科学する心
以上「子宮頸がんワクチン」の話を終えるが、これ書くのに相当苦労した。1次ソース(論文や特許)とワクチンメーカや病院の解説ページ位しか資料が無く、真ん中がないからだ。必要な下知識として「がん化とはなんぞや」「細胞の活動と免疫」が必要なのだが、その辺が無いのである。なので脱線覚悟で追加してみたが、やはり視点のズレが大きかったせいか、読みにくい代物になったことは否めない。
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多分、DNAと聞いて多くの方の記憶にあるのは、デオキシリボ核酸の略で、グアニン(G)シトシン(C)アデニン(A)チミン(T)。だけではなかろうか。確かにテストではそんだけ知ってればナンボか点を取れる。だが、それだけでは最後に紹介したワクチンの効能書き理解するには役に立たない。つまり「暗記」に過ぎず「勉強」になっていないのである。
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福島第一の事故で多くの方が右往左往し、いろんな数字が一人歩きしてああしろこうしろ意見が(放射線の如く)飛び交っている。そうした有象無象がはびこるのも「原子力発電で何をやっているのか」「何が作られどういうルートで身体に影響を与えるのか」という理解がないからである。むしろそこすっ飛ばしてベクレルやシーベルトだけ抜き出してギャーとかやってる。
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このばかちんが。
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一つ書いておきたい。あなたはどっちでも良い。なぜ危険で、あるいはなぜ安全か、他の人に説明できるか。
「副作用が~人出てるから」
「~シーベルトだから」
こういう言い方は認めない。なぜ?ただの受け売りでしょそれ。
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科学は「理論と結果」の相互検証サイクルで「事実」を導く学問である。それを自分自身で出来る能力を有しておかないと本当に事実かどうか理解する手段を持たないことになる。結果からいい加減な理論をでっちあげることも出来るし、逆もできるのだ。新興宗教が聖書の文言持ってきて「ほ~ら預言通りだ入信しなさい」とよくやるが、全く同じである。
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「でも難しいし……」
それでは話が止まってしまう。本当にそうだろうか?確かに1次ソースに羅列された専門用語は一見難しそうに見える。が、その言葉をキーにがんがん検索して行くと「L1因子に基づきVLP作成」→「同じ形だがDNA持ってないタンパク質の塊を作る」という万人がちゃんと理解出来る物言いまで噛み砕くことが出来る。そういう努力は必要、というか判らんままで不安にならん?一方専門家も理解してもらいたければ一般的な言葉と内容で書く努力が必要だ。できないというなら専門バカの称号を捧げたい。ちなみにネット検索だけで噛み砕いた表現まで行き着けるのは技術の恩恵と書いていいだろう。さもないと多分まだ図書館で右往左往していたに相違ないからだ。
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判らないなら、不安に思うなら、他人の言説にただ流れるだけで無く(この記事もどうかな?宿題)、自分の力で調べ、「あなたが守りたい大切な誰かに説明できる能力」を身に付けることをすすめる。それが「科学する心」と呼ばれるものであると私は信じる。
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