【地震防災】千葉で何かが起こるのか?【5】
(4)内陸の断層
・メカニズム
北アメリカプレート上の日本列島が太平洋プレートに押されているのは書いている通りで。
また思考実験になるが、食パンを平らに置いて、左右からムギュッと圧縮してみていただきたい。パンは上の方へ反って、やがて真ん中にピリピリひびが入るはずだ。
中越地震や、岩手県内陸の地震などは、こうして発生している。
そして出来たヒビこそ断層である。
東北地方太平沖地震では、この食パンが再び伸びる方向に力が生じている。一気に伸びたのが地震本体だが、何せプレートという巨大食パンなので、伸びる動きはその後もじわじわ続いている(余効変動)。
その圧縮してひび割れた食パンを再び引っ張って頂きたい。どこが動くか。真っ先に古傷…過去の断層では無いのか。
(引用元)
ここの「三浦半島断層群」に「注4」の文字が見えるが、これが今回の地震の影響で動く可能性の高まった(と、考えられる)断層である。
絵に起こすとこう。赤い部分。
(以前の記事より再掲「Newton」6月号より)
先日松本で強い直下型があったが、あの地震はフォッサマグナ(糸魚川-静岡構造線)を形成する断層の一つ「牛伏寺断層」に近く、上記表の2番目に「注4」の文字も付いている。当たったのか?だとすれば千葉に目を転じた時、何が考えられるのか。
房総半島沖が赤いのはこれまでの書いたことが反映されていると見て頂いて良い。今日の記事、断層編で着目すべきは東京湾の北側にある赤色だ。「東京直下」の地震である。
・特徴
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を見よ、と言ってしまっては身もフタも無いので、東京直下タイプの資料を一つ二つあげてみる。
★明治東京地震(1894)
その東京湾北部地域が震源と見られる。マグニチュード7。
震源が深かったこともあり(40キロほど)最大震度は5、であるが、当時西洋風レンガ建築(当然地震への考慮無し)メインだったこともあり、被害は大きかった。人的犠牲31名。初期微動7秒の後主要動がドカンと来ている。30秒ほどで収束。
(ネタ元)
★安政江戸地震(1855)
前年に起きた安政東海地震のドタバタの最中に発生、火事も起き4000人以上の犠牲が出た。
江戸時代ゆえ科学的なデータは無い。当時の報告書や個人の日記を再現できる震源モデルをシミュレーションで探したところ、地下8キロと非常に浅い震源と考えるとうまく説明が付く、という(ネタ元)。マグニチュードは7だが、震源が浅いため最大震度は6程度。この様態は兵庫県南部地震に近い。
ちなみに関東平野の土壌は「水の入ったバケツ」みたいなもので、東北地方太平洋沖地震では、このバケツを外からひっぱたかれてジャブジャブ揺れた。この安政江戸地震はバケツの中に石が放り込まれてジャブジャブ揺れた、と考えて頂ければ良い。
・対策
水の入ったバケツ、と表したが、その水の底は見えず、関東地方にどんな断層が存在するのか不明な部分が殆ど、というのが正直なところである。従って予測不能。とはいえ現在の日本の建築基準は兵庫県南部地震の経験を踏まえたものであるので、「新しいビル」であれば、身を守る場所に使える、ことが示唆される。あなたのお住まいの地域、通勤通学の経路に何があるのか調べ、地震を感じたときに逃げるべき場所を決めておくのが最善・今できるせいぜいの対処であろう。
(次回・最終回:千葉における被害地震の傾向)
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