台風のおめめ
台風1112号「タラス」ちゃん
目がでけぇ、とネットでネタにされている。擬人化ネタは既報の通り。
レーダでもおめめの全体が出てきた。こういう目がデカイ=「ドーナツ状」の雲分布は強さの証という。本当だろうか。
<02日21時の実況>
大きさ 大型
強さ -
存在地域 室戸岬の南約130km
中心位置 北緯 32度05分(32.1度)
東経 134度20分(134.3度)
進行方向、速さ 北北西 15km/h(8kt)
中心気圧 970hPa
最大風速 30m/s(55kt)
最大瞬間風速 40m/s(80kt)
25m/s以上の暴風域 東側 220km(120NM)
西側 170km(90NM)
15m/s以上の強風域 東側 650km(350NM)
西側 560km(300NM)
スペックを見る限り、最大風速30メートルの割りには25メートル以上の暴風域がデカい。つまりこれは「フルパワー領域」が広いことを意味する。ドーナツうんぬんはあながち間違った物言いではないようだ。
そもそも台風の目は
低気圧として空気を引き込む力<吹き込む風自身が持つ遠心力
となって、風が吹き込めない領域である。目がデカイ=風が強い=遠心力も強いという解釈が出来る。
ちなみに、目がでかくて強い台風として印象に残っているのは例えば
1991年台風19号。広島で60メートルとか、青森でリンゴが多数落ちて「リンゴ台風」と書けば「あーあー」という方も多かろう。
09月27日16時
北緯32.8
東経129.7
中心気圧940
最大風速50
暴風半径SE330,NW260
強風半径SE750,NW480
ちなみにアメリカの研究者は、こいつを「スーパータイフーン」と呼んで論文まで書いた。なお、青森近い方が暴風・強風半径はデカいが、台風自体の加速によるものなのでそちらは触れない。
さてそうなると「史上最強の台風」はどーだったのか、という疑問が当然出て来る。
1979年台風20号。台風としてのみならず、人類の知る限り全地球最強の低気圧。
10月12日15時
北緯16.8
東経137.6
中心気圧870
最大風速70
暴風半径280
強風半径N650,S560
そう、ドーナツではなく、むしろ「針の目」。
これはどういう意味か。最大風速は凄まじい、しかし暴風半径は上記91年19号ほどでは無い。
低気圧として空気を引き込む力<吹き込む風自身が持つ遠心力
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↑(コレ ガ ムチャクチャ ツヨイ)
おめめパッチリは風の強い領域が広い。目の鋭いのは中心付近で猛烈な風が吹く。
台風は遠いからと油断することなく警戒を。
※タラス以外の台風画像は 国立情報学研究所 (NII)「デジタル台風データベース」によった。
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