男:漢→女:?
声のお仕事、小松由佳さんとこんなやりとり。
ほえ。
「漢」は「男の中の男」みたいなニュアンスで使われる。「好漢」「悪漢」「門外漢」「無頼漢」など、良くも悪くも「男っぽさ」の一部が極端化した、みたいな。ちなみに「漢」自体は古代中国のあの漢から来ているようだ。すなわち中国・漢民族のアイデンティティそのものを示し、五胡十六国の時代「漢」が基準だったことを匂わせる。
で、その女版あるか?という話である。「漢女」(あやめ)という言葉はある。広辞苑によれば「大陸系の裁縫技術を有した渡来人の女」とあり、いわば「女子力」を象徴する。この会話で「漢」が意図するところは知的でBraveということであるから、ちょいと外れる。
Braveな女性と言えばアマゾネスやワルキューレが世界的に知られる。じゃぁ漢字圏の女戦士で何か無いかというと、春秋戦国の頃女兵士がいたらしい。が、特に独立した呼び名は無かったようだ。ちなみに女忍者はくノ一だがこれはご存じの通り「女」という字を解体(ゲシュタルト崩壊とも言う)したものである。
もう少し範囲を広げて「男性的な格好の良さ」としてみると、英語圏では「ハンサムガール(或いはレディ/ウーマン)」と言う。ただこの手の言葉は多くの場合「女だてら」な意図を含み、あくまで基準は男の有様(ありよう)で、「みたいな女」という添え語的な造語の場合が殆どである。漢字だと「女伊達」「女親分」など、男向けの言葉に女をくっつける。いやいや待て「姐御肌」とか言うな。でも「姐御」だとBraveなイメージが先行しすぎる。クールさやスマートさが足りない。「姐」ではやや下品さが強まる。その点で「大和撫子」は全ての意味を含むが、一文字ではない。ちなみに「漢」は和風に置くなら「侍」になろうが、相対する女性の美称はないものか。思い浮かぶのはまずは「姫」しかしこれでは王族が前に出る。いや待て、「ひめ」はこの文字だけでは無い。
媛。
「才媛」「名媛」
恐らく正解だろうが、ん~・・・「女だてら」なニュアンスが抜けない。いかに男性中心社会かということか。
ちなみに日本でハンサムウーマンと最初に呼ばれたのは「新島八重」なのだとか。するってえとあれか、そういう方面の女子力発揮を意味する動詞は「やえる」になるのか。
結論:うちやえゆかさんは女の中の女
…ん?
★補足:「やえる」という言葉自体は何と名古屋弁として存在する。「八重る」と書き、幾重にも重なる、重複する有様を言う。名古屋は「やっとかめ」(八十日目:久しぶりの意。そのくらい久しいの意味)など、とかく「八」が好きである。
(真形釜丸八文様鯱常環付:名古屋城所蔵)
« 雨上がり前線の後ろ姿の雲見えて青空。月と金星輝き暖房の効いた電車の窓曇る | トップページ | Haiyan-海燕-という名の死に神。恐らくは近未来の日本にも »
« 雨上がり前線の後ろ姿の雲見えて青空。月と金星輝き暖房の効いた電車の窓曇る | トップページ | Haiyan-海燕-という名の死に神。恐らくは近未来の日本にも »
コメント