首都直下地震に備える【2】
●予測される地震
パターン別に規模と内容を見てみる。内閣府「首都直下地震モデル検討会」の結果に基づく。
以下の5パターンを考える。
①東京都心直下
②茨城県南部
③千葉東方沖
④関東地震(関東大震災の再来)
⑤房総沖地震(延宝津波地震の再来)
ここで、同じ検討会の従前の内容には「国府津-松田断層」と「東京湾北部断層」が動いた場合、「多摩地震」の予想が含まれていたが、2013年末の同報告では、
・「国府津-松田」は④関東地震の断層が地上まで伸びている(要は関東地震の震源の一部)
・「東京湾北部断層」「多摩地震」は④の一例である1923年大正関東地震(関東大震災)で歪みが解放されたもの
とされ、それぞれ今回の報告からは外された。
一方、同報告では、関東平野においては断層がどこに隠れているか分からないことに鑑み、
○フィリピン海プレート内の地震(Mw7.3、10地震)
都心南部直下、都心東部直下、都心西部直下、千葉市直下、市原市直下、立川市直下、川崎市直下、東京湾直下、羽田空港直下、成田空港直下
○地表断層が不明瞭な地殻内の地震(Mw6.8、2地震)
さいたま市直下、横浜市直下
を新たにシミュレートして紹介している。以下当記事ではこの推定パターンから、冒頭5つの地震に相当するものを過去実例を交えながら紹介する
①東京都心直下
シミュレーションと過去文献の突き合わせ、および、東北地方太平洋沖地震の解析から、どうやらフィリピン海プレートの位置は従前より10キロほど浅い(都心直下30キロ)というのが今回報告で盛り込まれた最新の知見である。
安政江戸地震を再現したのがこれ。千葉県に震度6クラスの飛び地があるが、これはプレート分布及び「揺れやすさ」を反映した結果。え?震度7の地域が無い?
江東区、駅で言えば越中島とか門前仲町とかその辺に少し。
②茨城県南部
「あーあーこれか」という方多いのではないか。
毎日ガンガン起きている。これの親玉と言える。だから取り上げた。最大震度は6弱。
③千葉東方沖
こいつは地震調査研究機構(http://www.jishin.go.jp/main/index.html)や、千葉県(http://www.pref.chiba.lg.jp/bousai/jishin/higaichousa/h20-04.html)のデータも使う。
なんでこれを出したか?実は2012年、および、2014年1月初旬に、この地震活動と関係のある「スロースリップ」が観測された。
2014年春までに震度4~5クラスが起きる可能性が高いのである。また、この辺は東北地方太平洋沖地震を食い止めた=応じたストレスを抱えたまま、という点にも注意しないとならない。
④関東地震(関東大震災の再来)
これはおよそ100年後と見られているので参考まで、と一応書いておく。但し、東北地方太平洋沖地震によるストレス、21世紀中に発生するであろう南海トラフ巨大地震、富士山噴火などの影響により、今世紀中にイレギュラーで起こらないとも限らない。
やはりこれが一番深刻であろう。「プレート間」の地震が真下で起こるのだから。神奈川は湘南エリアを中心に多く震度7であり、しかもその揺れや直後の余震のまっただ中、津波に襲われるという事態になる。
⑤房総沖地震(延宝津波地震の再来)
これはいわゆる「津波地震」である。揺れは小さいが津波は大きい。「っぽいもの」は歴史上1677年の1回こっきりであり、知見もデータもまだまだ少ない。それでも」シミュレーションと突き合わせ、
こんな風に出している。こいつは津波がメインなので震度分布は無い。ただ何せ発生間隔データが無い上に、東北地方太平洋沖地震によるストレスを受けた領域、及び、大正関東地震で壊れなかった領域と隣接と、悪いことは幾らでも書ける状態にある。心構えはしておいて良い。
以上。次回は「発生確率」と「備え」を書きたい。
« 首都直下地震に備える【1】 | トップページ | 首都直下地震に備える【3】 »
コメント