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2013年5月 2日 (木)

悠久の三十一文字

万葉にスマホがあれば防人は鼻すすりつつ画面スリスリ
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笹公人氏に師事した話は前に書いた通りで実際投稿開始しようかなという段である。
原稿用紙300枚から書いてきた人間が三十一文字で誘われるなんざ意外で望外だが何であれ「見初めて」いただくのは嬉しい話だ。
さて戻って三十一文字さん、成立というか西暦700年代には既にポピュラーな存在であったことが「万葉集」や各地の「風土記」から明らかである。以来1300年、連綿と遊び続けられているから大した物だ。
この手の言葉遊びは少なくとも中国には存在している。五言絶句とか七言絶句とか習った方も多かろう。
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天河之東有織女
天帝之女也
年年机杼勞役
織成云錦天衣
容貌不暇整
(天河の東、織女あり。天帝の子なり。年々に機(はた)を動かす労役につき、雲錦の天衣を織り、容貌を整える暇なし。)
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ご存じ七夕の原文とされる物だが、音読みでもリズムがあり、書き下しでもリズムがあり、「歌」になっていることが分かるだろう。韻を踏むとか拘束条件や規則性は中国の影響が大きい。
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ただそれを七五調の万民通ずる体系に整えたのは倭人である。そしてその結果、身分の貴賤にかかわらず歌は作られ、万葉集なんか貴賤にかかわらず採用されている。で、1300年経ってもそれが受け継がれ、当時も、今も楽しむことが出来、時代時代で中身を変えても姿は変わらない。こんなモノスゴイものは世界のどこにも無い。他の言語圏でこうした言葉遊び、それを純化して芸術の域にまで達した物は見当たらないのである。詩人は幾らでもいるが、歌人や俳人に相当する存在は無い。
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この流れはネット時代の今でも健在で、むしろネットを利用して遊び方が広がったと言うべきか。万葉の遊びに「次の杯が流れてくるまでに連歌や返歌を作る」ってのがあるが、同じようなコトを現時点普通にやっている。掲示板の「幸せそうな五七五に七七を付けて台無しにするスレ」系みたいなものや、ツイッターを使った連歌・返歌遊びなど典型だろう。「診断メーカー」にも「~を入れ込んで○分内に一首ひねれ」なんてのがある。ツイッターは140字という制限を持つが、制限の中に十重二十重ヒネリ込むのは短歌の感覚そのもので親和性が高い。個人的には詠み捨てる(好きな人は勝手に拾って)ってのが粋な遊び方だと思うが、ツイッターで一首ひねって置いておくなんざこうした「詠み人知らず」に繋がる動きだろう。
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「最近のJ-popは歌詞がツマラン」とは毎度書いてることだが、その背景にあるのは圧倒的な語彙不足である。「超」「ヤバイ」「カワイイ」だけで表現が片付く環境で叙情豊かな歌詞など生まれるはずが無いのである。が、本を読むかってえとそんなことはない。スマホスリスリの世代が重く分厚い本を読むか。最早手遅れである。
こう書くとこの記事の「結」が皆さんにも見えてきたであろう。スマホスリスリでも三十一文字は短さ故に親和性が高いにもかかわらず、充分な叙情と情報量と語彙を提供できる可能性を有している。逆に?再度?三十一文字フォーマットを活用できる時代が来たのではないかという気がしてならない。
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詠草を綴る代わりに呟けり川に代わりて時間に流し(詠草:えいそう・歌を書いた長細いあれ)
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( ̄ー ̄)←シメが決まったのでドヤ顔の図

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