ヴィヴァルディ・山形由美・クレイダーマン、レビュー【ハイレゾ音源再生】
ヴィヴァルディ「私によみがえれと申すか」
いや、いや。ご隠居以外はソリストでんねん「新イタリア合奏団」書いても何を演奏してるかワカランでしょうが。
てなわけで腰痛でネタも浮かばないので最近買った楽曲のレビューをする。
●ヴィバルディ:グローリア/新イタリア合奏団(192/24)
ヴィヴァルディっちゃ脊髄反射的に「四季」なのだが、あれは「和声と創意の試み」(Il cimento dell'armonia e dell'invenzione)の4曲を切り抜いたものを言う。自分ロッテルダムテクノとか聞くくせに、クラシックはバロックに近い方が好みらしい。なのだが、四季以外のヴィヴァルディの楽曲、「和声と創意の試み」全曲ですらハイレゾ配信が無いとは激おこ(死語)なのである。
さてこの円盤はそんなヴィヴァルディで珍しや四季以外である。宗教音楽である「グローリア(Gloria/RV.589 )」と「キリエ(Kyrie/RV.587)」およびバッハのカンタータがアソートされている。演奏は「新イタリア合奏団」。声楽パートは「岡山バッハカンタータ協会」。
録音はまず華やかで明快である。シャリッと輝き、しかしそれはハイレゾと言うよりCDの音作りに近い。聞きやすいが、豊かな響きや倍音が、という感じでは無い。レベルオーバーとか余り気にしてくれなくていいので、f特あるがままに録ってほしい。
また、声はソロ歌唱はいいが、合唱部がどうしても塊になる。前に弦楽がいて、後ろに合唱。弦が混ざるし、マイクに向かって声が集まるので重合は仕方がない。しかし、192で録るなら個々解像する位欲しい。思うに聴衆は弦楽を挟んで聴くが、本来なら歌が始まるとそこを見るのでカクテルパーティ効果が出る。比してこちらは見る場所がないのでそこが期待できない。また、これは本来神に捧げる音楽であり、天井の高い教会で響かせるもの。ヴィヴァルディもその辺計算していただろうし、マイク位置を高く出来なかったか。
●山形由美:山形由美・ハイレゾコレクション(DSD128/5.6MHz)
名前を聞いただけで「おっ」と思う方は40代以上のはずである。フルート奏者でテレビにも何度も出演。新録の話を聞かないが、2015年4月より尚美学園大学の客員教授とのこと。後進育成も大事。
さて本作は「アナログマスター」からのハイレゾ起こしである。アナログ起こしは扱わないと前にも書いたが、そういう知名度および「5.6MHzDSD」の希少性を買ってレビューする。なお、内容は
「ロミオとジュリエット~山形由美フルート名曲集 ベスト キング・ベスト・セレクト・ライブラリー2015」
と同一の由。スチューダーのA820 1/2inch。テレフンケンM-15Aといった機材がリストされている。
再生はiFI Audio nano_iDSDを使用した。まずその煌びやかさ、そして圧倒的な情報量にニヤニヤする。一部、元のアナログ音源由来と見られるざらつき、コンプレッサの作動とその過渡遅れ(!)は感じるが、いやなワウやフラッターもなく、聞いていて非常に心地良い。嬉しそうにスピーカーが躍動し、室内に音を満たす。ハイレゾというと、どうしても「超音波聞いてどうすんでぇ」という話になりがちだが、それ以前の圧倒的な情報量こそハイレゾでしか得られない物である。圧巻という表現が使え、例えば高齢無趣味な両親に何か趣味を、といった場合にキカイもろともプレゼントするのに好適である。
ちなみに96/24PCMでも販売されているのでご使用のシステムに合わせて。
●リチャード・クレイダーマン:リチャード・クレイダーマン ◎ スーパー・ベスト(192/24)
「イージー・リスニング」というgdgd系な聴き方のジャンルを確立したのはこの人ではあるまいか。本名をフィリップ・ロベール・ルイ・パジェス(Philippe Pagès)というとか、名は知らぬでも曲聞けば「ああ、これ」という方が殆どであろう。ようやく?ついに?ハイレゾ配信に登場である。これも「アナログ起こし」であるが、知名度故にレビューする。なお、ビクターなので「K2HD化」の可能性もあったが。
だ、そうである。ちなみに当人、毎年5月に日本でコンサートをしているが、1回だけ、特急「あずさ」車中で同じ車両になったことがある(リチャード・クレイダーマン・バンド)。が、結局甲府から八王子までグリーン車なのに立ったままバンドメンバーとニコニコ喋ってたなぁ。E351が酔うから?
さて音質である。うん、時代なりのピアノ線弾いている音である。一緒に入ってるストリングスも含めて丸く、緩く、金属的。そして輪郭はガサガサ感がある。オーディオでピアノ再生するの難しい、録音の苦労を忍ばせるあの時代のあの音である。ただその代わり鍵盤を叩くコツコツ言う音まで入ってる。ぶっちゃけ、192/24でデジタル化するならノイズトリートメントとか手間かけて欲しかったなぁという感じ。山形さんの録音が良いのでどうしても比べてしまう。ただ、本来はテキトーなボリュームでマルチチャンネルのスピーカーに適当に回してってのが「スタイル」……文字通りイージーリスニングなので、しかめ面してギャンギャン言うことは無粋であろう。CD比細やかで生々しく(スタジオのマスタリングエンジニア気分で)、音像が前に出て来ることは確かである。「すり切れないレコードを聴いている」そんな感じで。
■山形由美狙ってる人へ
ライブラリに入れとけ。損は無い。5.6Mの音は圧倒的だが、これなら96/24でもさほど劣化していないであろう。もちろん、nanoは2万5千円のキカイなので、これを機に導入するのも手である。
■クレイダーマン狙ってる人へ
CDがあって音が被ってるなら敢えてこっちに変える必要なし。ただ、そのCDが80年代から90年代初頭の物なら、こっちの方が最新技術でデジタル化されているので乗り換える価値あり。集めたくて狙っていたなら当然文句なし。
以上
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