格調高く「生理」考~男の子の時、夫になって、父親になって~
はいはいリムれリムれ。
生理……physiological……生物体の生活現象と生活原理(広辞苑)
よらず身体が持っている根源的な活動をいう。多く不随意であり、ゆえをもって「どうにもならん身体の活動や反射」をこう表現する。
で、その代表格たる女性の月経の隠語として生理という訳だが、こんにち生理自体その意味を持ってしまったので最早隠語の意味を成さない。「女の子の日」とか。
自分が突如「おい男子外で遊んでこい」と追い出されたのは小学校6年だったか。戻ってきたら女子はみんな神妙な顔つきで「女子だけの授業」中身を語らず。
追ってそうと気付いたのは中学校に上がってからだが、そうだと知るのはエロ話の一環としてである。そう、男の子はそういう先入観と共にその存在を知るのである。
女の身体に興味を持つ→性的な情報として月経の存在を知る
これは正しい理解の経路なのか。しかも「子孫をはぐくむ」という最大の存在意義が欠けている(女の子の特別授業も大抵そうだが)。
良く「男性は女性を尊重すべき」論を見かけるが、尊重の故はその最大の存在意義ゆえにデリケートであり、非力に出来ているからであろう。そこすっ飛ばして「尊重」ばかり声高に叫ぶから趣旨が伝わらない。
自分の場合「Newton」あたりの生命特集記事や、NHKの「驚異の小宇宙・人体」といったあたりから純粋に生物学的に詳細なメカニズムを得た。看護学の本から妊娠出産の経過を知り、こりゃとんでもねえという結論になった。すなわち。
「女性は命がけで子孫を残す」
ふっくらした体つきは脂肪で保温することで余計なエネルギを消費しないためだし、それは飢餓にあっても子供に乳を与えることを可能とするためだし、卵子が誕生時点で既に卵巣にセットされている(卵母細胞)のは、成熟後直ちに、若くて体力があるうちに、そして飢餓に襲われて尚多く受胎のチャンスを得るためだし、その一環で月のリズムでリニューアルされるし、と、こうなる。女とは時々刻々身を削り用意されたものを失いながら次の命を模索し続けているのである。ついでに言うと卵子は毎度卵巣を破って出てくるので、人によってはそれを痛みとして感知する(排卵痛)。そこで日本の神話は天照大神から始まるとか、平塚らいてうの「元始、女性は太陽であった」とか聞かされてみろ、女の子の外見描写するのにちょっとエッチに書こうとか発想自体に至らない。むしろそうしたいわば「命に特化した女神性」を表に出したい、とこうなる。そしてこの気持ちこそが女性性に対する正しい理解(の一形態)なんだなと確信した。
および。
なぁ、縄文人がそーゆーことにデリカシーとか恥じらいとか考えたと思うか?神話の言う性的な奔放さは現代のしかもキリスト教的価値観混じってからの物言いであって、別に当時は日常茶飯事だったからそのまんま物語に取り込まれたに他なるまい。むしろ恋をし性を喜びそして子宝を祝福した。それが日本の原始の姿だったのだ。そして一方で、「子供が丈夫に育つこと」は至難な時代だった。加曽利貝塚で見た丁重に葬られた嬰児の甕棺に大なる悲しみを受け取る。恋愛、性行為、子宝。「子孫のために求められた特性」実に一貫しているではないか。この大いなる全体のメカニズムこそ「生理」の全容ではないのか。それは現生人類20万年、ヒト科として700万年を生きてきて獲得した「生き続けるための力」なのだ。
ちなみに。
娘への説明は1分も必要としていない。これだけである。
「人間もタマゴから生まれるんだよ。ただ出しっ放しだと古くなるから、1ヶ月に1回新しく作り直される。このとき古い組織が組織の中の血と共に流れ出る。これを生理と呼んでる」
男の子には。
「この生理の働きで、女の子は心と体が不安定になったりすることもあるし、ひどいと痛みを覚えたり、風邪を引きやすくなったりする。大切にしてあげてください」
何か問題ありますか?何か不快ですか?
正しいこと教えないから、歪んだ形で覚えるのですよ。
« 出社はしたが席には居らずやがて5時なり | トップページ | そして、729円 »
コメント