星の名を追って(5)
●シェダル(Schedar)
カシオペア座α星。距離228光年。固有名はアラビア語で「胸」。なるほど星座絵では王妃(カシオペアはアンドロメダ姫の母ちゃん)の胸の位置に当たる。
.
●カフ(Caph)
カシオペア座β星。距離55光年。固有名はアラビア語で「腕」。但しギリシャ神話とは関係なく、太古このあたりに設定されていた「プレアデス座」の腕と言われる。
.
●ツィー(Tsih)
カシオペア座γ星。距離610光年。固有名は中国語で「鞭」とか。2等星だが変光し、1.6~3.0まで変化した記録がある。
.
●エルタニン(Etamin)
りゅう座γ星。距離155光年。太陽の50倍半径を持つ超巨星。150万年後に太陽系からから28光年先を通過し、シリウスより明るくなると言われる。固有名はアラビア語で「竜の頭」すなわち星座と結びつきが深い。これはメソポタミア時代の北極星がりゅう座にあったことによる。ちなみαβのバイエル符号は明るい順番に付けられるのが普通だが、そうした経緯により、りゅう座α星は太古北極星の4等星「トゥバン」(Thuban)が持っている。意味はアラビア語で「竜」そのままである。なおβ星はラスタバン(Rastaban)といい、やはりアラビア語で「竜の頭」とされている(ラスタバンは英語でhead of the serpentとされているので、海竜の頭とでもした方がより近いかも知れぬ)、β星とγ星は時代ごとに入れ替わり呼ばれたようだ。
.
●ポラリス(Polaris)
こぐま座α星。距離430光年。現在の北極星。三重連星で主星は太陽半径の30倍に達する超巨星。固有名はラテン語で「極の星」の意。これは日本語で「北極星」と言うのと同じような使われ方だったのが、近代天文学の勃興と共にそのままこの星の固有名そのものとして定着した形である。当然、数千年後には北極星としての役目を終える(次はケフェウス座のエライ)が、そのときに備えた名前は今のところ決まっていない。
.
●コカブ(Kochab)
こぐま座β星。距離130光年。一世代前の北極星。太陽半径の40倍に達する巨星。固有名はアラビア語で「北の星」の意。
.
(次回・最終回)
« 星の名を追って(4) | トップページ | 星の名を追って(6・終) »
コメント