Walkman High-Resolution NW-ZX1 collaboration with Carozzeria
●冒頭の能書き
車載音響をごっそり入れ替えた(詳細ここ)。先代が「Carozzeria x」によるフルデジタル3wayバイアンプ。対してヘッドユニットが10万。ツイーターはヘッド付属のアンプでドライブ。ミッドとサブウーハは、マルチパーパスアンプPRS-D700(3万円×3台)でドライブ、とした。金額的には天と地の差である。実際、低域は出しては来るがゆるく(制動が弱い)、ツイーターとミッドバスにクロスオーバーする形でボーカル帯域が乗ってくるから定位がふらつく。それでもまぁ、「オーディオコンポーネントの音」がする。なお、ツイーターは「X」流用でT1x。サブウーハは同じくW2x×2発となっており、ミッドバスだけJBLのMS-52Cに変えた。JBLは本来2wayだが、ここではミッドバスのみ使用する。
さてこの導入は一つの企みがあった。せっかく大容量でPCM圧縮せず録音出来るウォークマン出て来たので、従前のCDチェンジャーの代わりにこいつを音サーバに用い、デジタルでたたき込んでやろうと思ったのだ。幸いにも今回のヘッドユニット「DEH-P01」はWAVファイルを読むという。通常、ウォークマンの出力はヘッドホン端子から出てくるアナログ信号であって、カロッツェリアの外部入力でAD変換、システム内でDA変換するという処理になる。つまり、デジタル音源⇒DA⇒AD⇒ヘッドユニット内部処理⇒DAとなり、ノイズ重畳やリサンプリングによる情報欠落は避けて通れない。しかもこのウォークマン外部出力電圧0.5Vに過ぎず、ヘッドユニットのAD変換のダイナミックレンジ24bit=16777216階調十全に使えるとはとても思えない。何とかして直接デジタルで突っ込んでやりたいというのが今回の趣旨である。
●やりたいこと
「NW-ZX1からCD-DAフォーマットの楽曲をリニアPCMのままヘッドセットに流し込む」
である。単純に考えた時、ウォークマン側のオプションとしてデジタル出力ケーブルWMC-NWH10が用意されており
これ使うと、まず市販のUSB-同軸変換ケーブルなどを使って家庭用オーディオのDAコンバータにPCMとして認識させることが出来る。
ウチではパソからUSBで吐き出させ、オーディオシステムに同軸で放り込む配線にしているが、ここにパソの代わりにウォークマンをNWH10経由で繋いで音が出た。オーディオ側が光(トスリンク)だよというなら、USB-光か、同軸-光を更に繋ぐかすれば良いだろう。なお、USB系のコンバータは、外部電源か、電池などの自己電源を持つものの方が良い。さもないとウォークマンの電池から電力を食われる。
しかし、車載のデジタル入力はこういう代物ではない。
●USBマスストレージという物言い
一方、USB入力を持っているオーディオコンポーネントで次の物言いを見かける。
「USBマスストレージ対応」
これは「USBマスストレージ」として認識可能なディスクやメモリに記録された音楽信号オイラ拾うよ、という意味である。NW-ZX1は当該規格に対応しており、我が家にあるUSB入力を持った機器群、実家CDプレーヤ(パイオニアPD-10)や車載のDEH-P01もこのタイプである。当然期待した。が、双方とも「ストレージ」とは認識したが、音は出なかった。
実はよく読むと「ストレージとして認識できるファイル構造」と「扱えるファイル形式」に制約がある。
・PD-10:MP3/256kbpsまで
(画像は付けない)
(2014/4/27追記。されどZ11ウォークマン自体認識してくれなかった。128GBはデカすぎたか?)
「マスストレージとして音楽再生」
何をするかというと、人間がパソコンでフォルダの中のデータを探しに行くのと同じ作業を機械が行い、拾ってきたファイルを順次再生しているのである。この際、ウォークマンは単なるデータ貯蔵庫になり、ウォークマンからは操作できない。
そして、ZX1を利用される方は付属の管理ソフト「MediaGo」で音楽データ取り込んで転送すると思うが、こやつで作ると
・NW-ZX1には音楽ファイルがflac形式で保存される
つまりCDや車載はフォルダは見つけたが、そこにある「flac」なるフォーマットの音楽ファイルを再生できなかったのである。で、音が出ないのだ。なお、flac自体は可逆圧縮(圧縮だがデータの損失は発生せず元に戻せる)で、多少なりともデータ量が減らせる上にハイレゾ音源にも対応、ファイルの付属情報(歌手名やアルバム名)も載せ込めるので採用したのであろう。
●どうすれば良いのか
(1)ウォークマンにフォルダを作ろう
車載の取説右側を再掲する。
分かる?
