今更MDR-CD900ST(軽く)
●冒頭の能書き
オーディオ機器でよくある煽り文句
「マスタリングスタジオの音質に迫る」
いや、そんならマスタリングスタジオ機器そのまま出せやと10人中10人のオーディオヲタクが思うのであるが。大体は目の玉が飛び出るような値段であったり、家庭用として演色の施された機材に繋ぐと全然映えなかったりするのだ。そうした中。
MDR-CD900ST。プロのミュージシャン、エンジニアが実際に使っているヘッドホンそのもの。商流は別に特殊ではない。自分はジョーシンでポチッた。他にビックカメラとかソニー通販とか。届いたのは写ってるボール箱。ここにビニール袋に包まれて入ってた。この素っ気なさ。「道具」扱いである。日曜に大須歩き回ってヘッドホン聞きまくったと書いたが、結果の結論これ。位置づけはこう。
・イヤホン:MDR-EX1000
・オーバーヘッド:MDR-CD900ST←NEW!!
・高解像度意地悪テスト:スタックス
スピーカーは部屋の空気揺るがして届く音を聞くが、こいつらは音楽信号を音に復調してそのまま鼓膜に叩き込む。従いなるべく音楽信号そのものに近い音でないと不自然になってくる。すなわち、余計なコトせず音楽信号の通り音出せ、ということになる。
であれば、スタックス持っておけば音楽信号通りほぼ実現出来るのであるが、「ヘッドホン」と捉えた時、別電源が必要で音がダダ漏れというのは「ヘッドホン」としては使えないのだ。これは実際にはコンデンサ型スピーカを小型にしてヘッドホンスタイルに仕上げたモノというのが正しい(だからスタックスは自社製品を「イヤースピーカー」と呼ぶ)。
一方イヤホンは耳にねじ込むので長時間ではどうしても痛くなる。で、オーバーヘッドは必要となり従前この人を使っていたのだが。
ウォークマンZX1の音に慣れてきたら、急にこいつの音が古くさく感じられるようになってきたのだ。中高域の密度感を高め、聴感上の解像感を狙った音作り…リアル超高解像度のハイレゾの前では単に邪魔くさいだけ。
行き着いた結果がホンモノのプロ仕様。自分、CD聞いたら音質含めて評価をミュージシャンに返すが、それは機材が全部民生かスタックスみたいな超解像度だからこそ価値があると思っている。その点で「プロ機材」で何か言うのはその意味薄まる。だが仕方が無い。イヤと感じる音聞きたくないんだから。てなわけでこのレビューはヘッドホン探してるアナタ向け。
●試聴
プロ機=ガンガン使いまくってもクオリティ一定=ある程度使い込む(エージング)しないと本来の性能を発揮しない、と思われるが、その辺は実家システムと交換してから検証するとして現用機でテスト。音は
・PCM→ヤマハAX4600→CD900ST
・ウォークマンZX1→CD900ST
1.うちやえゆか「まかせてスプラッシュスター」
毎度おなじみおいらのリファレンス。ちなみにこの曲はうちやえさんの声のトーンもあって中高域キラキラしてるので、上記「古くさい音作り」ではやかましいことになる。
もちろん問題なし。シャリッと再生してくれたしサ行の発音も明瞭。
2.アランフェス協奏曲/村治佳織
ハイレゾ96kHz/24bit。900STの再生周波数帯域はカタログスペック30000Hzなのだが、別に不足はないし、弦楽器きついところ全くない。深々とした静寂はダイナミックレンジ広い証しだし、弦を弾く音の解像はf特の広さとトランジェントを証しする。そしてスケール感。これはEX1000でも出ないもの
3.Automatic/宇多田ヒカル
ハイレゾ96kHz/24bit。付帯音があるのはリマスタリングによくあること。でもそれを耳障りに感じさせないのが「解像」の証し。純粋にEX1000をスケールアップした音。
4.Starfish/林ももこ
声を構成する粒子が分離され散って行く。彼女が声を紡ぎ出し送り出しているのが聞こえる。全力で歌っているの受け止める。
5.Tokyo,Go!/John Robinson
ジュリアナ系テクノ。うるさくないとは何事ぞ。いや充分ドンシャリなんだぜ。でも突き刺さってくる音にならない。ダンスエレクトロニカデジタルビット分解されて聞こえる。快感である。
6.Killing My Love/Lesrie Parrish
ユーロビート。このユーロ界屈指のスケールと「泣き」を誇るこの曲を雄大に鳴り響かせる。ますます中毒になる。
7.プリキュア~永遠の友達~(2014version)
映画「オールスターズニューステージ」のメインテーマ。エレキ、アコースティック、複数ボーカルで構成され、重心低く据え、エンディングに向かって音が十重二十重に重ねられて行く大スケールの楽曲。ストリングスはブリリアントに、工藤真由を中心とするヴォーカル陣はきらびやかに。これウォークマンの出す音か?手のひらサイズで聞ける音か?
8.Justice of Light/五條真由美
じゃぁこいつどうなると興味がわいて聞いてみた。五條真由美をスタックスで聞くのは最高の贅沢の一つと思うが、準じたレベルを手のひらの機械がたたき出す。何が違う?ダイナミック型の音かコンデンサ型の音か。音色の違いを楽しむ程度に。高速で派手なバックトラックが音量有るのに下品にならない。絶妙なバランス。ジャスティスオブライト。
●結論
ヘッドホン迷ったらこいつ買っとけ。但し、カタログスペックのf特上限3万であるから、オーディオ協会の自主基準による「ハイレゾ対応機器の要件(40kHz以上)」は満たしていない。そここだわるなら注意のこと。また、インピーダンスが63Ωと普通のヘッドホンより大きく、アンプに難儀しそうだが、とりあえずZX1で不足とは感じなかった。まぁコイル磁力はアンペアターン(AT)で決まるが、インピーダンスは「ターン」……巻き数の証しであろう。
泊まり出張が楽しみである。←仕事しろよ
★注意
端子は標準ヘッドホンサイズである。ウォークマンなどステレオミニに繋ぐには応じた変換アダプタを必要とし
こうなる。うん。ちょっとガチャガチャする。
割と保管が雑。
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