星の名を追って(4)
●ナオス(Naos)
とも座ζ(つぇーた)星。距離1080光年。太陽半径の11倍の大きさを持つ青色超巨星。固有名はギリシャ語で「船」の意。これはとも(艫)ほ(帆)りゅうこつ(竜骨)らしんばん(羅針盤)の4星座で、黒海の奥へ冒険の旅に出た高速帆船アルゴ号を構成することに基づく。この船にはギリシャ神話中の名だたる勇者たち(ふたご座のカストル、ポルックス、こと座のことの持ち主オルフェウス等)が乗り組んだ。裏サイトの船の名であることは言うまでもあるまいw
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●スハイル・ムーリフ(Suhail al-Muhlif)
ほ座γ星。距離1100光年。六重連星。うち二つは青色超巨星とウォルフ・ライエ星(青色超巨星の中で、核反応が非常に激しく、著しい勢いで質量を失っているもの)であり、至近であれば巨星が爆発的にガスを放出しながら目を射る輝きを放つダイナミックな光景を呈すであろう。固有名はアラビア語で「栄光の誓約」(諸説あり)
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●クーシー(KooShe)
ほ座δ星。距離80光年。四重連星。実は二等星で唯一固有名を持たなかった。これは南天ゆえ欧州人による認識が遅れたためもあろう。この固有名は便宜上与えられたもので中国語で「矢」の意味。
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●スハイル・ワズン(Al Suhail Al Wazn)
ほ座λ(らむだ)星。距離540光年。太陽半径の200倍に達する赤色超巨星。固有名はアラビア語で「栄光の星」(諸説あり)。アルゴ以南の星々は固有名・由来とも様々である。
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●マルカブ(Markab)
ほ座κ(かっぱ)星。距離570光年。二重星。なお、固有名は「乗り物」の意であるが、同名のペガスス座(馬であることに注意)の星の方を指すことが多い。
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★カノープス(Canopus)
りゅうこつ座α星。距離309光年。太陽半径の65倍の大きさを持つ。南天の極に近く北半球の中緯度以北では殆ど見えない(東京でわずかに地平線の上に顔を出す)。このため「見えれば幸運で寿命が延びる」との言い伝えより、中国では「南極寿老星」と呼ぶ。固有名はトロイア戦役の水先案内人の名前とも。
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☆りゅうこつ座の他の二等星は日本から見えないので簡略表記する
β星ミアプラキドゥス(Miaplacidus)距離113光年、固有名は19世紀の造語
ε星アヴィオール(Avior)距離604光年、固有名は天測航行に供するためイギリス軍が付けた造語
η星イータカリーナ(Eta Carinae)距離7500光年。太陽質量の70倍と30倍の大質量連星系で、1840年に超新星近似の爆発現象を起こし、マトリョーシカ人形に似た「人形星雲」を形成した。固有名は「りゅうこつのイータ」でそのまんま
ι(いおた)星アスピディスケ(Aspidiske)距離660光年、固有名はギリシャ語で「盾」の意。紀元前に配置されていた小さな星座にちなむ
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☆らしんばん座に二等星以上および固有名を持つものはない。
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(つづく)
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