SurgeとTsunami
surge:サージというと、電機や機械を噛んでる人は、それらの一時的な挙動不審を意味するあれかと解するであろう。
【動詞】 【自動詞】
1〈海・群衆などが〉波のように押し寄せる; 〈畑の穀物などが〉波打つ,揺れる 〈副(句)〉.
用例:A great wave surged over the bow. 大波が船首におおいかぶさってきた.
2〈感情などが〉わき立つ,渦巻く 〈up〉.
だがこれが「高潮」の意味だと言うのだ。なるほど高潮の英訳はStorm surgeで、嵐が惹起するサージと解せる。フィリピン政府はハイエン接近に当たり、「嵐とサージ」に警戒するよう呼びかけたという。だがサージという言葉が持つ本来の意味では、高潮の本質・・・海から来る洪水・・・は伝わらない。
「tsunamiと言ってくれれば分かった」と被災者はWSJ紙の取材に答えている。テレビがあれば3.11の津波は誰もが知っている。類似の現象と言われれば避難の動機に充分である。
ちなみに高潮を「気象津波」と表現することもあるという。具体的な事象に近いのはこちらであろう。かつて「津波」はそれ自体対応する英語が存在せず(tidal waveと称した。だがtidalは元々潮汐を意味し、もっと穏やかな現象のイメージがある)、もってして「tsunami」がそのまま英語として定着した経緯がある。その時代であれば「気象津波」と言われても現象の想像はできなかったであろう。だが今は別だ。津波の何たるかはスマトラと東日本で知れ渡り、機序はさておき現象そのものは「海から来る洪水」で津波とほぼ同一である。防災で肝心なことは「何が起こるか」の具体的なイメージを想起させることである。ならば、細かい使い分けや正しい定義にこだわることはない、むしろ逆だ。
「アウターライズ地震」最近書いてるしメディアもチラチラ言う。当ブログをごひいきの方は、震源の場所に起因するだけのこと、とご承知のことと思うが、そうでない人は何か特殊な地震と思うであろう。これも肝心なのは、「ゆらゆら揺れる」「揺れ大きさのわりに津波が巨大」という部分である。なお「~巨大」は、日本周辺でこいつが起こる場合の特定事象に過ぎず、仮にアウターライズの真上に国土が所在するならば、当然揺れ自体もべらぼうなものになる。
ここにまた「正しい理解」という奴が必要という話が出て来る。先日のアウターライズM7.1を気象庁は3.11の余震と言ったが、正しいが正確ではなかろう。「でかい余震か」で済ませてしまった方がかなりいるのではないかと思う。ひっくり返すと本当のアウターライズの巨大地震が来た時
「M8超えたけど遠いや。揺れもそんなでも無かったし」
これが起こるのだ。情報は自ら取りに行かないと入ってこない。日本は誰でもどこでも情報を取得できるインフラと知識を有するが、あまねく完全に 強 制 的 に知らしめるまでには至っていない。されば知識から推定し情報を取りに行く能力を持たねばならない。アウターライズを知り、「かも知れない」と予見する知的下準備を欠くことができない。
当ブログを知識自慢げにひけらかすと捉える御仁もあろうが、その趣旨は正しい理解の促進にあり、理念はここに記した通りである。理念を行動に移すならば、アウターライズの大規模な地震は近い将来必ず発生し、大きな津波を伴うことを知らしめる。その際の人的犠牲をゼロとする、が第一歩であろう。
ただそれだけ。
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