【地震防災】千葉で何かが起こるのか?【4】
(3)海溝寄りの地震
・メカニズム
さぁコレの説明が最も難しい。何故って諸説あってどれも可能性があるし、どれが確実とも言えない。何故なら「引きずり込まれて我慢できずに跳ね返る」という海溝型大地震のメカニズムに照らしたとき、海溝寄り…プレートの先っぽは質量が少ないので引きずり込まれずにズルズル滑るんじゃないか?と思われているから。
確からしいのを一つ紹介する。例によってザブトンプレート。
プレートは平らかな板では無い。過去に出来た海底火山や断層の残骸など、有象無象やたれぱんだが載っている。
こうした有象無象は海溝で引きずり込まれることもあるが、ベルトコンベアを乗り移る荷物のように、隣のプレートに引っかかって乗っかることもある。こうして乗り移って積み上がった有象無象を「付加体」と呼ぶ。
この付加体に後から来た付加体が衝突して変形したり
付加体で大規模地滑りが生じるなどして地震と津波が起きる。
で、例えばこの地滑りが海溝寄りのプレート内部の地震によって誘発(プレート地震と地滑りによる地震の連動になる)されたと見られるのが明治三陸地震(1896)や、延宝地震(1677)であるが、東北地方太平洋沖地震においても、一部これが発生し(↓再掲図の黄色い震源域で一部東側にもこっとはみ出ている部分)プレートの跳ね上がりに付加体の跳ね上がりが加算されて、非常に高い津波が作られたと考えられている(東京大学古村説)。
なお、この他に慶長地震(1605)も東海・東南海・南海震源域の海溝寄りで発生したと考えられているが、こっちのメカニズムは解明されていない。名大の安藤センセは「メタンハイドレート層の大規模地滑り」説をとっている。
・特徴
プレート自体より、プレートの上に載ってる物が大きく動く、という性質から、震動よりも水かさの変動が大きく出る。すなわち、津波地震になる。
例えば海部町にある慶長地震について書かれた石碑「大岩慶長宝永碑」によると
慶長9年12月16日午後10時頃、3回の地震で起きた津波は高さ30mで、7度の波が襲い、100余名が亡くなった。後の世にこれを言い伝えるためにここに奉る。(引用元)
延宝地震では
『磐城御領内大風雨大波洪水之節覚書』…福島県の沿岸の津波浸水高は 3.5~7mであったと推定
『柳営日次記』…千葉県の浸水高は3~8m
(引用元)
・備え
千葉という視点で言えば、延宝地震は↓再掲図にある通り、もっとも千葉に近い大地震の震源と言える。ただ、このようなパターンは他に記録が無く、間隔や次がいつかの予想は立てられないというのが現実。
とはいえ、延宝地震では地震動そのものによる被害はなかったこと、及び現代の観測網なら発生段階で引っかけられるので、慌てなければ津波到達までに避難することは可能であろう。
緊急地震速報を受信できる機材を揃えるなどして、即応体制を整えることが肝要。
(つづく)
« 【地震防災】千葉で何かが起こるのか?【3】 | トップページ | 【地震防災】千葉で何かが起こるのか?【5】 »
コメント