STAP~反省と提言~
S:すんまへん
T:とてつもない
A:あかんこと
P:ぽかしまして
まず、反省をしましょう。
●科学的な正しさとは?
そも科学はコトの成り行きを説明しようとした情動が体系化されたものだ。数の秘密を探求し、天体の動きから暦を作ろうとした。中すっ飛ばして物体の運動を数式化することに成功したのがニュートンである。彼は運動を観察し、動きをグラフ化し、そこから数式を起こすことで自然現象の数式化に成功した。速度加速度位置と時間…イヤな記憶のある方多かろう。なお、彼の業績は微積分とくっついて天体運動を予測する成果に結びついた。ちなみに太陽系天体の運動について論じた「ケプラーの法則」も同様な実態の詳細観察からの数式誘導である。
この頃は「現実」がまずあって、「理論」が後を追いかけた、と書ける。比してアインシュタイン「相対性理論」は
・大きさゼロで質量無限大
などと解釈できる存在が導かれた。常識を覆すその姿は数式だけの存在と考えられたが、やがてそれは「ブラックホール」と呼ばれる存在として現実に検出される。ちなみに、「マクスウェルの電磁基礎方程式」という奴をいじると、電磁場がこういう方程式で示される速度で移動することが示された。
μ0 = 4π×10-7 W/Am
ε0=8.854 187 817...×10−12 F m-1
これでC=秒速約30万キロと出て来る。理論が導いた光の速度と、実験で求められた光の速度が一致した瞬間であった。大体このあたりで、
①理論を記述するための数式が書ける・原理原則に基づくメカニズムを説明できる
②応じた現物の存在
③誰でも同じ結果が導き出せる一般再現性を備えること
が「発見」「確定」の条件として成立する。これを踏まえて。
●彼女は何を間違えたのか
アインシュタイン以降、理論先行の気配はあるが、「とりあえずやってみよう」という現物から見つけ出すパターンも引き続き挑戦が続けられている。とりわけ化学・生命科学分野は高分子を扱うこともあり、理論後付けというパターンは少なくない。生命科学の求めるところは発生・成長・死のメカニズムであって、応じて病気を治す方法など見つけようという流れにある。
ヒトという生命に着目する。受精卵が5兆に分裂して人体を構成するが、その受精卵を作り出す精子は成熟した人体から作られる(卵子は生まれる前に胎児の卵巣に作り込まれる)。であるなら、受精卵の性質を成人の細胞に何かすれば備えるはずである。山中教授のiPSはそうした細胞の一つだ。
彼女が目指したのは同様な万能性を備えた細胞で、困難なiPSに対し、より簡単に作れれば、だったようである。ストレスを与えるとその反応として若返りが生じるのではないか…なぜそんなファンタジックな発想に至ったかの経緯は知らぬ。
が、その「酸の液体に通す」とやらの「コツの要る作業」の末、残って生きている旨の反応を示した細胞の扱いに間違いを犯した。それが本当に「それ」なのか検証を怠り、加えて第三者による再現も行わなかったのだ。実はこの手の間違いは「思い込み」があると良く起こる。オレも部品の不良だと思い込んでいたものが、製造ラインの試験装置のエラーだったりしたことがある。「説明できるメカニズム」「再現性」を備えない結果は正当かどうか甚だ怪しいのである。
●今後に向かって
「やってみなくちゃワカラナイ」は今後も一定率存在するであろう。「数式に起こせないが事実」というのも存在するであろう。そういう場合、それを事実と傍証するのは確率的確からしさであり、応じて確実に繰り返せること、となる。変化を目指すモノであるなら、前と後で違うことが証明できること、それが誰でも出来ることを備えなければならない。紛らわしいモノが混じっているとか、思い通りに行かなかったからと「ありもしない結果」を捏造するなどもっての外だし第一、何の意味も無い。今回の騒動とて、仮に論文の画像コピペがバレず、じゃぁみんなで検証して培養してみよみゃぁ段階まで行けば自ずと分かる話。何で捏造までしようとしたのか、ワケワカラン。ちなみに「失敗」はそれを「なぜ」まで追い詰め、「~ではこういう理由で上手く行かない」という結論を導くことで一つの結果となる。理論を横から補強する脇役たり得るのだ。そうすることで失敗は「生きる」。
科学者は冷徹に事実を見極めること。間違いをきちんと説明できること。
「『宇宙項』を追加したことは我が人生最大の過ちである」……アルバート・アインシュタイン
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