東京雑感
純金と金メッキが似たような顔して密集している大都会。
江戸期から始まっているので、基本的に真似したり対抗するような街がない上、余りにも密度が高すぎて世界のどこにも参考になる街がない。その結果、全部ゼロから考え出さねばならず、独自唯一の巨大都市に仕上がった。
それはカオスでサイバーでありかつ、アジアのエスニックをも包含する。人が人を呼び、その人の多さを求めてあらゆるものが吸い寄せられる。そこには本物があるし、本物の模倣もはびこっている。
たとえば東京駅周辺、八重洲丸の内のいわゆる三菱エリアは全部地下でつながっている。これが実は、東京駅をコアとする巨大ダンジョンにして頑強なシェルターとしての側面も持つ。非常時にはその地下とビル群に人々を収容する。その外見は近代化されたオフィスビル群であり小洒落たショッピングモールであるが、バックボーンには巨大な資本とエネルギが投下され、日本のエンジンをノンストップで動かし、守る。
どことは言わぬが巨額の家賃を必要とするマンションもそこここにそびえ立つ。見下ろす人々には煌びやかな夜の都会が見えようが、煌びやかの向こうにあるものには、煌びやかに眩惑されて決して気づかない。銀座の歩行者天国でふと立ち止まり見回すと、囲繞するのは四つ角それぞれを彩る欧州のブランドショップ。ちらりと見える裏通りの江戸前老舗。
東京のホームレスさんは多く隠れるようにして過ごしている。ただ、よく見た方が「ビッグイシュー」を手に街角に立つようになったりと、変化を促す奔流のようなものは常に流れている。
渋滞だらけの中を長い時間かけてリムジンで移動するのか、満員の山手線で時間通り移動するのか。どちらがいいのかオレには分からない。空いているだけまだマシとばかり普通列車のグリーン車に立って通勤すると、目の前を青い目のエグゼクティブがオープンのBMWで駐車場に吸い込まれてゆく。
たとえば味噌カツを食おうと思えば「矢場とん」がそのまま出てきているので食えばよいが、味噌煮込みうどんとなると、そう称する別の何かを出す店しかなかったりする。一方でご当地で一生懸命探したものがたやすく手に入ったり。
オフィス街では1000円できれいに盛り付けられた世界のいろんなものがランチで食える。鉄道の高架下では500円出せばボリュームいっぱいの昼飯が食える。銀座に行けば寿司屋のおやじが無言で築地上がりの大トロをスッと出す。あ、そこのおっさん、地下駅コンビニ前でゲロ吐かないでくれるかな。
クラスタというのはカーストみたいでいやな言葉だが、それ相応に応じた生活空間が確保できるというのは確かなようである。但し上を見ればキリがなく、下を見れば底がない。
東京に行こうというあなたよ、飲み込まれるな、乗れ。
(このネタ終了)
« 名古屋雑感 | トップページ | おお、つながっとる »
« 名古屋雑感 | トップページ | おお、つながっとる »
コメント