東京で、お金で、買えるモノ
「東京では『愛』以外は何でもカネで手に入る」と以前に書いた。
この他に、東京では敢えてカネ出して買う(買える)ものが一つある。
時間。
アキバなんかに寄り道して「座って」「早く」帰りたい時は特急電車に乗る。千葉までワンコイン500円(もちろん特急料金が、の話)。
車内改札に回る車掌とのやりとりを聞いていると「千葉」「千葉まで」「千葉」「千葉」と千葉が実に多い。距離40キロ30分。「総武線快速電車」より10分早く、座ってワンセグ片手にビール(家でビール片手にテレビと逆!)、或いはオレみたいにパソコン打ちに500円出すわけである。体のいい移動ネカフェである。
普通・快速列車のグリーン車も同じ。まぁ、まずはコレをご覧遊ばせ。お持ちの方は書庫から引っ張り出してみて下さい。
芥川龍之介「蜜柑」。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/43017_17431.html
(現代仮名遣いVer./著作権フリー)
ここに出てくる「二等車」は今で言う横須賀線普通のグリーン車である。読んでお判りの通り鎌倉湘南界隈の仮寓に住まうオカネモチさんのステータスシンボルであって、単に「別途料金を払えばよい」というものでは無かった。応じた立ち居振る舞いが求められた「空間」だったのだ。いつだったか「北鎌倉-鎌倉」間たった一駅をテリアを抱いたおばさまがグリーン車に乗っていた。車掌の検札に見せたのはグリーン定期だった。……まぁそういう世界だ。
しかし今、例えば横浜を東京へ向かう東海道朝ラッシュ。そして毎朝の総武快速も千葉を発つ東京行き朝ラッシュ。
何とグリーン車で立っている。
そしてリクライニングシートには目を閉じるサラリーマンやOL。
そう、「寝るための時間と空間」をグリーン料金で買っているわけだ。
見越してかJR東日本はグリーン車に関する体系を変えた。普通乗車券+グリーン券、或いはグリーン定期券が必要であったこの空間を、普通の定期券+グリーン券で乗れるようにしたのだ(Suicaグリーン車システムを包含する)。
51キロ未満750円(車内で買うと1000円)。時間にして1時間ほど。
アテンダントのおねーさんが乗っていて、飲み物とお菓子程度なら車内で買える。
特急料金500円。グリーン料金750円。
買えるのは移動に伴うひとときの寛ぎ。
東京は金さえ出せば何でも手に入る。但し、愛を除いて。
さて特急「しおさい」は千葉に到着する。
(錦糸町に行ってたわけじゃねーぞ。アキバだぞ。メイドカフェのおねーちゃんが←変わらねーよ)
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