【地震ネタ3題】その3・東北地方太平洋沖地震に前震はあったのか?
マントル説(サブトンの話)の裏打ちで使われているのがアスペリティ・モデルという考え方である。プレートAがプレートBを引きずり込む……というのがマントル説の主体だが、その引きずり現象の元になるのが、例えばプレート間に挟まり込んだ古い海山などとするものだ。太平洋プレートに載って(生えて)流されてきた北アメリカプレート(日本列島)を引っ掛け、引きずりながら沈み込んでいる、というわけだ。なおアスペリティとは「でっぱり」という程度の意味だが、その例が例えば海山、ということだ。
三陸沖では30年程度の間隔で発生する通常タイプの「宮城県沖地震」の存在が知られていて、地震計のデータも揃っていることから、率先してアスペリティの位置推定が試みられた。その結果、幾つかのアスペリティが存在すること、宮城県沖とその更に沖合のアスペリティが一緒に動くパターンが存在すること、……などまでは突き止めたのだが、結果として動いたのは、それでは検出できなかった非常に大型のアスペリティだった、というのが現時点の物言いだ。
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これは縦軸に南北方向、横軸に時間をとって震源をプロットしたモノである。同じようなモノを「ニュートン誌」の2011年10月号で見た方も多いと思うが、その時点で不明だった内容がこのほど出てきたわけだ。アスペリティモデルでは、蓄積された歪みに耐えきれなくなって徐々に滑り出し、応じて加速していって全体が大きく動く、とされていた。比してこいつの説明は、小さな滑り→隣が小さな滑り→……→3月9日のM7.2→隣が滑り→隣が滑り……
となり、本震の部位に応力が集中、遂にそこが「切れて」大きく動いた、という解釈である。子ども達に手を引っ張られて耐えていた大男だが、3月9日にバランスを崩し、11日に遂に引きずり倒された、そんなイメージである。このことはもちろん、アスペリティモデルで記述される地震の発生メカニズムが単純通り一遍では無いことを意味する。
で。
地震学者に託された目下のミッションは東海・東南海・南海地震の前兆を捉えることであろう。実は従前、こいつらは上記単純なアスペリティモデルで考えられていて、ゆっくり滑り(プレスリップ)を捉えれば勝つる!と言われていた。しかし実際にはそう単純では無いわけで、対応は急務である。ちなみに、こっちはこっちで紀伊半島沖地底にむやみやたらに大きな岩塊があるらしいと言われていて、これをどう捉えるかによって「予兆」や震源の連動パターンも色々変わる。
ただ、何であれ確実なのは3連動は東北地方太平洋沖地震と類似の状況を太平洋沖にもたらすということであり、タイムリミットは21世紀半ばまでに、ということだ。
今度こそ、繰り返してはならない。日本の国家と国土と国民を守るためにも。
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