迷惑電話
会社のオフィスで。
以下仮名。
ピロロロロロ……
「はい土日鉄道……」
「ああサトウですがオレサマさんいる?」
良くあるパターン、こっちが二の句を継ぐ前に、馴れ馴れしく、名前(しかも多くある)だけ言い、用件を言わず。
そういうのは「取り次ぎ」が目的であって、正常なビジネスコールでないのは明らか。
ダイヤルイン。すなわち個々人デスク直通の場合、本人が取るか、さもなければ庶務担当さんに回るのが普通の会社のシステム。ウチの場合、庶務は派遣ギャルさん。
勿論、普通庶務ギャルさんはその手のビジネスコミュニケーションスキルを持たされている。イレギュラーなビジネスコールなら大体こう答えるように試みる。
「申し訳ありませんがオレサマはただいま席を外しております。折り返し電話させますのでお名前とご連絡先を頂戴できますか?」
しかし今日かかってきた電話は、この応答に返す刀。
「いない?そんなわけないでしょ。いるはずだ」
と来たそうな。これでこちらがムキになったら「いるぞ」と判断するわけだが、そんなものビジネスマナー以前に人間同士のコミュニケーションとして失格だ。
テレアポ業者・担当に言いたいが、こんな失礼な物言いするところから、モノ買いたい。ましてや。
「マンションオーナーは如何ですか?初期投資も家賃収入でラクラク返せますし、それ以上の収入が黙っていても入ってきますよ?」
なんてのを信じると思うのか。ルールもマナーもなっていない業者を信用し、ン千万突っ込む人などいるわけない。
しかもこのネット時代である。そんなアホなことすれば名前と電話番号晒されてブラックリストのレッテル貼られて一巻の終わりだと考えが及ばないのか。
なのにしつこくあちこちから次々掛かってくるのは、そういうリスク以上に契約取れて儲かるからなのだろう。先の「コンビニ捨て弁当よりお買い上げ」と同じ金銭力学だ。最も、つぶれかけでなりふり構わずになった挙げ句、常識すら見失ったという堕天使の心理かも知れないが。
同情はしない。
さて。
「私の方では判りかねます。ご連絡先をお教えいただけないならお取り次ぎできません。失礼します」
庶務ギャルさん半切れでこう切ったわけだが。
すぐに再コール。
「モシモシ」
見かねた隣席男性が取った。
「今ウチの女の者が担当した件でしょうか。当人のスケジュール確認いたしましたが、本日は会議で定時まで戻りません」
すると会議から呼び出せと言ったとか。
普通、強引に言えば言うほど話がこじれる、ますます取り次がないと判りそうなものだが。
「業務の妨げとなりますので応じかねます……は?」
『あんたじゃ話にならない。前の女に戻せ』
「お名前何と申されましたか?」
ここで相手ミスった。
『タカハシだが』
「サトウさんじゃないんですか?」
がちゃ、ぷーぷーぷー。
今回は相手が尻尾を出したが、この手の電話に悩まされ、ヘタしたらそればっかでノイローゼ気味の向きもあるのではないか。
「何度もしつけーぞテメエこの野郎。いらねーって言ってんだから何度も掛けてくるんじゃねぇ馬鹿野郎。そんなにお得ならお前が自分で買えばいいじゃねぇか。いい加減にしねぇと逆探かまして場所特定してテメエのとこ乗り込んでブスッと浣腸かますぞこのクソったれ!」
とか言いたくなるわけだが、それでは相手のレベルに自分を合わせることになってしまう。ビヂネスマンがビチグソマンと同レベルになってしまっては会社に泥を塗る。
ここはスマートに品性お下劣な者どもを一蹴したいじゃないのさ。
(ビチグソ或いはBGという語の著作権は梅図かずお氏にあります)
●根本:会社が会社の業務のために用意した電話回線である
つまり会社対会社。法人対法人で仕事するためのものだってこと。ダイヤルインって言ったってその担当者がNTTにカネ払って契約したものではない。会社のものなのだ。従って、会社の業務に関係のない電話を掛けたところで立派に業務を妨害していることになる。「私用電話」は多くの会社で就業規則違反であろう。逆もまた真なり。ここに立脚する。
1.個人名や部署名で電話に出てはいけない
「オレサマです」
「土日鉄道保線部です」
会社の回線なのです。出る者は会社を代表しているんだから、会社名だけ名乗れば良し。
「土日鉄道です」
これだけでいい。ってか、これ以外の答え方する必要なし。法人対法人の業務・取引ならば、相手の部署名、氏名を要求し、取り次ぎの内容が言えて当然。別に言うことを要求して失礼じゃない。本当に取引があるならちゃんとそれに応じて名乗り用件を伝えるのもまたマナーだからだ。ちなみに、自分相手の電話で自分が出ても同じ。自分の名前を名乗らずに会社の名前。無用な電話に出ずに済む。
2.名前と用件を必ず言わせる
「オレサマさんいる?」
「お名前とお勤め先頂戴できますか?」
ここでチェックして欲しいのは「いる」も「いない」も言わないこと。用件を聞くのは失礼という習慣が従前あったわけだが、本来用件のある側が先に言うのがマナー。相手が言わないなら確かめて当然。
重ねて書きますが会社の業務用電話ですから。会社の業務に関係ないなら全部業務妨害ですから。
さてこの問いかけをすると反応は大きく3つ。
(1)名前と会社を言った場合
「どういった内容のお問い合わせでしょうか?」
(2)言わない
「当社業務に関わる電話以外はお取り次ぎできません。失礼します」
(3)強行突破
『昨日も電話した件で/出してもらえれば判ります』
とかいう類。
「複数担当していると思いますので間違いがあってはいけません。お名前とお勤め先を」
いずれにせよ何か反応があると思うが、相手が名前と目的を言わない限り、ソフトな対応はここまでで充分。以降アナタの返す答えは一つである。
