伊予灘の地震について(臨時)
書かにゃいかんでしょ。
「3月までに南海地震が来る!」とかテレビで言っちゃう東京大学名誉教授がおるもんで。
まぁ夜中の2時にこれ来られたら相当驚いたことだろう。で、実際の震度分布は
こうだった。これは何を意味するのか。
実はこの辺ちょくちょく発生している。50年間隔位で大きめの「芸予地震」が起きており、直近2001年3月の「芸予地震」では人的犠牲も出ている。
ただ、この時の芸予地震の震度分布はこうなっている。
よりマグニチュードは大きい(図はM6.4としてあるが確定M6.7)のに、名古屋の震度は芸予が震度1~2、14年伊予灘が2~3。また体感震度をカウントした範囲の東端は、芸予が静岡市付近までであるのに、14年伊予灘は東京江戸川区でも検知している。
どこに差があるのか。
芸予地震の震源は深さ50キロ。対して14年伊予灘は78キロである。この「深さ」の違いが名古屋の震度や震域の広さを変えた。
これの中の図に勝手に★を描いたが、これが14年伊予灘の大雑把な震源の位置である。フィリピン海プレートの中の「ひび割れ」で、上に乗っているユーラシアプレート「全体」が揺すられた。深い=よりユーラシアの内奥の真下からド突かれたので、丸ごと動いたのである。この結果、遠い名古屋でも震度3になった。
で。冒頭名誉教授の警告する「南海地震」とこれは関係があるのだろうか。
同じ文献から取ってきた画像で言えば、「南海」はこのような「プレート丸ごと」同士の運動である。海洋プレート(フィリピン海プレート)に、陸のプレート(ユーラシアプレート)が引きずり込まれそうになり、イヤだとばかり跳ね返るのである。フィリピン海プレートの中でひび割れた。それがこのプレート同士の滑りを惹起するのか?或いは陸側の「イヤだ」の前兆なのか?
3.11の前震とされる3月9日M7.2の概況を示す。
「Newton」2011年10月号より。
こいつは「陸のプレート」側の浅い場所で発生している。プレート本体が動き出すに際し、その先端部が先にパキッと動いた、と解釈出来る。対して14年伊予灘はプレートも違うし深さも違う。これで例えば同様に2日後南海が来る!というのは無理がある。また、1854年以降沈黙している東海地震を差し置いて(?)1946年に起きたばっかり(!)の南海がまた起きるというのも納得しづらい。ただ、困ったことに昭和南海地震の科学的知見は戦後すぐの混乱のために殆ど残っていない。とはいえ、幅数百キロ厚さ数十キロの大岩盤が何ら前触れなく突如動き出すとも考えにくい。
(ネタ元)
しょっちゅうグラグラしてる東日本と違い、普段全く動かないのが南海トラフであるから、さすがに現代の技術で「いつもと違う」を引っ掛けられないことは無いと思う。なので芸予地震と同様系のスラブ内地震が南海地震を惹起はねーだろと書いておく(但し名誉教授の引っ掛けているGPSの変動が、メカニズムの異なる慶長地震やその他の地震の前兆かも知れん可能性はあるぜよ)。
最後に。
名古屋=濃尾平野で震度3を観測した理由をもう一つ。簡単に言えば地盤が緩い。そりゃそうだ。奈良時代まで濃尾平野は海だった。
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