ライントラブル
「カテゴリが『心と体』だが?」
間違ってねーよ。
製造ラインのすぐわきで会議をしていて大きな音が聞こえた。
トラブルである。当該の係長氏もいたこともあり、数名で現場へ行った。
乾燥炉の出口から入口へ戻す製品トレイが搬送路の途中でワラワラ落ちていた。
ベルトコンベアで高温部分を通過するが、製品の要らん所に熱が加わらないよう、専用の受け皿を使っている。製品は炉から出たら次へ行くので受け皿は入り口へ戻す。その戻し用の小さなコンベアからなだれ落ちたのだ。
見た目コンベアに異常は無い。と、炉の出口側で数人集まっている。
説明しているのは班長氏、対し…若い男性、新人?いや、耳かけ型の補聴器。
「雇用経験月間なんですよ」
係長氏が言った。結局作業マニュアル表示に使っているiPad(作業を進めて画面に触れると次の作業が指示される)を外し、言葉ではなくキーボード経由文章で説明。筆談相当。要は受け皿をコンベアに載せる際、はみ出てしまったため、コンベアの継ぎ目に引っかかり、積み上がってあふれ出してどんがらがっしゃん。
「受け皿の置き方も表示する必要がありそうですね」
「用意してなかったですねぇ」
理由:ちょっと見ればどう置くか理解するパターンが「普通」だから
ちなみに所定の率で雇用せよ旨の法の縛りがあるわけだが、見てきたいくつかの外注先では、そういう枠を越えて、まさに高いスキルを活かした仕事をしてもらっている場合もあった。所定数を綺麗に並べて箱に詰める。精度の高い外観検査で傷物をハネる。
一般にコミュニケーションにちょっとした工夫が必要だが、得意なジャンル・パターンが必ずあるというのが自分の認識である。複合システムで幾何学的・帰納法的な美を有するものを好む方が多いわけだが(鉄道なんかその最たるもの。全鉄道会社の全形式を覚えているのは当然というレベル)、工場が望むもの究極はまさにそれで、雇用する側次第という気がする。繰り返し作業は大好きであれば一定水準で確実にこなしてくれる。だから探せば良いし、どこまで教えるか、も、一度全行程フルに付き合えば見えてくる。最初だけキチンとやって人目が無いと手を抜く手合いとは比較にすらならない。
「簡単」とか「単純」ではないのだ。如何にシステマティックにしつらえてあって、そのシステムをドライブする一端を担う喜びを感じてもらえるか、なのだ。削り出しアルミでカスタム製作されたロボット生産セルが並んでいるのだ。感応しないわけがなかろう。
喜んで「働きたい」と言ってもらえる美たるシステム性を備えた生産ライン。
いいんじゃね?有機的に同期連動する人と機械と。不良率は少ないと思うよ。
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