「御社と弊社とのどのようなお取引に関わるお問い合わせですか?」
会社の業務用の回線なのである。業務に関わる内容以外は取り次ぐ理由はないし、先にも書いたように業務以外で回線塞いでるだけで妨害である。ちなみにこういうことしてると。
『お前の対応は当社にとって業務妨害に当たるぞ!』
と、相手が切れる。これも良くある。一瞬理に適っているみたいでびびるが。
「お宅様のおかけになっている回線は弊社業務用の回線です。法人としての弊社とのご商談のお話ですか?」
会社に掛かっている電話、という位置を絶対に見失わないこと。どうでしょう、幾らでも封じる手練手管浮かんできませんか?で、シメの台詞はこれで決まり
「当社業務に関わる電話以外はお取り次ぎできません。失礼します」
3.法的根拠
先に新聞のところで書いた「特定商取引法」は、勧誘に先立ち←先立ち、がミソ
・名前と会社
・勧誘が目的
であることを言わねばならず、言わなければ法に触れる。ところが「特定商取引法」は対象に土地や建物を含んでいない。つまりマンション買え~は法の抜け穴なんだな。
じゃぁ「宅地建物取引業法」を引っ張るかというとそうでもない。確かに
第47条の2 宅地建物取引業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「宅地建物取引業者等」という。)は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2 宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。
3 宅地建物取引業者等は、前2項に定めるもののほか、宅地建物取引業に係る契約の締結に関する行為又は申込みの撤回若しくは解除の妨げに関する行為であつて、宅地建物取引業者の相手方等の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるものをしてはならない。
→国土交通省令
第十六条の十二 法第四十七条の二第三項 の国土交通省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をすること。
イ 当該契約の目的物である宅地又は建物の将来の環境又は交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供すること。
ロ 正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むこと。
ハ 電話による長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。
二 宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
三 宅地建物取引業者の相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し、正当な理由なく、当該契約の解除を拒み、又は妨げること。
とあるので、勧誘行為自体がこれ(電話による長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法)により困惑という言い方は出来る。しかし我々が目的とするところは「それ以前に電話されること自体が迷惑であり出たくない」わけで。
刑法
第二百三十三条 【 信用毀損及び業務妨害 】
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百三十四条 【 威力業務妨害 】
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
何度も書きますが「会社の業務以外の電話」だけで、威力(一方的に電話をする)を用いた業務の妨害そのものです。名前目的を言わず取り次がせようとするのは「偽計」ですし、断ったのに再度かかってくれば意図的な業務妨害そのもので「威力業務妨害」の言い逃れは出来ません。罵詈雑言言われたら「信用を毀損」です→逆にこれがある以上、ビチグソ電話受けるアナタが切れて上の大文字みたいなことを言ってはならない。
「業務の妨げになっておりますので刑法に違反すると考え、警察に通報します」
警察は民事不介入といわれるが、法に触れれば話は別。あ、ここまでこじれたら本当に警察呼んで下さいね。ここまでこじれるってのは本当に業務妨害になってるはずなので。
いかがでしょうか。よく「毅然に」対応するように言われますが、相手は北朝鮮みたいな者(マンション買わないと殺す……まんま)。なかなか毅然には難しいと思われがちですが「会社の回線」を盾に取れば、相手の手口に真面目に対応してやる必要すらないとお判りいただけたでしょうか。え?つい電話に出てしまったら?
・必要ありませんのでお断りいたします
この文言をそのまま言って下さい。後は食い下がられようが再電話が来ようが、国土交通省令違反でも威力業務妨害でもどっちも抵触しますので。
>テレアポ業者・担当の者どもへ
・名前と目的を言わない限り絶対に取り次がない
・断って再度掛けてきた時点で威力業務妨害
ナニ?このブログ記事自体が営業妨害だって?
だから君たちは会社の業務用電話回線を業務以外で塞いでるの。それだけで君たちが業務の妨害なの。この記事は業務の妨害が発生した時の対応と根拠を書いてるだけなの。あくまで原因は君たちの電話なの。
マンション売るどころか、恨み買って何か楽しい?
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