名古屋人として来るべき東海地震に備えて【9】
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名古屋人だから伊勢湾に着目する。
(出典1)
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伊勢湾は渥美半島によって概略ギリシャ文字の「Ω」の形をしている。渥美半島と二見浦の間の狭い部分を超えたもののみ伊勢湾内奥に拡散する。言ってみれば津波はここで「渋滞」し、抜けたエネルギだけが伊勢湾・三河湾・知多湾へ拡散する。畢竟、Ωの内側の高さは低くなる。適切かどうか知らないが少しだけ「安心」できると言っておこうか。無論、津波波源域自体が伊勢湾に及んだ場合はこの限りでは無いが(三重県津市は1498年明応地震で水没している)、例えば常滑は少なくとも平安時代からあの地で焼き物を作っていて、何度も南海トラフ地震には見舞われているはずだが、地震や津波で製陶が途切れたという話は聞かぬ。参考に常滑の津波ハザードマップを示す。
(出典4)
まぁ、セントレアにおる奴はセントレアに留まれ。それ以外の常滑市民は「やきもの散歩道」か「セラモール」に上がれ。
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名古屋に戻る。名古屋市のハザードマップを同様に見てみる。
(出典5)
待てコラ。本当にこれでいいのか。
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「90分後に2~3メートル」(出典5)
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津波では「波」ではなく、海から来る洪水である。
名古屋市は過去に大きく2度、同じ目に遭っている。まず「伊勢湾台風」による高潮の浸水マップを示す。
名古屋駅そばまで浸かってるじゃねぇか。
(出典6)
西暦2000年。地下鉄に水が入り込んでじゃぶじゃぶ走ってた「東海豪雨」。これは海への排水が間に合わず溢れた。
(出典7)
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加えて、地震では地盤が上昇or下降する。3.11では沿岸で沈下が見られた。南海地震では高知で沈下した。静岡御前崎は現状沈み続けており、地震当該では恐らく跳ね上がる。
名古屋は?
沈下するじゃねぇか。10-30センチ。
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さてこの場合「高潮」「大雨」と違って考慮すべき別の点がある。
堤防と排水システムの破損である。この場合、伊勢湾台風時代で海から洪水食らうのと何ら変わらない。
地震後、潮位により浸水する範囲(浸水分布) (満潮位相当(=TP+1.27m))
【ケース① 「駿河湾~紀伊半島沖」に大すべり域を設定、堤防条件:堤防なし・土堰堤なし】(出典1)
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当然、こうなる。青い矢印は名古屋駅の位置であり、伊勢湾台風時と変わらないことが分かる。そしてこの場合、発達した地下鉄・地下街に津波が入り込む。
地下構造物は土の中であって、「揺れ」自体には強い。電車に乗ってて立っているよりは座っている方が安定しているだろう。座っていれば身体が電車と共に動くからだ。地震に置ける地下構造物も同じである。
だが、この津波予測は、震動が収まったら地下に留まっていてはならないことを示唆する。
されど、地上は一つ前の記事に書いたように倒れた建造物が散乱し、火災が迫り、余震で更なる破壊を受けたガラス等の落下物が上から降って来る。
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名古屋市内にいて、南海トラフ地震が起こった時、どう行動すれば、どう逃げれば正解なのだろうか。
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