冷たい雨・荒んだ街
会場は歌舞伎町の向こうだった。
お開きになった後、店のスタッフが注意を促す。
「店の前に溜まらないで下さい」
女性のホームレスはめったにいるものではない。でも、この街では「えっ」と思うほどその姿を見る。
ひとりごとを呟きながら、雨の中を、雨など降っていないかのように流離う姿は正直、困る。
へたり込んでいる男性が居て下半身が濡れている。雨で、では無い。
ビルの警備員に毒吐きながら、そして……うそではない、よだれ垂らしながら歩く男性。唾液の分泌が促進される状態、それを意に介さない状態。何が行われているか判りますか?
ヤマダ電機がある。あの無駄と思えるほど明るい有様は実はここではオアシスなのかも知れぬ。冗談抜きで臨時の駆け込み可能場所にすべきでは無いのか。
バブルの頃、歌舞伎町やその近辺は、アンダーグラウンドの入り口、「ちょとやばい」雰囲気が独特の雰囲気を持っていた。ただまだ、いや、もちろん、というべきか、人間社会の顔をしていた。
でも昨日見たそこは違う。
もう違う。
既に違う。
煌びやかな街の陰で、陰が確実に広がっている。
闇のように、蝕むように。
そこは、電車からは、見えない。
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