開拓者の終焉~オーディオ御三家の崩壊~
(AV Watch)
「インターネットの動画・音楽配信の普及で需要が低迷する中、AV機器大手2社は連合を組んで収益改善を狙う」(日経)
なんだこりゃ。
パイオニアが遂に本業にして根幹であったオーディオ・ヴィジュアル事業を売却した。海外資本が噛んでいるとは言え、相手がオンキヨーであるところは救いである。
しかし「音楽の普及」で「音楽再生機器」がじり貧になるとはなんたる本末転倒。「色々と台無し」とはまさにこのこと。
音楽の流通ベースがネットへ移行し始める起爆剤になったのはiPodとiTunesといって良いが、対して音源売る側は握手券で釣って板数を稼ぎ、ハードは。
・ハードは業界から追い出されたのか
・音源がハードを置いてけぼりにしたのか
・ハードが時代について行けなかったのか
恐らくどれも、であろう。音源側は再生機器が何であろうと数が出れば関係ない。DAPやスマホでネット接続はそこでシステムとして完結しており、わざわざ高い金出してコンポーネント買う意義が見つからない。「音楽はCD買ってスピーカで再生」が固定観念になっていたからこうなったのだ。昔の音楽入り口はラジカセだったが今はスマホ。ラジカセの延長線上はコンポーネントだが、スマホはそうではない。スピーカ経由再生装置を揃えるという一つの「壁」がそこに発生している。前にも書いた。
しかしこれでかつて「オーディオ御三家」と呼ばれた三社(山水・トリオ・パイオニア)全部直系は尽きたわけだ。「ハードだけ」はアキュフェーズやラックスマンなど高級品専業が存続し、他は全てソフトおよび配信部門も抱き込んでいる(ソニー=mora/オンキヨー=e-onkyo)。そしてソフト配信の現在のウリはハイレゾだ。これは耳直で超高解像度という聴き方でもちろん良いが、空間に超音波を含む「雰囲気」をスピーカで放出して初めて所期の目的を達する。時あたかもスマホのイヤホンを変えると音質が向上すると認知され始めた段階であり、イヤホン→ハイレゾ→コンポーネントという「定番」コース構築可能であろう。そして見よ、アップルはヘッドホン屋の「ビーツオーディオ」を買収している。
オーディオの本義は「スピーカから音のある空間を創成すること」であると信ずる。なぜなら音楽は元はそうして奏でられていたものであり、中継や録音で疑似体験を与えるものがオーディオだからである。イヤホンやヘッドホンでは耳直ならではの超解像度再生や、音楽だけを充満させるという別の目的がある場合はともかく、代替の域を出るものではあるまい……このことは、入門からステップアップ、そして最終形の形態・誘導を再構築する必要を意味する。
シアター再生などというスピーカでしかなしえない方向との再融合もありだろう。「オーディオビジュアル」と「ピュアオーディオ」は頑なに別個のものだ(別個にすべき)という論調強いが、液晶テレビはブラウン管ほど悪さをしない。むしろ「今システムが何をしているか」という表示器の役割果たせる。DLNAなんか現状をどこかに表示させてないで何やってるか判るんかい。
「質さえ良ければ」とは良く聞く言い訳/理由。でもそれ、質を知らない人には何の説得力も無い。もう機材を店に並べておけば売れる時代ではないのだ。なぜなら売り場に人が来ないから。聞かせに行かないとならない。
音楽のある空間を。技術は長足の進歩を遂げて整って来たのだ。旧来延長ではない提案が出来て良いはず。
転んだ、痛かった。だったら、傷を治して別の方法で歩きだそう。オレもここで魅力を訴求できたら良いと思っている。
(明日へ続く)
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