名古屋人として来るべき東海地震に備えて【6】~グーテンベルグ・リヒターの法則を外れる時~
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サブタイ「グーテンベルグ・リヒターの法則」とはこういうもんだ。
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「横軸にマグニチュード(M),縦軸に地震累積数(N)の対数をとると,ほぼ一直線で近似できるというものです。 式で書くと,Log(10)N = a-bMとなります。 直線の切片aは,地震活動度の高さを示す指標です。 直線の傾きbが大きいということは,小さい地震が大きな地震より相対的に多いことを示します。 この傾き “b値”は,通常1に近い値を示します」
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具体的な現象で書くと
日本ではM3クラスの地震は年に10000回起きる
M4クラスは1000回
M5クラスは100回
M6クラスは10回
M7クラスが1回
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というような事になる。
なので、3.11直後、「首都圏でM7クラスが~」とどこかの学者が言ったが、それは3.11の「発狂」とでも評すべき余震活動
に、そのまんまこいつを適用したらどうなるか、という話であったわけだ。ただ、余震にリヒター則を適用して良いという話をオレは知らない。
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さて冒頭の定義文はここから引用した。防災科学技術研究所
Decade-scale decrease in b value prior to the M9-class
2011 Tohoku and 2004 Sumatra quakes
(マグニチュード9クラスの東北地震(2011)やスマトラ地震(2004)に先行した10年スケールにおけるb値の低下)
http://www.hinet.bosai.go.jp/researches/b-decrease2012/?LANG=ja
これによると、スマトラや3.11のような超巨大地震の前には、地震の起こり方がリヒターを外れる(グラフの傾きが緩くなる)、というのである。つまり、大きい地震が起きる前には小さい地震が減る。そして、本震発生後、b値は元に戻る。論文自体は、b値低下はM8クラスまでは良く一致すると知られていたが、M9クラスでも観測されましたよ、が主旨である。大きな地震の前には逆に地震が減るという「静穏化現象」というコトバをご存じの方はあるかと思うが、b値減少はこの減少を表していることに他ならない。ちなみに、b値低下は、岩石破壊実験から傍証を取ったそうだが、卑近な例としては「煎餅を割る」という動作を思い出して欲しい。多く、割ろうと力を入れると最初は小さなヒビがパリパリ入るが、その後ヒビの発生は途絶え、チョット経って全体がパーンと割れる。
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問題はここから2つの注意すべき点が考えられることだ。1つは言わずもがな東海地震→どうせ三連動になるから南海トラフ地震と書くが、ちょくちょく書いてるように名古屋で地震が殆ど起きないのである。これはb値減少に他ならないのではないか。調べる必要があるだろう。
(Newton別冊「連動して発生する巨大地震」2007年版より)
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そしてもう一つ、上記論文から引用する。
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「北海道の太平洋沖では,2003年の十勝沖地震以降もb値の減少が継続しております。 今後,超巨大地震発生の可能性があることを示しているかもしれません。」
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2003年十勝沖といえばM8級である。それでなおエネルギが開放し切れていないということか。
ちなみにスマトラでは本体の両隣で大きな地震が誘発されており、3.11の場合「両隣」とは言わずもがな南の房総沖、北の十勝沖を意味する。
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折しも2月3日、その十勝沖の因子である太平洋プレートが北海道陸域下の深いところでM6.4(暫定値)の地震を起こした。南関東直下ばかり喧伝されているが、こちらも怠るべきでは無いだろう。2003年に起きたばかり、はむしろワナかも知れぬ。ちなみに霧多布湿原の地質調査で、3キロ奥まで津波が入った地震が500年間隔ほどで起きており、最新のものは17世紀頃という。シミュレーションさせると、十勝沖と根室沖が連動してM8.6クラスになるとそうなるという。根室沖は1894、1973、十勝沖は1952、2003と、こ れ ま で は起きてきている。
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あっちも注意、こっちも注意、となってしまうわけだが、貞観の時代はまさにその通りだった。
日本列島は今、1000年に一度の地殻変動の世紀である。今一度、身を隠す場所、非常持ち出しの確認、そして速報装置の導入、それを用いた家庭での訓練を。
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