星の名を追って(2)
★ベテルギウス(Betelgeuse)
オリオン座α星。距離約640光年(未確定)。冬の大三角を形成する最も著名な星の一つ。太陽の位置に置くと火星まで飲み込まれる赤色超巨星。精密化された望遠鏡観測により、大きさや形がひどく変化していることが確認されており、超新星爆発が近いと言われる。但し我々がそれを見られるかどうかは分からない。固有名はアラビア語だが諸説あり、ここではアラブの古い伝承に出てくるシャウザーという女性の腕という説を置いておく。
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★リゲル(Rigel)
オリオン座β星。距離約860光年(未確定)。オリオン座のもう一つの一等星。青色超巨星であり、極めて活発な核反応で質量を激しく失っている。三重連星。固有名はアラビア語で「シャウザーの足」
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●ベラトリックス(Bellatrix)
オリオン座γ星。距離260光年。ベテルギウスと共にオリオンの双肩をなす。青色巨星。固有名はラテン語で「アマゾンの女戦士」(アマゾネス)
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●ミンタカ(Mintaka)
オリオン座δ星。距離700光年。オリオンの腰のベルトに位置する3つ星のひとつ。二重星で、現行の地球軸だと真東から昇り真西に沈む。固有名は「(シャウザーの)帯」
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●アルニラム(Alnilam)
オリオン座ε星。距離2000光年。オリオンの3つ星の中央に位置する。オリオン大星雲(M42)で生成された青色超巨星。固有名は「数珠つなぎにしたもの」。元は3つ星全体をそう言ったのだろう。
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●アルニタク(Alnitak)
オリオン座ζ(つぇーた)星。距離750光年前後。オリオン3つ星のひとつ。こちらは同じオリオン座内の「馬頭星雲」で生成された。三重連星で主星は青色超巨星。固有名は「(シャウザーの)帯」ミンタカと同じ語源で音便変化
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●サイフ(Saiph)
オリオン座κ(かっぱ)星。距離650光年。オリオン座の右膝。固有名はアラビア語で剣の意。
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★シリウス (Sirius)
おおいぬ座α星。距離8.6光年。現在夜空で最も明るく輝く恒星。固有名はギリシャ語「焼き焦がすもの」。先に一生を終えた白色矮星(シリウスB)を伴っているが、この伴星はシリウスから重力でガスを吸い取っており、一時期その吸い取ったガスで核反応が成立、赤く輝いたようだ。この様子をセネカらが「赤犬の星」と評しており、「焼き焦がす」もこの炎のような色から付けられた可能性がある。なお中国でも天狼と呼んでおり、煌と輝く姿は一匹狼や野良犬の有り様をイメージさせたのだろう。296000年後に4.3光年離れた位置をボイジャー2号が通過して行く。
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●ムルジム(Murzim)
おおいぬ座β星。距離490光年。固有名はアラビア語で「予告する者」シリウスに先んじて上ってくることからの命名か。なお現在太陽系は「ローカルバブル」と呼ばれる星間物質の極端に少ない領域にあるが、そのバブル末端、太陽系から見て最も遠い位置にあるのがこの星である。
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●ウェズン(Wezen)
おおいぬ座δ星。距離1600光年。固有名はアラビア語で「重い」東天でシリウスの下にあり引きずっているように見えるからか。なお同じ二等星でも遠くにあることから分かるように大きく明るい星であり、太陽質量の17倍と実際重い。
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●アダーラ(Adhara)
おおいぬ座ε星。距離400光年。固有名はアラビア語で「乙女たち」。二重星で「たち」との関連をそそのかすが、肉眼では分離難しく偶然である。
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(つづく)
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