Nightrain
そんな名前の曲がある。
「せとでん」の最終電車なんかかわいいものである。基本ガラガラ空席だらけで、ぐでんぐでんのおじさんが完璧に寝入っていたりする。電車は各駅に長々止まり、都度車掌さんが乗り遅れが無いかどうか確認して、長々笛吹いてチンチン鳴らして(名鉄用語。男性客から音が出るにあらず)出発する。古びたつりかけの轟音を真夜中の町に朗々と響かせ、普段よりチョイと長い所要時間で終着は喜多山。最もこの電車、めったにない喜多山行きで、同駅の車庫が健在の頃は、同駅の栄町寄りの片渡り線を客を乗せたまま通って2番線に到着というこれまためったにないパターンで運転されるのが最大のトキメキポイントなのだがまぁ全世界に向かって開かれているブログで書くには余りにもローカルなわけでそれはさておき。←センテンス長えよ
たまに出張で22時半だのに東京到着なんて場合には、文句なく品川から総武快速グリーン車に乗る。suicaをピしてシートを倒して、ふんぞり返ってふと目が覚めると船橋辺りで隣にだれ語っていたりする、まちがい、誰か立っていたりする(語ってたら怖え)。グリーン車で真夜中に立っているのである。あまつさえはいつまで経っても発車しねぇなぁとか思っていたら『荷物を強くお引き下さい』なんて放送が入ったりする。要するにハザ…普通車は超満員でドアが閉まらんのである。
一体何が起こっているのか。
格差社会の象徴にされている非正規雇用の問題だが、これの自由化と同時に導入された物に「成果主義」というのがある。バリバリ出来る人と鼻くそ掘ってるぼんくらが年齢同じという理由だけで給料同じはおかしいだろうって言うのがその理由であり建前である。
成果主義の基本は「自分これやります」とコミットして、その通り出来ればマル、できなきゃバツである。もちろんコミットの内容が高度であればあるほどマルは花丸である。但しコミットの「レベルの高低」は会社側の主観で評価される。これはひっくり返すと必要なコミット達成するためには労働時間を増やす必要があることを意味する。
結果、終電が近づいて本数間引かれると、その少ない電車に「めいっぱい働いた」皆さんが集中し、朝ですらお目にかかれないような深刻な混雑が発生する、とこうなるわけである。ちなみに総武快速の話をしたが、品川基準で逆方向、すなわち東海道線横浜方面、横須賀線鎌倉方面は、品川をパンク寸前『強く引いて下さい!!』連呼で尻押ししている。企業の収益改善とか株主向きの物言いの背後にはこういう現実と犠牲がある。
そして終着の千葉は雨の中。快速を降りた皆さんは濡れたホームを内房へ、外房へ、総武本線の更に向こうへと、ガラス曇らせて待つ各駅停車の電車目指して、歩いて行くのである。
深夜の東京を千葉から見ると、空が照明でほの赤く染まって見える。
Nightrain
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