東京をがっつり無視して
とりわけ関東に在住の向きにおかれてはここを使うことはまず無い。
新幹線→新幹線の乗り換えをして北へ向かう。出張の前日入りという奴だ。日曜に仕事で動くなど憂鬱の至りだが、そんな気分も、旅乗りルンルン気分(死語)のどちらもない。何だろうこの一種厳粛とも言えるこの気持ち。
福島を通り地上へ降りる。ああそうか、震度6以上のエリアに入るの初めてだからだ。
福島市街を抜けるとただちに板谷峠の急勾配・急曲線区間に入る。
「こいつ新幹線て名前のくせに下に降りるんですね。しかも遅いし」
とは同行した社員氏の弁だが、彼は明治の苦労を知らぬ。急峻な峠道を非力な機関車で越えるために苦労して敷設され、以降も延々とここの峠越えに特化した専用の機関車が使用されてきた。比して275キロで疾駆できるE3系なる「新幹線直行特急」はその巨大なパワーを峠越えに活かせるわけだが、急曲線のゆえに制限されているのである。
~なう、とやりたいがここらは「圏外」。あいぽんの地図で位置追跡を試みるも途切れて動かず。
分水嶺を越え、ようやく田んぼの続く直線へ復帰、E3には流すと書くにも軽すぎる130キロで恬淡と走る。
仕事なのでどことは書かぬが大体どこかは判じよう。ちなみにこの手の霜降りはレアで食うのが当たり前で、ウェルダンにするとただひたすら硬い、みたいな場合があるが、こいつはそんなことはない。ウェルダンにしてもサクッと噛み切れるし、旨みが広がる。
しっかり焼いて美味しいなら妻にもOK。ということで自宅用の土産はコイツに決まり。フロントに申し込み、ついでに地震の時のことを聞く。千葉在住時にも書いたが、何せ報道は津波が中心で、以外の他県の被害は余り伝えられなかったからだ。
曰く「経験したこと無い揺れでしたね」震度は5強で東京並み。で、幸いにも停電エリアからは外れたとか。
そして、峠を越えて福島の方々が多く避難。
「リネン類のクリーニングなどが滞りましてね。それでもいいというのでお泊まり頂きました」
生活が営める。それを考えればクリーニングの有無など些末な話だろう。明治に難行の隘路が世紀を超えて命を繋ぐ道になったのだ。
「南海トラフとか、富士山とか言われてますね」
「ええ、次は我々です」
だから、オレはこの地でお金を使う。
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