首都直下、否「南関東直下型地震」~1.17に寄せて~
以降1月17日は直下型地震について記す。
心配されている直下型地震の中で最もセンセーショナルなものは「首都直下」「首都圏直下型」と称されている。しかしこの言葉に騙されて神奈川や、千葉や、埼玉や、茨城、栃木、群馬、関東他県が胡座かいてていいかと言うともちろんそんなことは無い。
とりあえず、安政江戸地震以降、3.11以前までに発生され記録が残っている関東地方の被害地震を列挙するとこうなる。
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1855 安政江戸地震(M7程度)
1856 江戸(M6.0-6.5)
1859 岩槻(M6程度)
1866 銚子(M不明)
1870 小田原(M6.0-6.5)
1880 東京・横浜(M5.5-6.0)
1884 東京(M不明)
1894 明治東京地震(M7.0)
1895 茨城県南部(M.2)
★1909 房総半島沖(M6.7と7.5の2回)
1915 房総半島(M6.0)
1916 群馬県西部(M6.2)
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●1921 龍ヶ崎地震(M7.0)
●1922 浦賀水道(M6.8)
★●1923 関東地震(M7.9)
●1924 丹沢地震(M7.3)
●1931 西埼玉地震(M6.9)
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1949 今市地震(M6.2と6.4の2回)
★1953 房総沖地震(M7.4)
1983 山梨県東部(M6.0)
★1987 千葉県東方沖(M6.7)
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※直下型だけ書き出すとそれはそれで海溝型に注意が行かなくなるのでそっちも書いた。★印
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1923年の関東大地震の前後、関東地方ではM6~7クラスの直下型地震が多発した。これは……それこそ3.11前後の流れから逆に説明できるが、関東地震の前震であり誘発された内陸型地震である。●印である。しかしこれらを関東地震関連群と一括して除却しても10-20年の間隔を置いてバタバタっと発生していることが読み取れる。しかもその範囲は関東一円に分布する。
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(ソース)
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関東の地震でややこしいのは「関東地震サイクル」と「東海地震サイクル」が混在し、なおかつ、関東地震系と三陸沖地震系の境目が茨城-千葉付近に存在し、ここが地震の巣として極めて頻繁に活動している、という点にある。ちなみに安政江戸地震(1855)は、安政東海地震の誘発という話もある。どちらにせよ、「自分が原因」と「おもらい」の両方があることに注意願いたい。
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また、明治東京地震、西埼玉地震の論文等を当たったが、前震や宏観現象の類は見られず、いきなり下からブチ上げられると考えた方が良さそうである。緊急地震速報は現在の所「最後の手段」だが、こと直下型に関する限り、システムの地震計が感知したと同時に来るわけで殆ど役に立たない。すなわち、日頃の備えがより重要、となる。
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前回1987年以降、関東内陸を震源とする被害地震は生じていない。一方で安政東海地震が安政江戸地震を誘発し、関東地震が数々の内陸を誘発したように、3.11による誘発も起きないとは限らない。現に同タイプとされる貞観三陸地震(869)の9年後878年、関東諸国をM7.4が襲っている。
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3.11は関東地方に加わる地殻圧力のバランスを変え、これが茨城南部、特に銚子近辺の地震活動を「発狂」とでも称すべきレベルまで活発化させた。
明治(リスト内1880)に勃興を見る日本の地震学はこの状態が意味する先を正確に予見できない。ただ、三陸沖との時系列を単純に見ると、上記869-878の他、1793-1794、1763(三陸で3回)-1767、1677(三陸及び千葉沖)-1683など、「疑い」は幾らでも見いだせる。
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今、そこにある危機。映画のタイトルになってしまうが、この言葉が関東に差し迫る状況を表すに最も相応しい。
神戸で、淡路で失われた6434の犠牲が無駄になることがあってはならない。
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18年目の祈りを。
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