フォーマットは音質を決めない【ハイレゾ音源再生】
CDを祖とする「デジタルオーディオ」は音質の「底上げ」には多大な貢献をしたと思っている。それまで最も高音質の音源はレコードであったが、信号を取り出すのに回転系・バネ質量系・電磁変換系を有し、いずれの水準も高める必要があった。
(21世紀のレコードプレーヤ、120万円。回転系だけ)
対しCDは多少の読みミスは訂正され(※)、信号変換のキーパーツであるDAコンバータがICされたことから、「CDを再生」すれば、一定の質は保証されることになった。もちろん、上流が綺麗だってだけの話で、下流で澄んだ大河となるか澱んだドブ川になるかは、システムの質で決まる。ただ喩えるなら「飲める水」はよらず確保できるようになった。
(※:この辺は「8-14変換」という「1」や「0」が連続しない工夫と、「くろすいんたりーぶりーどそろもん符号」という誤り補正技術が盛り込まれている。サラッと書いたが決して簡単では無い叡智の産物)
(アキュフェーズDP-70。抵抗器とスイッチ素子で教科書に出て来るDAコンバータ原理器を実際作って搭載した。43万円。1987年)
さてハイレゾはどうだろう。対応したDAコンバータなら例えばこのアキュフェーズを上回る音になるのか。以下実体験に基づく書き並べ。
「192kHz/24bit対応」を謳う中華DAC。成績が悪いので名を伏す。7400円くらい。ちなみに192対応だが176.4・88.2には対応出来ないというトホホもの。同軸と光のデジタルで吐くこともできるそうだが、それぢゃ試す価値はない。パソでBOSEのデスクトップ用セットを鳴らしている。「その音源をDAコンバートできる」それ以上でもそれ以下でもない。BOSE1万円で後述iDSDよりもしょっぱいと分かるんだからお察し。いくら「聞ければ良い」というレベルでも「オーディオっぽさ」の底上げあってこそハイレゾだと思うので却下。
中華DAC「DN-11221」。「上海問屋」ネット通販で7999円とか。こいつは「音楽」として鳴らしてくれる価値はあるだろう。ちなみに当初目的は実家の「USB-同軸」デジタル変換器(デジタル-デジタルコンバータ:DDC)として「デジタルで吐き出してくれれば良い」だったが、肝心な(?)同軸出力は10m彼方のAVアンプに192kHzを放り込めないのであった。父親が「オーディオはワカランがパソコンでCD再生はできるぞ」というワケワカラン状態なので、そのままUSB-DAコンバータとして、ボストンアコースティックのデスクトップスピーカを鳴らしたり、1000円イヤホンを鳴らしたりしている。デスクトップ環境で出口側の質が高ければ放り込んでも良いと思う。
ifiAudio nano_iDSD。USB-DACおよびDDC。量販店で25000円くらい。前二つと比べると「うへぇ」と思う価格かも知れないが、実質的なハイレゾ入門機はこいつではなかろうか。ちなみに入門機と書いたが、
ウォークマン等携帯機やスマホからUSBで放り込め、ポータブルアンプとして使えたり、
最新の「11.2MHzDSD音源」が再生可能など、応用価値は高い。ちなみに自分のハイレゾはこいつでヤマハのAVアンプに192kHzを叩き込むことで本格的に始まったし、5.6MHz以上のDSD再生はこいつでしか出来ない。娘ミニコンポでハイレゾウォークマンのDAが主務だが、車載で鳴らすとか高ビットDSD等の場合この写真のように召喚されゴロつく。
DACの音質だが、ウォークマンZX1比、中高域に多少「解像感」を演出する高まりは感じるものの、全帯域を見渡せばおしなべてフラット、モニターライクで好感が持てる。RCA出力からアンプに放り込んで充分「澄んだ上流ソース」として通用する。「PCからハイレゾ再生」まずはここからで推しておきたい。なお、192/24たたき込めるAVアンプお持ちの向きには「DDC」としての利用価値もある。価格以上のパフォーマンス・拡張性は充分持ってると言って良い。「遊べる」キカイだ。
パイオニア・PD-10
「CDプレーヤやんけ!」
そうなのだが、ハイレゾに手を出すきっかけになったのがこいつである。DSDディスク再生機能を備えたスーパーオーディオCD(SACD)プレーヤなのだ。「SACD再生は出来るようにしておこう」程度の消極的なノリが禁断の扉を開いてしまったというわけ。
逆に言うとこいつは「ハイレゾも一応聞けるようにしておこう」という向きにはうってつけのキカイと言える。ハイレゾ音源は一旦パソコンでDSD円盤に書き出さねばならないが(DVD-Rに焼く)、円盤に焼き切って刻むという行為はバックアップとしての価値もある。
音質だが値段なり(定価37800、実売20000円~)のCDプレーヤというのが第一。従い、別途DAコンバータ付きのアンプを持ってるなどの場合安価にSACD含めたハイレゾ対応、しかも円盤系でメディア統一という環境を提供する。なお、似たような価格帯のソニーSCD-XE800(定価36000、実売30000円~)でも同じ環境構成できる。但しこれらはSACD/DSD再生時はデジタル出力されない。なお、HDMI入力付きのAVアンプをお持ちの場合はソニーのブルーレイプレーヤS6200(18900円~)を入れてしまった方が、SACD、DSDディスク、更にブルーレイオーディオも使えるので「円盤系」としてまとめてしまうことができる。
オッポBDP-103JP(生産完了)
「ブルーレイプレーヤやんけ!」
そうなのだが、現状、ハイレゾ再生の旗艦がこの人。HDD→ネットワーク。パソコン→HDMI。DSDディスク・SACDと、一旦ココに集約し、HDMIでヤマハDSP-Z11に送り込む。なお、そういう環境なのでアナログ出力お呼びではないのだが、Z11のREC OUTからスタックスに放り込むためステレオ2チャンネルアナログを繋いである(Z11のヘッドホン出力をスタックスに放り込めば良いと思っていたが、音が曇る)。
絵も音も「オーディオコンポーネント」のクオリティを持っている。nanoが入門機ならこいつは本格派の中核と書ける。後継機103DJPは10万円で正直チト高いと思うが「HDMI入力」を持っているのは他に無いアドバンテージで、そこにパソコンを繋ぎ込めてパーフェクトとなる。
最後にソニーHAP-S1
「それ1台完結のコンポやん!」
なのだが、内蔵のHDDに音楽書き込んでも良し、192/24まで対応する光と同軸のデジタル入力も持っているので「DAC内蔵アンプ」が正しい(HDDでの再生なら5.6MHzDSD対応)。
まっとうな音が出る。「ああ、ハイレゾでオーディオしてる」って満足感が得られる。これからオーディオに手を出す、サラウンドでホームシアターとか眼中無い、というならこのキカイから始める選択肢ありだろう。76000円から。
以上、見聞きし管理してるキカイ並べたが、「ハイレゾなら何でも良い」というわけではないことが見えてきた。個人的な最低ラインは、PCでダウンロードから始めることを考えnano_iDSD。オーディオ自体これからというならHAP-S1。オーディオは持ってるよというならOPPOを推しておく。
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