伊勢湾台風は特別ではない
娘の自由研究の内容充実化のため名古屋市鶴舞中央図書館に赴く。
で、「8月1日(金曜日)~8月31日(日曜日) 鶴舞中央図書館 1階展示架」とあったので、全容が分かるようなダイジェスト版があるのかな?と行ってみた。が、そういうのは巡回展示を待つしかないようで、書架にあったのは写真が少しと学校関係者の直筆記録、台風の予報を書いた新聞記事、程度。
仕方が無いので2階の閲覧室に行って書物を漁る。娘の研究に追記すべきことが少しあった。
・小学生の死者260/中学生81(伊勢湾台風学習資料集)★同日は土曜の夜であり、室戸台風のように学校で子供たちが被災という例は無かった。
・類似の災害は757年、1544年、1722年、1791年、1896年、1912年など記録がある(愛知県の気象)
・1912年の台風。9月22~23日。風水害・高潮。名古屋は最低気圧971.4(伊勢湾959)、最大風速28(同37)を記録。(愛知県の災害誌)
ここで特記しておくべきは「類例」である。伊勢湾台風は台風自体として希有の勢力として認知されているが、「空前絶後」の存在では決して無いということだ。
第2室戸以降、91年19号(いわゆる「りんご台風」)まで、上陸時の気圧が940を下回るものがなかった。それが伊勢湾台風の特別視の背景にある。が、それは恐らく「たまたま」でしか無い。科学的観測が開始されて100年も経っていない。顕著な温暖化の例で知られる「縄文海進」のように、自然のリズムは100年1000年スケールがあって普通で、比して統計的に有意なデータを揃えているとは言いがたい。2013年台風30号「海燕(ハイエン)」によるフィリピン高潮被害は「この秋の我が身」である可能性を否定できないのだ。どころか、海面水温の上昇傾向は続き、それこそ「猛烈な」勢力の台風を列島まで持ってくる確率はむしろ高くなっている。
2004年スマトラ地震は「M9」の可能性を日本に示唆し、そして実際、M9は2万の命を奪った。伊勢湾台風は自らの存在を持って、その襲来の可能性を示唆している。起こるべくして起こったのであるから、また起こるであろう。
少なくとも台風は「いつ来るか」かなり精度良く読める。災害に備えよ。
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