少しは身体の心配をしろ~MRI検査を受けてきたぞ~
MRI-核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging)
人間の身体は殆ど水分だが、そこに強い磁界をかけ、水の中の水素原子を一時的に磁石化、磁界に反応して電波を発生するのでそいつを拾って画像化する。まぁ簡単に言えばそんなシステムだ。ラジオ放送に対してどんな反応をするか?である。「核」磁気共鳴と書かれるが「核反応」は全く無関係だし、当然放射線も関係ない。ただひたすら磁界が強い。
「労災病院のは建物古いけどMRIは新しいんですよ」健康診断で要精密検査の断が出たのは先日書いた話。休暇にしてのこのこ出かける。紹介状を提示し、診察券を作るからと署名をしてMRI室へ。
半分「取材」である。何せ話の中にCTやMRI良く出す。実地検分出来るほど強力な取材は無い。
「どうぞ~」
招かれて更衣してガウン1枚。強力な磁界に突っ込むので金属NG。腹部の検査だが眼鏡も外す。探知機で身体一巡りチェックされ機械鎮座ましますシールド室へ。
シーメンスMAGNETOM Avanto 1.5テスラ。そばで冷却装置がきゅーぽんきゅーぽん。液体ヘリウムによる超伝導ドライブだ。ちなみにヘリウムの液体状態を保つため、この冷却装置は止めることが出来ない(永久循環)。なお、3テスラ発生する上級機種が12億円らしいので、まぁ応じた価格。
しかし「新たなMRの世界にようこそ」ってあまり常連になりたくは無いがw
MRIの磁界は2つのコイルで発生する。こいつがその片割れで、今回は肝臓周囲だけなので小さいユニット1個を腹の上に載せる。防音兼指示伝達用のヘッドホンを付け、異常通知用のスイッチを持ってガントリ(砲身w)の中にスライドイン、ほぼレールガンの砲弾状態である。
びー、びー、きゅいきゅい。ああ、これがウワサの「音」か。昨今の電車は発車停車時にウィウィうなるが原理も音質も全くそれそのものである。周波数が幾つかあるが、電車ヲタ的にはむしろ親近感。
「息吸って、吐いて、止めて」
びびびびび、ぎゅい、ぎゅい。パルス状のヤツは5~6p/s位のペース。
何回かやった後、引きずり出されて腕に針ブス。造影剤というヤツである。カルテにプリモビストとあったので、レアアースの一種「ガドリニウム」(Gd)系化合物らしい。上記「身体にラジオ電波を浴びせる」に際し良く反応する。まぁそんな理解で結構。
もう一度砲身にセット。ちなみに目の前10センチが壁である。良く下水管パイプを伝って脱走みたいな映画あるが、途方も無い根気を要求されよう。人間、閉じた空間自体は嫌いじゃないが、身動き取れないのは不快なのだと理解する。するとそう……災害でがれきに挟まって「頑張れ」口で言うほどたやすくない。
びびががびびがが。なおMRIというとこの「音」が声高言われるが、自分が受けた感じ特段うるさくない。確かに耳をすっぽり覆うヘッドバンド式ヘッドホンをして尚びびがが聞こえるわけだが、耳障りじゃ無いので(むしろ聞き慣れた電磁音w)充分耐えられる。もちろん、肝臓一発狙いだし、こいつが新型でシーメンスの大いなる技術で低騒音化を達成した故かも知れぬ。シーメンスのサイトによればTotal imaging matrix(TIM)という技術によって画像コントラストを上げているそうな。畢竟、応じて最低限まで磁界の発生は絞れるわけだ。論文覗いたが技術方向はレーダーの画像合成に近い。
「10分お待ち下さい」
ナヌ?時間を置いて差分を取るのであろうがボーッと待たされるのはなぁ。ちなみに腕には造影剤の注入針がブッ刺さったままである。微かな痛みがずっとあり、点滴の苦労が忍ばれる。ヘッドホン一応音楽流れているが、モノラルで音像定位もずれているとオーディオオタク的にはまことにストレスである。これで10分待てとか。好きなCD回す位のサービスしてもいいのでは?特に子供さん向けを考えると>シーメンス
無為に流星を待つ心境。書きかけの童話のあらすじでも考えるか。これでこうでこんなもんか。
「はいでは行きます」
びびがが数回。
終了。砲身から引き抜かれて、造影剤の針を抜かれて「お疲れ様」。
結果はROMに焼かれて病院に送られるそうな。13400円也。
しかしン億円の機械のモト取るの何回ショットするんかね。前述の通りヘリウム冷却は24時間運転なんだぜ。←機械の心配より自分の身体心配しろこのオヤジは
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