44/24という規格の微妙
アヌーナ(ANÚNA)
ケルト音楽やアイルランドの聖歌を中心とする男女混声の合唱グループ。メンバーは常に流動しており固定では無い。このDVDを買ってみて良かったので。
もう少し増やそうか→ハイレゾの配信あるんじゃね?
あるにはあった。
44.1kHz/24bit。また微妙なフォーマットでもぅ。ちなみにこれはJEITA(電子情報技術産業協会)の定義によれば「ビットレートがCD越えなのでハイレゾ」となり、日本オーディオ協会ではサンプリング周波数がCDと同一の44.1kHzなのでハイレゾと見なさない。
「どうせ聞こえないじゃん」ハイレゾ否定派の主張である。人が音として感知できるのはせいぜい20kHz(とはいえ高音の持つ「キーン」ではなく「コー」とか「カー」とか雑音に近くなるが←聞こえる)であり、CDフォーマットは20kHzまで確保、DVDに多い48kHzサンプリングなら22kHzまで入っている。充分だろう、というのである。だが電車の駆動装置でおなじみインバータなんてモンをいじってると、後段のフィルタを考慮に入れずキレイに正弦波にしようと思ったら1周期6パルスは欲しい。
・44.1kHzサンプリングによる20kHzの再現 出た/出ない
・120kHzサンプリングによる20kHzの再現 出始め・ピーク・少なくなってきた
難しい言葉を使うと「周波数が高いほど位相情報が失われて行く」のである。ちなみにコレを忠実に守ると現行ハイレゾフォーマットの96kHzではまだ不足の領域で、176.4kHzや192kHzならまぁ充分か、という事になる。
さて音質であるが深々と沈み込んだバックグラウンドはハイビット音源ならではの様相を示す。一般にハイレゾ始めると「アンプのボリュームを上げなくてはいけない」ことに戸惑うと思うが、これはダイナミックレンジ拡大に伴い、平均レベルが下がるからである。引き替えに、微弱音にも応じたビットを割り当てることが出来、キレイに出せるのでそれで良いのである。静寂からスッと立ち上がる。
ただ悲しいかな弦楽器の金属的な鳴り方やヴォーカル「カ行」発音の情報欠落、輪郭の丸まり方、そして感じる「欲しいのに得られない」壁。ハイレゾ聞き慣れると44の壁は大きい。ちなみにこれ「2014Ver.」とクレジットされているので、更なるマスターがあるのだろう。聞いた感じ音も丸いしアナログを録り直した、クリップ防止のため24bitで録りました。そのままネットに上げました。そんな気もする。実態は知らん。勝手な思い。
ただこれ強調しておきたいが「そもそもの録音の質に対する真摯さ、考え方」は日本の楽曲とえらく違う。そもそもが多く音数入っておりリッチであり、それが広がり美しく鳴る。ゴージャスそのものである。日本の場合逆で「ウォークマンぴあ」などにも書いてあったが「どんな再生機でもそれなりに鳴る」音作り。なので再生側が充実しているとスッカスカになる。やめて欲しいし必要ない。マスタリング終わった音源を可能な限りそのままハイレゾ市場に出し、後はデジタル演算で所定のフォーマットに変換すれば良し。それでエッセンスは充分伝わる。MP系で配信された物と、ハイレゾをMPに変換した物。どっちが自然かというと圧倒的に後者だ。
「ありのまま」で行こうぜ。
●おまけ「DSD」というやつ
DSDは「増えた・減った」をMHz(SACDなど一般民生で2.8。マスタリング以上のレベルでは5.6や11.2)単位で必死こいて追いかけて行く。逆に言うとそれしか決まってない。2.8MHzの場合、1Hzの信号に対し280万追いかけ取れます。1.4MHzでは「ある」「なし」が分かる程度になります。が基本。ただ、「前との差」を見ているので、都度0から計り直すリニアPCMとかなり違う。20kHzの変動に対しては140回の追いかけタイミングがあるので、上で書いた「20kHz正弦波にはせめて6回3値」に対し、6回なら46値の変動が得られ、大きく上回り充分、となる。
なお、リニアPCMとの換算だが、ピークが「280万回全部増えた」なのでこれから取れるダイナミックレンジは123dBとなる。が、現行のDSD用変換器は単に増えた減ったではなく、ここで数ビット与えているので、例えば4bit=16階調与えているなら、ダイナミックレンジは147dB(45158400階調)取れることになり、ピークを24bitに割り当てると、サンプリング周波数は188kHz以下(で、なおかつ44.1か48の倍数)に選ぶことが出来、これより「176.4kHz/24bit相当」という良くある物言いが出て来る。ちなみにDSDの根幹はPCMに直す時のデータ間引きによって、変換の際に生じるノイズ(変換誤差)を聞こえない周波数に追いやることに目的がある。SACDはその間引きを嫌ってそのまま板に焼いて出しちゃえ、としたものである。
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