目先ケチって大損をこく
地下鉄名古屋駅水没事件のオチ。モルタルでふさぐ話が土嚢を突っ込んでいました。
市長は求償するそうな。手抜かりか手抜きか知らんがちょっとの手間を惜しんで大損。
ちなみに海外メーカーから部品を買うようになって、こういう「目先優先」の挙げ句大きな品質問題を惹起する例が後を絶たない。幾らかフェイクを混ぜるが3つ紹介する。
●お値段2倍で寿命3倍賠償10倍
半導体は細い金の糸で電極に接続されておるのだが、その接続装置を「ワイヤボンダ」と言う。電極に細糸を押しつけて超音波でゴリゴリこすり、そうすると熱で電極と金線が溶け合っていい具合に混じる。で、接続される。そんな仕組み。そのゴリゴリこする部分を「キャピラリ」と言うが。
この白い部分。カイジョー社サイトより。ゴリゴリこする=摩耗するので交換しながら使うんだな。ところが海外A社。
「値段2倍だけど3倍長持ち」
って別メーカの宣伝にそそのかされて変えたんだそうな。その結果、ゴリゴリしすぎてワイヤ切れちゃった物が連発。
何が起こったか?確かにキャピラリ自身は堅いらしい。ところが、何せ「こする」もんで、金線や電極のクズが発生してこれがキャピラリに積もるんだな。で、異常な摩擦が発生と。前に使っていた製品はそういうクズの付着によるメンテナンスを不要にするため「適切な寿命」を持たせていましたってオチ。
「こんなちっこい半導体、いちいち交換できませんので基板ごと捨てざるを得なくなってます。弁償して頂きます」
で、サブタイトルの値段、と。
●納期優先で1ヶ月分吹き飛ばす
B社。歩留まりが悪かったらしい。が、なまじ良品も出来るもんだから原因究明せず作り続けた。結果、納期に必要数足らない。
何やったと思う?
不良品混ぜて帳尻合わせしやんの。しかもご丁寧に複数ロットに分散してさも偶発故障のように見せかけて。
「ワイヤ繋がってない奴とかチップが割れてる奴とかあちこちのロットから出て来るんだけど」
「不良品混入です」
「どっからどこまで」
「記録と実態が合っておらずわかりません」
「じゃ、きちんと設備直して同じ数作り直して」
●エレクトリックテレパス
C社。組み付けると動かない。クレームしたら電気特性試験でNG判定されたものが納品されたという。うっかりミスなら年に1~2個あるかも知れんがあまりに多い。
「ちゃんと現場見てる?混入しやすいレイアウトじゃないの?」
「申し訳ありません。実は」
聞いて驚け。作業者にヒアリングしたら「キカイはNGアルが、見た目はOKアル。だからOKとして梱包したアル」と答えたそうな。部品の中が壊れてたら分からないし、作業ミスもある「NGをNGとして確実に弾く」ことも大事な仕事なのだ。ちなみにお給金歩合制。
「全数、当社納入前に再度動作試験をして下さい」
日本では当然の管理やモチベーションは文書に落とし込んで契約しておく必要がありますし、作業者の主観を要求してはいけません。官能検査は必ずOKとNGの境目の見本を用意します。
ニッポンで、製造しよう\(^o^)/←そもそも海外移管自体「目先をケチった」行動
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