具体的にはこうした。まず、パソコンにZX1を接続し、「マスストレージ」として認識させると、容量128GBのディスクの一種(最近はディスクだけじゃ無いのでひっくるめてストレージという)として表示される。ドライブ直下に「MUSIC」というフォルダがあるが、これが取説の「第1階層」のフォルダになる。これは流用した。
で、ここから先である。自分でフォルダを作るのである。パソコン上で「新しいフォルダ」を作り、名前を変える。やり方どうでもいいのだが自分の場合こうした。
「MUSIC」の下に「JPOP」「precure」「Hypereuro」を生成(第2階層)
「JPOP」の下に「五條真由美」「うちやえゆか」・・・を生成(第3階層)
である。
ちなみに、「MediaGo」自身は、
・アーティスト名のフォルダ(第2階層:上の画像だとBerryz工房とか)
・アルバム名のフォルダ(第3階層)
を作成し、そこにflacファイルを収めている
(2)wav形式ファイルを作って放り込む
①前世代ウォークマンをお持ちの場合
「Xアプリ」でファイル管理を行っていたはずである。こいつはパソの中に同じく第2、第3階層のフォルダを作成し、使用していたウォークマンの仕様に合わせて各種圧縮形式、CDフォーマットリニアPCMならwav形式で保存している。「MediaGo」を走らせるとその内容を引き継ぎ、同じフォルダ構造を作ってflac形式のファイルを書き込む。なお、最初に「MediaGo」を使った後、wavを消すか聞かれると思うが、消さないを選択すればwavが残っている。このwavを上記(1)に作ったフォルダにコピーペーストする。
★前世代ウォークマンを引き続き使う場合、これらwavは消さないこと。前世代機のファイル管理が出来なくなる。なお「Xアプリ」はZX1に対応しない。「MedaGo」は前世代ウォークマンにwavで書き込むことが出来ない。
②wavから作らなくてはならない場合
「ああ、MediaGoで消したよ」「ZX1が初めてのウォークマンだからwavなんか無いよ」
こういう場合、flacからwavを複製するか、CDからwavで取り込む必要がある。もちろん「Xアプリ」でCD取り込み直してもいいが、ディスクとっかえひっかえバカになるまい。そこでここではファイル変換ソフトの一例として、シンセサイザで知られるKORG社「AudioGate」を紹介する。そう、自分がハイレゾからDSDディスクを焼くのに使っているソフトである。2014/8以降有料(19800円)である。使い方詳しくはこちらを参照されたい。
●車載の結果
繋ぐと「マスストレージ」にするかウォークマンが聞いてきて、「ON」を選択すると。
この通りしっかり認識して音が出た。wav。44.1kHz。ああ、見たかった画面だ。
ちゃんとリニアPCMである。なお音質は硬派だ。ZX1のアナログアウトや同じヘッドでCD聞いた時より硬い。現在パイオニアは旧「エクスクルーシヴ」に相当するフラグシップを「TAD」ブランドで展開しているが、そこに通じるカチッとした感じになる。ZX1は特有のおおらかさがあるので真逆は目立つかも知れぬ。DAC自体の性能もZX1が上であろう。ただ、こっちは16ビットの生データをDAする。アナログ0.5Vで入れ直したのとは比較にならぬ。特に微弱音や余韻は圧倒的な差が出る。
で、これはキカイによって変わろうが、フォルダをアーティスト名、ファイルを曲名にするとこういうことが出来る。また、一旦USBとして認識させると、ヘッドユニットの電源が有る限り、ソースをTUNERやCDに変えてもUSBとの接続は切れない。
●ウォークマン側の弊害
flacと同じ曲を車載で聴くにはwavも入れねばならず、容量が応じて余計に要る。これがデメリットだろう。なお、フォルダ自体は
このホーム画面「フォルダ」から覗きに行くことが出来、中のwavファイルはヘッドホンでの再生はもちろん、フォルダ内楽曲のランダム再生も出来る。ただ、これらwavはMediaGoでの管理はできない。
逆に、「MediaGoもウォークマンのプレイリスト機能も使わない」であれば、所要のフォルダにwavで放り込めば良いことになる。但しwavは楽曲情報を伴わないので曲名とか出ない。
なお、flacと同じフォルダにwavを共存させると、ウォークマンからアーティスト名ソートを行った際にflacとwavがごちゃ混ぜで表示されて鬱陶しくなる。wavはフォルダを別にした方が多分良い。
●使い方
ウチの場合、車載が活躍するのは片道4時間の実家行である。そこで娘の好きな歌手とプリキュア、オレ専用の選りすぐりユーロビートをwav化して入れてある(妻が好きなものはいつでも聞けるようにナビのHDDに書いてある)。他に「ウォークマンじゃ聞かないが車載や実家で聞きたい」ものがあれば入れておくと良いだろう。なお、そういう楽曲が沢山あるがファイルダブりで容量食うのがイヤとかいう場合は、もっと豪快な手段として、どのみちDAは車載で行うのであるから、ZXにこだわる必要は無く、前世代機や現行Fを車載専用に用意する手もある。
まぁ、将来的には車載にもハイレゾの波は及ぶであろうから、その際はflac対応は当然になるだろう。それまでは、まぁ、仕方ない。
ともあれ所期の目的を達成した。ミッション・コンプリート。
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