのでカロxと重複し、無駄になる。
じゃぁ楽ナビで別に充分じゃん。なのである。テレビチューナはこれから買うので当然地デジ。フルセグなのでB-CASカード付き。音は当然カロxに回す。また、DVDドライブが外部入力を持っているので、ステレオミニジャックを引っ張り出してポータブルオーディオを接続出来るようにしている。
●インストール
クルマ標準のナビ・オーディオは、インダッシュにモニタ付きの回路一式が組み込まれ、フロント・リア双方ドアトリム内部のスピーカを鳴らす構成。高音質バージョンだとAピラーにトゥイータが付く。その前提に逆らってオリジナルのシステムを仕込もうってんだから、それなりに工夫を要する。特にウーハ用エンクロージャの容積確保と、ごろつくアンプ軍(!)の格納は、原理原則を考慮しつつ、クルマの構造、荷物スペースとの3重4重のトレードオフから解決点を模索した。
結果から言えば原理原則に基づいた結果、シンプル&ストレートにスッキリ決まった。
トゥイータ→サイドミラー裏
ミッドレンジ→フロントドアトリム(純正と置き換え)
ウーハ→タイヤハウス後ろのスペースにエンクロージャを製作して格納
イコライザ→運転席の下
地デジのチューナ→助手席の下
パワーアンプ軍→スペアタイヤの上
で、ヘッドユニットとDVDはコンソールに収まる。モニタは当然その上と。この他にETCも載せ替えている。工期3週間であった。なお、見てお判りと思うが、デフォルトで用意されていた荷室とスペアの間の小荷物トレイはごっそり取り払った。あってもどうせ使わないので丁度良い。ちなみにそれでもアンプ上に10センチ程度の放熱空間「熱き風の通る道」が確保出来ている。
●音質
では一番肝心な話である。
テストディスクはこれだけ。
以前クルマ自体のインプレで「リスニングルームとして期待出来る」と、書いたが、結論としてはその通りであった。とかく自動車評論家諸氏には「静かだが刺激が無く退屈」言われるカローラ系であるが、それがことオーディオには逆作用で「アグレッシブな動く音響空間」に仕上がった。一言で言えば。
こいつでユーロビート鳴らしながら高速道路かっ飛ばすのは最高に気持ちイイ。
少し細かく特徴を書いてみよう。なお、チューニングはゴーイングオリジナル。「クロスオーバのカットオフスロープを極力寝かせるようにしてみた」バージョンである。鮮度とメリハリ重視。
・定位
BMWの時と最も大きく変わったのは音像定位である。ミラー裏にトゥイータが来ているので、そもそも音場が全体に上に引っ張られるのだが、フロントグラスで適当に反射する作用もあろう、ヴォーカルなど本当に目の前に像を結ぶ。別記DSP-Z11のインプレで、パンポッドで置いた音と生録とで違うとか生意気なこと書いてあるが、コイツでも同じことが言える。ちゃんと描き分けて来やがる。……バイアンプ組んでそのくらい出して当然とも言えるが。
・低域
高速で制動の効いた低域を叩き出す。車載の低音というと、のべつボンボン花火上げるのが多いが、こいつは「出てないんじゃないの?」と思ったところで「ズシッ」と言って寄越す。「低域感の演出」はやらない替わりに、本当に必要な時に本物を出してくる。「ウォーターマーク」のアレが出るんだから大したモノだ。当然、テクノ、ユーロ系の重爆ビートは文字通り重爆となる。ちなみにお店によれば、BMWの時は低域の制動に苦労した由。こっちは完全密閉箱で左右独立だ。その分有利だし結果がよいのは当然
・鳴りっぷり
厳密に言うと「2ウェイ+サブウーハ」なのかも知れぬ。中低域かなり広くミッドレンジが受け持つ。
ミッドレンジはドアトリム装着であり、そのドアトリムは樹脂成形品である。普通なら制振材を仕込んでとりあえず「箱鳴り」を抑制したいが。
「いい感じなのであまり押さえ込んでいません」(ゴーイング)
確かにパワーぶち込むとビビるが、そこまでしない範囲ではなるほど良い感じだ。トリムも発音体の一部となり、朗々と「鳴る」。但し樹脂形状の複雑さと、サイズのせいか、例えばボーズの101が限界超えした時のような付帯音は感じない。「四季」のヴァイオリンソロなんて一番「きつさ」を感じやすい帯域だが、歪まず鳴らし切ってみせる。
・シアターサウンド再生
DVDが鳴らせる。使うとしても娘の退屈しのぎにアニメ、がメインになろうが、敢えて本格派シアターサウンドを放り込んでみた。「ロードオブザリング」である。
エッジの立った鮮烈極まる音を出してきた。5.1chを2chミックスしてデジタルのまま放り込むわけだが、いかにもそのマルチ情報を全部含んでますという濃密で妥協のない音である。移動感は当然ないが、2本のスピーカに挟まれた環境はヘッドホン視聴に近く「包囲感」は十全。「も、見られる」どころか「こ~いう出し方もアリか」と思わせる実力を見せる。
・その他
「これオススメなんですよ」
引き渡しの際にゴーイングさんが接続したのは何と「iPod」。ロスあり圧縮メディアの最右翼を再AD変換して取り込むので、質的に不利なはずだが、これがそれなりになかなか。レガートリンクが上の方「作る」というのはあるが、圧縮メディア共通の「鼻づまりな音」感覚は薄まっている(圧縮だと一発で判る音ではある)。大したモノだといえる。
「じゃぁ」
ってんでこちらHi-MDに放り込んだプリキュアのCDからカットした「情熱∞」(フルビット録音)。
「……けっこう良くないすか?」
驚いたのはゴーイングさんの方、前にも書いたが、アニソンってのは主購買層の「大きなお友達」がハイクオリティ指向なので、ヴォーカルの録音はすこぶるクリアなのだ。これでポータブルメディア接続再生もOKである。
……ここまで出来てここまで出れば何も文句はございません。
●おわりに
ゴーイングさん曰く。
「最新のシリーズに必ずしも負けてない音に仕上がった」
アンプもスピーカも1990年代の製品。
ただ、中身もコンセプトも原理器であり、選りすぐった部品をシンプル&ストレートに配置。
一方でアンプやスピーカは増幅・変換原理が変わったわけではない。
10年で進歩がないとも言えるし、逆に言えば元々のクオリティが高いとも言える。
↓オメガ変換の式で、解「98db」を「99db」に上げるのに、右辺pがどれだけ変化する必要があるか、それが10年の「差」を物語っていると言える。
パイオニアさんへ。貴社はこの世界……モービルサウンドの世界を切り開いた文字通りの先駆者だ。
心意気は買う。コンセプトを継承していることに敬意を表する。
これからも唯一無二の先駆者であり続けたいのなら、奇をてらうな。
純粋さは、演出で得られる物ではない。
special thanks to SOUND IN GOING
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