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2014年3月16日 (日)

正しく怖がる放射線【4】

6.影響と対策

(1)体外被曝の場合
まずこちら。変な言い方だが「簡単」である。放射線それぞれの進める距離と防ぐ手段は次の通り。

①アルファ線:空気中なら5センチしか進めない。紙1枚で止められる。衣服着ていれば肌に達しない。
肌に達しても細胞中を数十ミクロン(文献により様々だがミクロン単位)しか進めず、表層の皮膚はやがて剥がれ落ちるのでその細胞のみへの影響にとどまる。

②ベータ線:空気中は1メートルほど。正体「電子」なので金属板で切れる。プラスチック板でも1センチもあれば充分。
体内で進む距離は1センチ程。従って、肌に達すると皮膚の深いところまで損傷する。一度に大量のベータ線を浴びると広い範囲で皮膚細胞が破壊され、火傷と似た症状を呈する(放射線熱傷)。なお、皮膚生成エリアまでベータ線が達し、そのエリアの細胞を破壊すると、皮膚生成の機能を失う。

③ガンマ線:光そのものなので空気で遮ることは出来ない。遮蔽には10~30センチの鉛板を要する。放射線防護服もこれに対しては万全では無いが、アルファ線、ベータ線ほど細胞DNA破壊能力は大きくないので、時間制限を設けて用いる。
体内では細胞を傷つけながら進み、体外へ突き抜ける。影響は「どこから入ってどこを通ったか」「どれだけ浴びたか」での評価となる。例えば目の前でウラン燃料が臨界事故を起こした、となれば目から脳から損傷する。修復作用の無い細胞ならその機能は失われる。修復作用のある細胞も、修復に関わるDNAが破壊されれば修復機能は発揮されない。

「簡単やないやないかい!」
簡単の意図は「遮るか、離れるかして、継続的に浴びなければ良い」で話が済むという意味である。コンクリやアスファルトの表面を洗浄したり、土壌の一部をはぎ取る「除染」は、放射性物質を除去し、「継続的」を避けるための処置である(それでも他から流れ込んでくるんだけどさ)。

(つづく)

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