ハイテクだがオカルト
……内容の都合上、ややフェイクを混ぜる。
取引先のその工場は、昭和初期に田んぼのただ中で創業し、自動織機を並べていた。追って中京地域の自動車産業伸展に伴い、自動車部品を主体とするプラスチック成形分野に転身した。リーマンショック以降の円高は相当苦しみ、自動車以外もということで、ウチと契約。その後、ご承知のように景気急回復、合わせて21世紀なりの最新型射出成形機を導入することにしたそうな。歴史の教科書に「マニュファクチュア」という言葉があって、日本家屋の中で生糸つむぎ等をしているイラストを見た方多いと思うが、そんな感じの柱と梁の空間にタッチパネル数値制御が配線配管張り巡らせてどーんと鎮座しているのだ。ある意味日本ならではの光景と言って良い。それが秋頃の話。
(どーん)
「ライン増設しますんで監査お願いします」
そんな話が来たのは冬のこと。いっそのこと新棟建てようと隣の荒れ地を買ったという。ところが重機が来て工事を始めたら件のタッチパネル数値制御が不出来を連発。
「変な当たりが出たかと思いましてね」
一般に摩擦摺動を伴う機械は、使い込むことでそれら機械同士の接触がなめらかになり、所期の性能を発揮するようになる。この「なめらかポイント」を出す行為を「当たりを取る」とか「当たりを出す」などという。「当たり」は機械同士が「当たる」事から来ている。社長氏は機械同士の接触が悪い方へ作用した。そう考えたのだ。
「メーカーのエンジニア呼びましてね、調査したんですよ。でも、パソコン診断ではどこも悪いところがない」
値はOKだがデキは良くない。
そうこうするうち工場で変なウワサが立ち始める。
「幽霊が出るってんですよ」
場所はその新棟予定地や、そちらに近い工場内の会議室。そして。
「トラブルで夜遅くまで打ち合わせました。そしたら、会議室誰か覗いてるんですよ。『誰だ!』って。でも誰もいない。それで戻ると湯飲みが倒れてお茶がこぼれてまして」
総員結論:何か理論的に説明付かないヤバイ事態に巻き込まれたのではないか
社長宅はその昭和初期の成功、追っての転身とも仏様のご加護のおかげと、地元のお寺に多額の寄進をしていたそうである。で、仏の機嫌を損ねる悪さをしたのか、土地買うのはNGだったか、寺の住職に相談に行ったそうである。
「住職が古地図出してきましてね、『社長さん、そこは昔の墓地だよ』すぐ改葬とお弔いをお願いしました」
実際重機に予定より深く掘らせると出たそうな。で、これを寺の敷地へ改葬。
「すぐ直ったし工場の中で変なことも起きなくなりました。なので安心して許諾いただければと思います。あはははは」
“管理”と“異常時の処理”が手厚いと書いておくわ。
……信じる信じないはアナタ次第である。
おんあぼきゃ べいろしゃのう まーかぼだら まにはんどま じんばらはらばり たや うん←護身の真言
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