夢色絵の具
2000年頃(2000年前、ではない)に書いた話で、まぁ見ての通り5分もあれば充分の「大人向けの童話」でござる。今読むとずいぶんとギクシャクした文体ではある。が、まぁ衆目に供せる水準は持っていると思う。
ギクシャクというなら書き直せばいいのかも知れないが、そのままにしてあるのは、この小さな話が現行リストしてあるお話共通の祖先という一面を持っているからである。
"inspired from Junko Kitano……"
「きたのじゅんこ」さんの絵に巡り会って幾つかのお話が生まれた。一つの系統が「妖精エウリー」シリーズであって、もう一つが無からプランク長さでポンと生じたこの「夢色絵の具」である。
話自体は中学の頃から書いていて、理絵子なんか高校の時の劇の脚本の娘である。ただ、主体は要するに超能力と武器がふんだんに登場する戦闘アクションで、かーなーり血生臭く、多くの人が死んだ。今でも時々えげつないほどグロテスクな状況が出てくるが、これは「死を美しく書きたくない」というテーゼのなせる技である(看護師レムリアはさておき、理絵子みたいなその辺の中学生が凄惨な状況平気なのは何で?という疑問はあるが。まぁどこかで「理由」が出てくるんでしょう)。
閑話休題。
そうやって生まれた話を自分で読んでみて、「超能力戦闘アクション」は全部お蔵入りさせた。すなわち「道が決まった」のである。夢見るようなファンタジーで、命を守る。物語サイトを立ち上げるに際しては必然「夢色絵の具」及び「エウリーシーズ」以降となった。ちなみにこのお題目「夢見るようなファンタジーで、命を守る。」両方持って空から降りてきたのが魔女で看護師……レムリアである。「夢色絵の具」は原点なのだ。だからヘタクソでも手を付けたくないのである。
で、書きたいのはここから先である。夢色絵の具の夢色の所以はきたのさんが用いる絵の材料「水彩色鉛筆」による。名前の通り色鉛筆だが、水を含ませると溶ける。水彩絵の具的一面も持っているのである。きたのさんはこの二面性を無限大に引き出し聖なる世界を描き出す。文字通り夢色絵の具である。ちなみにミニ講座などではステッドラー社(オレサマ的には製図用具の方にお世話になった)の製品をお持ちの姿を見かけたが、著書によれば場合場合に応じてメーカ・ブランドを様々に使い分けておられるようだ。
それで。
最近、この「夢色絵の具」に、まんま「夢色絵の具」を検索用語にお出でになる方が見られるようになった。何事かとぐぐってみて目が円くなった。
検索2番目は従前のHTML版。3番目はココログに移植したものである(HTML版は10月31日限り)。
そして1番上。
「ゆめいろのえのぐ~PaintEmotion~」は
「東京工科大学メディア学部」、ならびに
「東京工科大学大学院メディア学研究科」の研究の流れの中で制作された
2Dグラフィックのお絵かきソフトです。
本物の絵の具のように、絵の具を混ぜて色を作ってキャンバスに塗っていきます。
初めてコンピュータで絵を描こうという方も簡単に絵を描くことができます。
……コンピュータだから、ハッチングやパウダリングはでけんかも知れん。されど。
で×3。
「東京工科大学」ちゅーのは八王子のみなみ野地区にギリシャ神殿風の学舎をどどんと並べた私立の学校である。専門学校の「日本工学院」と同居しており、ひと頃都立八王子高陵高校(現存せず)が校舎を間借りしていた。
開校当初の大学はバイオもメディアもなくて、現在のコンピュータサイエンスと繋がりがあるか知らんが、「電子工学科」「情報工学科」「機械制御工学科」の3つの学科を擁するゴテゴテゴリゴリの純工学系で、内容上、女っ気これっぱかしも無かった。学食のメシも不味かった(ファストフードなんか出来たのはずっと後)。キャンパス内にはぬーどの彫像があちこちに建っていたが、「男だらけ」を想定した故だとまことしやかにウワサされた。ちなみに日曜朝の子ども番組「スーパー戦隊シリーズ」で秘密基地にされたこともある。そりゃ見ての通りガッコに見えぬ。
当時の教授陣は、企業OBや他校からの招聘が主体で、昭和30年代以降の日本の技術立国化のただ中第一線にあった人が多かった。他方時あたかもパソコンの高性能化とインターネットの一般公開が始まった頃で、我々はエレクトロニクス・情報化社会の萌芽の頃と、急速な電脳化両方を肌で感じることが出来た。振り返れば、そういう古い知見と現代最新双方同時に取り込めた期間はほんの僅かで、我々はその恩恵に与れた希有な世代かも知れぬ。
なんでこんなに妙に内実に詳しいか、説明するまでもあるまい。そしてエウリーはギリシャ神話のニンフの血を引く娘だ。このキャンパスにどんな感じの建物が建っているって書いたかな?
夢色絵の具でぐぐって色々な繋がりを感じてぶっ飛んだ会社休んだ10月の終わり。
●関連サイトまとめ
東京工科大学
日本工学院八王子専門学校
ゆめいろえのぐ(フリーウェア)
・きたのじゅんこさんの水彩色鉛筆レッスンブック
きたのじゅんこ-光と色のファンタジー-水彩色鉛筆画入門
エンジェル・レッスン
« そいつは素っ頓狂だ | トップページ | マイコプラズマ »
コメント